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フェリー達もそれぞれ走り方に違いがあるようでした



 フェリーの意気込みや、ハンバーグを群れのフェンリルやその他へと伝えるとなると、かなりの量を用意しないといけないだろう。

 体の大きさもあって、人間二、三人分は楽に食べてしまうからなぁ……ランジ村の時よりも、さらに多く作らないといけないと思う。

 ヘレーナさんに頼んで、材料を多く買っておいてもらおうかな? なんて俺が考えるまでもなく、既にセバスチャンさんとクレアがフェンリルの協力を得るためならばと、メイドさんに厨房へ伝えるよう指示していた。


 フェリーが相談に戻ってからさらに後だから、今すぐ必要ないと思うんだけど……。

 さすがにその辺りの事はクレアもセバスチャンさんも、わかっていると思う……きっと。

 もし大量に余らせてしまった場合は、リーザと一緒に気合を入れてハンバーグを作って皆に振る舞う事にしよう。

 フェンリル達が大量に食べる場合でも、気合を入れて作らないといけないだろうけどな――。



「……レオ、これはやる必要があるのか?」

「ワフ、ワフ!」


 裏庭で話を終えた後、屋敷の前に移動し、今はフェリーやフェン、リルルがかなりの速さで走っているのを見ている。

 気になってレオに聞いてみたんだが、訓練だから必要! と主張するように鳴かれた。

 フェリーには今ティルラちゃんとリーザが乗っており、さらになぜかセバスチャンさんがフェンに乗り、リルルにはクレアが乗っている。


「ワウ、ワウワフ!」

「人を乗せるための訓練か……まぁ、確かに提案した内容でフェンリル達が協力してくれるなら、必要かもしれないな」


 レオには、さっきフェリー達と話した内容を伝えてあるんだが、理解するとすぐに屋敷の前に移動して、走るようにフェリー達に吠えていた。

 そのフェリー達、レオに馬とは違う事を示せと言わんばかりに発破をかけられたので、かなりの勢いで走っている。

 公道を走る車と同等くらいの速度が出ているような気が……クレア達は大丈夫かな?

 ちなみにラーレは、空を飛んで参加するかと思ったが、コッカー達のパトロールを見守ると言って裏庭に残った……面倒見がいいようだ。


「……大丈夫そうだな」

「ワフ」


 行ったり来たりを繰り返して走るフェリー達、その背中に乗っているそれぞれの様子を見てみると、ほぼ楽しそうだったので問題はなさそうだった。

 ティルラちゃんとリーザの二人は、フェリーにしがみ付いて落ちないようにしているのと、フェリーが子供を乗せるのに気を遣っているのか、フェンやリルルより少し遅めだ。

 クレアは予備なのか、ティルラちゃんがラーレに乗る時に使う鞍をリルルに付けているおかげで、落とされる心配はなさそうだし、それなりに楽しそうだ……抱いているシェリーも、母親に乗って風を感じて楽しそうだな。

 速度があり過ぎて息ができないとか、振り落とされそうという事はなさそうだ……一部を除いて……。


 一部というのは、セバスチャンさん。

 走り方として一番荒っぽいフェンに乗っているせいなのか、離れて見ている俺からは少々顔が青ざめているようにも見える。

 まぁ、ラーレに乗るよりはいいんだろうけど、さすがに今までにない速度で走られたら、恐怖も感じるか……こちらも鞍が用意されているけど、フェンが走る時に上下に揺さぶられていたりする。


「ワフ……ワフワフ」

「そうだな、フェンはちょっと走り方に気を付けないといけないだろうな」


 隣でお座りしているレオが様子を見つつ、俺に報告。

 レオが言うには、フェンはもう少し練習させた方がいいとの事。

 セバスチャンさんを上下に揺さぶってしまっているからな……初めて人を乗せるのだから仕方ないか。

 むしろ、できる限り揺らさないように走っている、フェリーとリルルが優秀とも言えるのかもな。


「……最近、セバスチャンさんにあぁいう役割が多くて、少し安心している自分がいたりします……」

「あはは……」


 屋敷の門を警備していたフィリップさんが、いつの間にか俺とレオに近付いていて、ポツリと漏らす。

 確かに、フィリップさんってよく大変な目に遭う事が多いような気がする……ニャックの樽を運ぶ役目だったり、森でオークをおびき寄せる時には、ほとんど参加させられていたし……。

 まぁ、今回は人を乗せて走るという話の時に、フィリップさんが近くにいなくて、セバスチャンさんがいたからだろうと思うけど。

 とりあえず、不遇というか大変な役割が多いのを見ているので、俺としては苦笑いしかできないが。


「ワフ、ワウワフ、ワフゥ?」

「レオが、以前フィリップさんを運んだ時は、楽しかったと言っていますよ?」

「ご、ご冗談を……レオ様に乗るのが嫌というわけではありませんが、あれは生きた心地がしませんでしたから」


 あの時は、ワインを飲み過ぎて醜態を晒したとかで、セバスチャンさんに罰としてレオに括り付けられて、ラクトスまで行ったんだったな……。

 自業自得とも言えるけど、さすがに同じ体験はフィリップさんもしたくないようだ。

 レオから、なんなら同じように乗せて走ろうか? と首を傾げるのに対し、引き攣った笑顔で遠慮していた。

 さすがに俺も、乗っている人に気を遣わない状態で走るレオには、乗りたくないからなぁ。


「ワフ、ワフ! ハッハッハッハ!」

「どうした? って聞くまでもないか。見ててお前も走りたくなったんだろ?」

「ワウ!」


 何かを期待している表情で舌を出し、興奮を抑えきれない様子で俺へ主張するレオ。

 本来はフェリー達のための練習なのに、セバスチャンさんを除いて皆が楽しそうな様子を見るうちに、レオも走りたくなったようだ。

 全力で走りたいとか、単純に走るのが好きというのも多少あるんだろうけど、人を乗せてというのが重要そうだ。

 大きくなってから、人を乗せるのが楽しいのは見ててわかるんだが……もしかして小さかった頃は、俺が抱き上げたりする事が多くて、それが逆転したからとかだろうか?


「フィリップさ……いつの間にかいない。俺が乗るしかないか……レオ、くれぐれも振り落としたりするような、激しい走りは駄目だからな?」

「ワフー!」


 興奮している様子なので、ちょっと激しめに走るかもと警戒してフィリップさんに任せようと思ったんだけど……悪い予感がしたからなのかなんなのか、いつの間にか傍にはおらず、門の前でキリッとした表情で真面目に警備しているアピール中だった。

 さすがに無理矢理乗せるのは悪いから、俺が乗るしかないと観念して、注意をしながらレオの背中に乗った――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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