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契約条件の確認をしました



 エッケンハルトさん達との話を終え、俺は一度部屋に戻って来た。


「ふぅ……何とか話はまとまったな」

「ワフ」


 エッケンハルトさんに対して、会う前の緊張感はすぐに無くなったが、やはり相手は貴族の当主様。

 それに、風貌からの迫力がある人だ、知らず知らずのうちに肩に力が入ってしまっていたんだろう、少しだけ肩が張っている気がする。

 肩凝りとか、久しぶりだなぁ……これも『雑草栽培』の薬草でどうにか……いや、無駄に使うのは止めておこう。

 これくらいでどうこうなるとは思わないが、また倒れてしまわないよう気を付けないとな。


「ワフワフ」

「んー? どうしたレオ?」


 肩を回しながらベッドに座って軽く凝りを解していると、レオが近づいて来て顔を寄せて来た。


「ワフ、ワフ」


 何やら構って欲しいと言ってるようだ。

 今日はあんまり構ってやれてないからな、仕方ない。


「よしよし、あまり遊んでやれてなかったな」

「ワフワフ」


 俺がレオの頭を撫でてやると、尻尾を振って喜んでる様子のレオ。

 夕食までもう少し時間があるから、しっかり遊んでやろう。

 ティルラちゃんがするように、体全体でレオに抱き着き、あご下や耳の付け根をくすぐるように撫でたり、体全体をガシガシ撫でてやったりと、存分に構ってやった。

 その途中、レオの毛が大分汚れてる事に気付いた。

 森の中を探索してたからな……川で泳いだりしたとはいえ、汚れるのも当然か。


「レオ……随分汚れて来たな」

「ワフ!?」


 俺がレオの毛を触りながらボソッと呟くと、レオがビクッとして体を硬直させた。

 俺が次にいう事がわかったみたいだな。

 レオが嫌がったとしても、汚れたままにはしておけないからな……俺は硬直したままのレオに告げる。


「夕食の後、風呂に入るからな」

「……ワフゥ」


 俺から告げられた予想通りの言葉に、レオはしょんぼりと頭を項垂れさせた。

 落ち込んでしまったレオを慰めるように撫でていると、部屋の扉がノックされた。

 どうしたんだろう……夕食まではまだ時間があると思うけど。


「はい?」

「タクミ様、お時間はよろしいでしょうか?」


 扉の外から聞こえたのはセバスチャンさんの声だ。

 何かあったのかな?


「大丈夫ですよ」

「失礼します。おや、レオ様とお遊び中でしたか」

「はい。最近あまりかまってやれてなかったですからね。寂しそうにしていたので」

「ワフゥ」

「そうですか、それは良い事ですな。しかし、レオ様が少々元気が無さそうですが?」

「あぁ、レオの毛が大分汚れて来ましたからね。そろそろ風呂に入れると言ったらこうなりました」

「ほっほっほ、それは仕方ないですな。清潔に保つのは重要な事で。それに、レオ様の綺麗な毛並みは手入れが必要でしょうから」

「そうですね。レオ、セバスチャンさんもこう言ってるんだから、嫌がらずに風呂に入るぞ」

「……ワフ」


 項垂れながらも仕方なさそうに頷くレオ。

 大きくなって初めて風呂に入って洗った前回よりも、多少は慣れてるから今回は手早く済ませてやるからな。

 あれ? そういえばレオの話になったけど、セバスチャンさんは何でこの部屋に来たんだろう?


「セバスチャンさん、何か用があったのでは?」

「おぉ、そうでしたな。タクミ様、こちらを」

「これは?」


 セバスチャンさんから数枚の紙を渡された。

 A4くらいのサイズで数枚、小冊子のようになっていてそれぞれにびっしりと字が書きこまれていた。

 軽くその字を見てみると、どう見ても日本語とは違う言語で書かれているのがわかるのに、ちゃんと日本語として読み取れた。

 どうしてなんだろう……そういえば、言葉も通じてるしな……異世界に来た時にギフトが使えるようになった事と同じで、何かしらの特典なのかもしれない。

 理由もわからないので、今はとりあえず頭の片隅に置いておくだけで深く考えない事にした。

 考えてもわからなさそうだしな。


「それは公爵家との契約書になります。タクミ様の場合は薬草の販売を委託されるので、それに関する条項と、報酬に関してですな。旦那様も私達も、そしてタクミ様も契約を結ぶ事を承諾しておりますが、こうした事の確認はしておりません。なので、そちらをよく読んで頂き、タクミ様が同意される場合に契約の締結となります」

「そうなんですね」


 さっき客間で話した事で、契約が結ばれたものだと思ってた。

 まぁでも、こういう事はちゃんとお互い確認して契約しないと、口約束のようなものだけでは後々トラブルになってしまうかもしれないからな。

 俺は、片手で撫でたままだったレオから手を離し、セバスチャンさんから渡された契約書をしっかり見るため、ベッドに腰を下ろした。


「書かれてある内容をしっかり確認して下さい。何か質問や変更して欲しい点等があれば私に。では、一旦失礼します」

「わかりました。夕食までには全部確認出来ると思いますので、何かあればその時に聞きますね」

「はい、それでよろしいかと思います。それでは」


 セバスチャンさんが部屋から退室し、俺は契約内容を確認するため渡された用紙を読み始める。

 レオは風呂に入る事が決定したから、丸まってふて寝だ。

 夕食になれば機嫌は直るだろう。


「ふむ……成る程ね……」


 こういった契約書の類は仕事をしていた時に何度も見た事がある。

 その時見た内容よりは、公爵家の契約というのは随分俺に対して優遇してくれてるように見える。

 この世界の事を色々知ってるわけじゃないから、多少はわからない部分があるが、それはまた後でセバスチャンさんに聞いてみよう。

 ……魔物や盗賊に襲われた際の対応とか言われてもね……。

 多分、販売物が紛失した時の補償とかそういう事なんだと思うけど、もし俺の考えてる事と違ったらいけないしな。

 公爵家がちゃんとした対応をしてくれてるんだ、俺もちゃんと内容を把握して対応しないと失礼だと思う。

 わからない部分や、質問したい部分はしっかりチェックしておこう。

 あ、チェックするのに書き込むような物が欲しいな……そういえば以前の買い物でペンを買ってたっけ。

 俺はベッドから立ち上がり、机に置いていたペンを持つ。

 ペンは前の世界であったような万年筆では無く、羽根ペンになっていて、インク壺とセットになってる物だ。

 高級感はあるかもしれないが、使い慣れてないからおぼつかない手付きで契約内容をチェックしていった。

 それからしばらく、ライラさんが夕食の支度が出来たと呼びに来るまで、内容を読み込んだ。

 おかげでほとんどの契約内容が頭に入ったぞ。

 呼びに来たライラさんと一緒にふて寝していたレオを起こして、契約書を持って俺は食堂に向かった。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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