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出発直前は皆からの見送りがありました



「リーザの事だけじゃないが、困った事があったらライラさんやクレア、セバスチャンさんとかに相談すればいいからな。まぁ、早々困った事があるとは思えないけど」

「ワフワフ」


 朝の支度と、簡単な荷物の確認などの出発準備をしながら、レオと話す。

 結構な間、屋敷でお世話になっているから、今さらレオが不自由したりする事はないだろうけど、一応な。

 支度が終わった後は、ライラさんとリーザが戻ってくるのを待って、一緒に裏庭へ朝食を食べに向かった……もちろん、移動の際にリーザはレオの背中に乗ってだ。

 ラーレやがいるから、皆一緒にという事だけど、すっかり裏庭で食事するのにも慣れたなぁ……。



「タクミ様、準備はよろしいですかな?」

「はい。まぁ、準備と言っても着替えと剣を持つくらいなので、そこまでお大袈裟な準備も必要ないんですけど……移動中に必要な物は用意してくれて、助かります」

「いえ、このくらいは。とは言っても、レオ様がおられないので、少々少なくする必要がございましたが、ブレイユ村までは十分でしょう。向こうでは、デリアさんやカナートさんが滞在準備をしているようなので、到着してしまえば何事もなく過ごせるかと」

「ははは……あまり大袈裟に準備されると、変に思われそうですけどね」


 朝食を食べた後は荷物を持って、ブレイユ村への出発だ。

 荷物を持ってリーザを乗せたレオと一緒に、玄関ホールまで来ると、見送りのために使用人さん達とクレアさん達が集まってくれていた。

 そんな中、まずはセバスチャンさんから最終的な確認……荷物は起きてすぐ確認しているから問題ないし、俺の持つ物はそこまで多くなく、忘れないように剣を持つくらいだから、特に問題はない。

 レオがいなくて、フィリップさん達の乗る馬に同乗する関係上、食料とかの荷物を減らさないといけなかったみたいだけど、二日の行程だからなんとかなるだろう。


 デリアさんにお願いをした時、向こうで過ごす事に関しての準備をしておくとも受け取っているので、到着してしまえばなんとでもなりそうだしな。

 最悪水さえあれば食糧がなくても大丈夫そうだが……そんなエッケンハルトさんがやりそうな、無茶な行程はするつもりはない。

 というより、ラクトスを通るから昼食は大通りの屋台で、何か買って食べれば良さそうだしな。


「タクミさん、お気をつけて。無事のお帰りをお待ちしています」

「うん、ありがとう。まぁ、このため……というわけじゃないけど、剣の鍛錬を続けているから少々の事はなんとかなると思うよ」

「オークも軽々と倒せますからね。とは言え、ランジ村の時の事もあります。無理はしないようにしてくださいね?」


 セバスチャンさんの次はクレアから声をかけられる。

 こちらは俺が何事もなく屋敷へ戻って来れるように、という事だったけど……ランジ村の時のような無茶はもうしないし、そもそも同じような事は起こらないだろうから大丈夫だ。

 油断するつもりはないけど、オークなら一体くらいは俺一人でなんとかなるし、フィリップさんやニコラさんもいるから魔物が相手でも多少はどうにかできるだろう。

 ……自分から魔物を探して向かって行く、なんて事はしないしな。


「それと、リーザちゃんの事はお任せ下さい。無理をしないよう、気を付けて見ておきますから」

「ライラさん達にもお願いはしたけど、クレアも見てくれるなら心強いよ。レオも含めて、お願いします」

「はい」


 同じ女性であるクレアなら、リーザの体調が変化したらどうしたらいいかもちゃんと判断してくれるだろうと思う。

 ライラさんやゲルダさんだけでなく、クレアもリーザの事を請け負ってくれるなら安心だ。

 ちなみに、話題に上っているリーザは、レオに乗ったままティルラちゃんと話しており、昨日の夜起こった事を説明しているみたいだ。

 朝食の時は、あまり体調が良くないと裏庭で走ったりして遊べない、というくらいしか言っていなかったからな……大きな声で話す事でもないし、自分で説明できるのならある程度自身の体に起こっている事を理解しているんだろう。

 ライラさんあたりが、昨夜処置をしている間に説明したっぽいけど。


「それじゃレオ、リーザを頼んだぞ?」

「ワフ!」

「私もいますから、大丈夫です!」

「そうだね、ティルラちゃんもよろしく頼むよ」

「パパ、リーザいい子にして待ってるから!」

「うん。できるだけ早く帰って来るようにするからな。あまり無理はするんじゃないぞ?」


 クレアの次は、レオ達の方へ近寄ってリーザの事を頼む。

 ティルラちゃんは、リーザの事を妹のように思っているからか、胸を張って請け負ってくれた。

 自分はまだだけど、リーザから話を聞いてどうなっているのか理解しているんだろう……どう教育しているのかわからないが、年齢的にもそろそろだし、成長した女性に起こる現象の事は知っているのかも。


「キューン……」

「大丈夫。クレアにも言ったけど、無理はしないから。前回のようにはならないさ。安心してリーザの事を見ていてくれ」

「ワフゥ」


 ふと、レオが俺に鼻先を近付けて甘える声を出す。

 一瞬、寂しがっているのかと思ったけど、俺が無茶な事をしないか心配しているようだ……ランジ村の時は、レオが戻って来たらオークに襲われていて、俺が怪我をしていたからなぁ。

 離れるのが心配、というのはわからなくもない。


 考えてみれば、こちらに来てレオと離れて行動するのはほとんどなかったな……ランジ村に初めて行った時、屋敷に届け物をしてもらうようレオに走ってもらったけど、あの時とは違って最初から別々にというのは初めてか。

 そう考えると、レオが心配するのもわからなくはないけど、俺もこちらの世界に大分慣れたし、フィリップさん達もいるし向こうではデリアさんもいるから、なんとかなるだろうと思う。



「デリアさん達もいるし、あんな事はそうそう起こる事じゃないから。大丈夫だ」

「ワウ。……ワフ……ワフワフ!」

「あー、ママ。それがいいかもー!」


 安心させるように、レオの頬辺りを撫でていると少し考えるような仕草をしながら鳴いて、何かを思いついた様子のレオ。

 その鳴き声とリーザが賛成するのは、俺がいない間にフェン達が来たら、フェンリルをブレイユ村へ向かわせて、俺を守るように……というのを考え付いたらしい――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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