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ギフトの研究を説明しました



 結構、セバスチャンさんってこういった話が好きそうだよな。

 ギフトに関連する事だからかもしれないが、よく見たらセバスチャンさんだけじゃなく、他の皆も興味深そうに俺を見ている。


「あれは見た事も無い植物でした。あの後確認しましたが、借りた薬草の本にも載っていませんでしたから」

「本にも載っていない植物……」

「その時はどういう物かわからない植物だったので、部屋の机に置いておいたんですが……その日の夜、レオが勝手に食べてしまいまして……」

「レオ様が……」

「ワフ? ……ワーフ」


 俺の説明で皆の視線がレオに向いた。

 レオの方は一度首を傾げてから、あーあれかぁと言う様子で頷く。

 正体不明の植物なんて、もしかしたら毒かもしれないんだから、勝手に食べちゃいけないぞレオ。

 あの時のは、毒とかじゃない薬草だったから良かったが。


「まぁ、そのおかげでその植物の効果がわかったんですけどね」

「その効果とは?」


 セバスチャンさんが身を乗り出して聞いて来る。

 これは、ギフト関連だからなのか、薬草だからなのかわからないが、セバスチャンさんとしては興味の尽きない話らしい。


「その植物を食べたレオは、夜にも関わらず元気になりました。確か……力が漲るとか、限界を越えて体が強くなるとか言ってたっけ。なぁ、レオ?」

「ワフ」


 レオに問いかけると、肯定するように頷いた。


「力が漲る……森の中でタクミさんに分けてもらったような、疲労が取れる薬草なのでしょうか?」

「いえ、クレアお嬢様。体が強くなると言っているという事は、疲労が取れるだけでは無いでしょう」

「セバスチャンさんの言う通りです。その薬草はそんなに試していないのではっきりとはまだわかりませんが、身体能力を上げる物だと考えています」


 体を強くするって事だからな、その後のレオは寝るまで遊んでやったが、大変だった……。

 走りたくてウズウズしてるレオを止めるのも厄介だったけなぁ。

 屋敷の中で走り回るのは、レオの大きさだと色々壊してしまうだろうから。


「身体能力を……それはまた凄そうな薬草ですね」

「実際、それなりに使える薬草だと思いますよ。自分で試した時は、いつもの倍はジャンプで飛べましたからね。いつもなら重いと感じる物を持っても、軽いと感じるようになりました」

「それは……凄いですね」

「だからタクミ様はあの時、飛んだり跳ねたりしていたのですね」


 裏庭で俺が『雑草栽培』を研究するところを見ていたライラさん。

 裏庭で良い年した男が一人で飛んだり跳ねたりする姿はシュールかもなぁと今更ながらに思った。


「ただ、まだ試した回数が少ないのでわからない事もあります」

「どんな事ですか? 今話した事がわかれば十分な気がしますけど」

「その薬草を食べた時に、どれくらい身体能力が上がるか、です。食べた人によって効果が違うのかわかりませんし、もしかしたら食べた人の持つ身体能力によっても上がる能力に幅があるかもしれません」


 俺が考えたのは、例えば数値で言うと、10ある身体能力の人が薬草を食べたとする。

 その人は10から20の能力になったとして、それが10プラスされたからなのか、倍になって20になったのかという事。

 10プラスだとするなら、身体能力20の人が食べたら30だし、倍なら40だ。

 この差は大きい。

 数値として例を考えたらだが、実際はもっと難しいだろう。

 人の身体能力を全て総合して数値化なんてここで出来るとは思わないしな。


「ええと、話が逸れましたが……その薬草を栽培出来た事で、『雑草栽培』の一つの可能性に気付いたのです」

「どのような可能性なのですか?」


 クレアさんまで身を乗り出して聞いて来た。

 見れば、意味がわかっているのかは不明だが、ティルラちゃんまでワクワクした顔で俺が話す事を聞いている。

 皆、こういう話しが好きなんだなぁ。

 好奇心旺盛なクレアさんに近しい人達って似るものなのかな?


「薬草を栽培した時、最初はその植物の効果だけじゃなく、実際の姿を思い浮かべていました。ですが、先程話した薬草は、姿形なんて知らなかったのです。つまり、何となく頭で考えてこういう薬草があればなぁというだけで栽培出来てしまったんです」

「どういう事ですかな?」

「薬草の姿を想像する事無く、実際にあるかどうかすらわからない薬草を、効果だけ想像して『雑草栽培』を使用しました。まぁ、偶然なんですけどね。そうしたら、完全に想像した通りとまでは言いませんが、想像したものと似た薬草が出来たんです」

「成る程……そういう事ですか……『雑草栽培』、凄い能力なのかもしれませんね」


 セバスチャンさんだけ、納得して頷いてる。

 他の皆はまだ理解が追い付いていないのか、真面目な顔で俺が言った事を考えているようだ。

 そんなに難しく考えなくても良いと思う、要は。


「こんな植物があれば良い、そう考えただけで、雑草という種別に入るのであれば何でも栽培出来る能力じゃないかという事ですね」

「確か、野菜は出来なかったんですよね?」

「はい、出来ませんでした。ですが、野菜と雑草の分類は曖昧な所がありますからね。考えればいくつか抜け道がありそうです。それもあって森に出発する前日、クレアさんに頼んで裏庭で色々研究させて貰いました」

「あの時はそういう事だったのですね。タクミさんが試したい事があると仰っていたので、ずっと気になっていました」


 やっぱり気にしてたんだなぁ、クレアさん。

 好奇心が強い人だから、あんな言い方をしたら気になって当然か。

 まぁ、あの時はまだ漠然とした考えだったからはっきり言えなかったんだよな。


「ははは、あの時はすみません。研究して結果が出てからと考えていたもので。それにまだ考え付いたばかりで漠然としていて、上手く説明出来そうにありませんでしたから」

「いえ……あの時はタクミさんに意地悪をされてるのかもと思った事もありましたが、今こうして教えて下さいましたから」


 意地悪って……俺はそんな事をするように見えるのかな?

 女性には紳士的に接しようとしてるつもりなんだけどなぁ……。

 出来てるかどうかは……気にしない方向で。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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