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リーザは確かに成長しているようでした



「病ではない……でも、リーザはお腹が痛いって……?」


 確かにリーザは痛がっていたのに、病ではないというのはどういう事なのか、俺がクレアに続いてセバスチャンさんに聞いた。


「はい。予想ではありますが……先程ライラさんとゲルダさんにも確認しましたが、おそらくそうではないかと。今、私達が部屋を出たのはその確認のためですな。クレアお嬢様はともかく、私やタクミ様が見ていてはやりにくいでしょうから」

「俺やセバスチャンさんがって、どういう事なんですか?」

「……あ、もしかして……?」


 ライラさんとゲルダさんにも確認する事って、なんだろう……? あと、俺やセバスチャンさんが見てたらやりにくい事とも言われたし……クレアは何か思い当たった様子で、口元に手を持って行っていた。

 うーん……セバスチャンさんと俺が駄目で、クレアはいても構わない……ライラさんとゲルダさんが残って……共通点は、男女であるくらいかな?

 レオも雌だし……いや、レオはちょっと特殊か。

 ともかく、男である俺やセバスチャンさんはあまりみてはいけないけど、女性のライラさんやゲルダさん、クレアは見ていても問題なさそうな病気って……? あぁ、病気じゃないって言ってたか。


「セバスチャン、もしかしてリーザちゃんは女の子から女性になった……のね?」

「今、ライラさん達が確認中ですが……おそらく」

「えっと……女性にって、え?」


 リーザが女の子なのは、見た目通りだしそれは間違いない。

 でもそれが女性になるってどういう……って、もしかして!?

 ここまでの状況と、クレアの言葉でなんとなくだけど俺にも理由が想像でき始めた。


「……もしかして、それって女性にしか来ないっていう、定期的な不調……でしょうか?」

「不調と言うのは語弊があるかもしれませんが、そうですな。男の私が口に出すのは、公には憚られますが……初潮でしょう」

「そう、リーザちゃんが……ティルラもまだなのに……」


 俺の予想は当たっていたようで、ライラさん達の確認待ちではあるけど、暫定的にはそういう事らしい。

 そうか……そういう事かぁ……シェリーだけじゃなく、リーザもちゃんと成長していたんだなぁ……。

 とりあえず、頭の中ではリーザの成長を喜ぶ方向に意識を向け、クレアの失言というかティルラちゃんの情報はシャットアウトしておいた。

 俺は男だから、それの痛みや苦しみを完全に理解する事はできないが……よく聞く話では精神的に不安定になったりするとかなんとか。


 痛みがずっと続くから、というのもあるんだろうけど……そういえばリーザは、俺が様子がおかしい事に気付くまで、嫌われたらいけないと我慢して隠そうとしていた。

 それもある種の精神的なもので、以前の事を思い出して不安定になっていたから、もしかしたら嫌わてしまうかも……なんて考えてしまったのかもしれない。

 そんな事、絶対にないのにな。


「セバスチャンさん、クレアお嬢様にタクミ様……」

「ゲルダさん。えっと、セバスチャンさんから聞きましたけど、リーザは……?」


 リーザがどういう状況なのかを理解して、納得していると部屋の扉がそっと開けられ、中からゲルダさんが顔を出した。

 ほぼ確定なんだろうけど、一応気になるのですぐにゲルダさんに問いかけた。


「はい、セバスチャンさんが予想した通りです。今、ライラさんが処置をしております」

「初めてだから、リーザちゃんの戸惑いもあるでしょうし、大変だから……ライラに任せておけば、大丈夫でしょう」

「はい。ゲルダさんも、よろしくお願いしますよ?」

「俺からも、リーザを頼みます」

「はい、畏まりました!」


 やっぱりセバスチャンさんが予想した通り、リーザに初潮が来たので間違いないようだ。

 同じ女性だし、ライラさんに任せていれば大丈夫だろうけど、クレアの言うように初めての事で戸惑っているであろうリーザの事を、ゲルダさんにもお願いする。

 痛みもそうだし色々とな……男にはわからない事が多いし、女性に任せるのが一番だろう。

 とりあえず、重い病気とかではないのでほっと一安心だ。


「タクミ様、おめでとうございます。子供の成長というのは早いですなぁ……これでリーザ様も、立派に子を産み育てる事ができるようになりました。まぁ、それは些か早すぎでしょうが」

「おめでとうございます、タクミさん」

「ありがとうございます……でいいんですかね? まぁ、リーザがちゃんと成長しているようで、病ではなかったようですし、安心しました」


 昔の日本では、穢れとされた風習もあったみたいだけど、ここではお祝い事に近いようで、セバスチャンさんとクレアの二人から祝福される。

 成長の証でもあるので、純粋にその事を喜ぶとかそういう意味もありそうだ。

 ともあれ、当人ではないのでどう反応していいかわからないが、お礼は返しておく。

 ……ん? でも、そういえば……?


「……考えてみたら、リーザってまだ七歳くらい……レインドルフさんが拾ってからなので、多少の誤差はあるんでしょうけど。それでもいって八歳くらいだと思うんです。……早すぎませんか?」


 男なので詳しくないのだが……大体小学校の高学年くらいが平均的のようなイメージだ。

 あくまで日本でのイメージだが、ティルラちゃんが十歳でまだらしいので大きな違いはなさそうでもある。

 なのにリーザは七歳から八歳でもう……と考えると、早すぎる気がするな。


「個人差がありますので、なんとも言えませんが……私が聞き及ぶ限りでも、確かに早い気はします。ですが、絶対にないとも言い切れませんな」

「そうね。――早いとリーザちゃんくらいでも、という事もないわけではないようなので、大丈夫でしょう」

「個人差……そうですよね、皆一緒なわけないですから」

「もしかしたら、獣人というのも関係しているかもしれませんが、こればっかりは調べてみないとわかりません」


 まぁ、早ければリーザくらいの年齢でも……という事だってあっておかしくはないか。

 もしかしたら本当に獣人なのも関係しているかもしれないけど、獣人に関する情報が少ないからなんとも言えない。

 さすがに、参考までにクレアの時は……なんて聞くわけにもいかないしなぁ。

 ……同じ獣人のデリアさんに聞くのはどうだろう? と一瞬浮かんだけど、クレアやライラさんの女性からならともかく、男の俺から聞かれるのはデリアさんもあまりいい気はしなさそうだしな――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


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[一言] 更新有り難う御座います。 ……まぁ、男性が口に出すのは……ねぇ?
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