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921/1998

ティルラちゃん達から事情を聞きました



「こ、こんな近くに……本当に大丈夫なのでしょうか? 確かに、襲い掛かって来る様子はありませんし、ティルラ様が乗っていますけど」

「あはは、大丈夫だから安心していいよ、デリアさん」

「キィー」

「ラーレ偉いですねー。あ、タクミさん、ありがとうございます」

「いえいえ。よいしょっと……あれ、ヨハンナさん?」


 ラーレが俺達の正面に降り立ち、あわあわしているデリアさんの頭を撫でながら安心させる。

 目の前でラーレが、鳴いて頭を下げるようにしたので、背中に回ってよくやったと褒めるティルラちゃんを、鞍から外して降りるのを手伝う。

 しかし、そうしている間にもヨハンナさんは全く微動だにしない……どうしたんだろう?


「タクミ、ちょっと手伝ってくれ。動けないようだ。……ヨハンナ、よく頑張ったと褒めるべきか?」

「……いえ、情けは無用です……う……っぷ……」

「あー、わかった! 耐えてたんですね、ヨハンナさん。ニコラさんみたいな受け答えになってまで……よいしょっと……!」

「よっと! ほら、あっちに行って思う存分解消して来い」

「かたじけない……」

「えーと……? あの人は確か、ラクトスでクレア様達と一緒にいた人ですよね?」

「うん。フィリップやニコラと同じく、公爵家の護衛さんだよ」


 俺とは逆から屈んだ状態のラーレの背中に寄っていたフィリップさんは、ヨハンナさんの様子を見て俺に手伝いを要請。

 どうやらヨハンナさんは、ずっと耐えていたらしい……大丈夫そうに見えたり真顔に見えたのも、身動きが取れずに、一生懸命耐えていたからなのか、わかりづらい。

 ヨハンナさんは重そうな鎧を着込んでいて、自力で動けないため、フィリップ一人で下ろすのは難しいらしく、俺も手伝って二人がかりで抱えながら降ろしてあげた。

 その際、込み上げる物を我慢する声と両手で口を押えていたので、すぐにフィリップさんが森の方へ行くよう指示。


 ようやく地に足が付いた事で、動けるようになったヨハンナさんは、ふらふらとそちらへと向かって行った……途中で出さないように気を付けて下さいねー。

 そんなヨハンナさんを見送りながら、デリアさんがキョトンとしているのは、以前会った時と印象が違ったからだろう。

 ずっと耐えていたためなのか、なんでかニコラさんみたいな口調になっていたし。


「よし、もういいぞラーレ」

「キィ」


 ティルラちゃんとヨハンナさんを降ろしたので、屈んでいるラーレを撫でて真っ直ぐ立たせる。

 ちゃんと降りるまで姿勢を維持して、偉いなー。


「さて、ティルラちゃん」

「なんですか、タクミさん?」

「どうしてラーレに乗ってここへ? クレア達に何かがあった……というわけでもなさそうだけど。焦ってたりしないから。でも、よく許可が出たね?」


 とりあえず、ヨハンナさんはしばらくしたら復活するだろうから、あのままにしておくとして……女性だから、俺やフィリップさんのような男に見せたくないだろうしな。

 それはともかく、ティルラちゃんがここに来た目的だ。

 ラーレの事は皆信用しているけど、さすがにヨハンナさんがいるとはいえ、ティルラちゃんがここまで来るのを、クレアやセバスチャンさん達が許可するとは思えないんだけど。


「そうでした。タクミさん、迎えに来ました!」

「迎えにって……まぁ、ニコラが屋敷に到着して、俺が戻る予定を伝えたんだろうけど……ラーレって、良くても二人乗るのが限界だよね? さすがに全員は乗れないだろうし……」

「キィ……キィー!」


 俺が屋敷に戻るからなんだろうけど、さすがにラーレに乗って帰るというのは、ちょっと無理がある。

 ティルラちゃんともう一人を乗せるのは問題なそうだけど、鎧を着込んだヨハンナさんはさすがにつらかったのか、ラーレも少し疲れた様子も見えるしな。

 俺の言葉で、ラーレは頑張る! とビシッと体を伸ばして意気込みを見せてはいるけど、無理はいけないぞ?


「いえ、ラーレに乗ってではありません。レオ様とリーザちゃんも、もうすぐここへ……ここ? あ、えっと、村の方に来るはずですから。あと、姉様もです」

「え、レオとリーザに、クレアも?」

「はい。皆でタクミさんを迎えに行こうってなったんです。それで、ラーレに乗っている私が、先にタクミさんに伝えるために来ました!」

「そ、そうなんだ……けど、皆で一緒にかぁ。セバスチャンさん、クレアがブレイユ村に行くのを反対していたのに、よく許可が取れたなぁ……? クレアの押しに負けたとか?」

「クレアお嬢様は、タクミの事になると全力だから。あと、シルバーフェンリルに関する事にもか」

「……俺の事はともかく、リーザやレオもいるようだから、押し切ったんだろうなぁ」


 ティルラちゃんに事情を聞くと、レオやリーザだけでなくクレアも一緒に来ていて、俺を迎えに来たという事らしい。

 そもそも、最初俺がブレイユ村に行くといった時、クレアも来ようとしていたけどセバスチャンさんに反対されて、断念していたはず。

 それなのにどうして……俺を迎えに来る、というくらいなら大丈夫だったから、とかかも?

 フィリップさんが苦笑しながら言っているのはともかく、クレアの事だからリーザとレオが行くなら、自分もと言い出したとかあり得そうだな。


 さらに詳しく聞くと、ラクトス付近までは一緒だったらしいけど、ラーレに乗っているティルラちゃんは森や街など関係なく移動できるため、ちょっとしたお試しとして先にブレイユ村を目指したらしい。

 なんのお試しなのか聞かなかったけど、クレアやセバスチャンさんが納得しているならいいか……一応、ヨハンナさんも一緒にいるから護衛も付いている事だし。

 空を飛んだ後に、ヨハンナさんが役に立つかどうかはわからないが。


「とにかく、クレアお嬢様やレオ様達を、俺達が迎えなきゃいけないって事だな」

「そうみたいだ。えーっと、ティルラちゃんとヨハンさんはいいとして、さすがにラーレを村に連れて行くのは難しいかな?」

「クレアお嬢様達が来るのなら、そっちに合流して一緒に来てもらうってのはどうだ? その時ラーレの事も含めて説明したらいいだろうし、説明好きなお人も一緒に来ているだろうからな。まぁ、タクミは巻き込まれそうだけど」

「セバスチャンさんは、来ているだろうなぁ。まぁ、村の人達への説明はしなきゃいけないから、仕方ないか……」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 セバスさんの説明タイム!?
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