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偉そうな事を言ってしまいました


 

「一緒に考えて、納得してもらう……」

「ティルラちゃんが、どうしてレオ達と遊ぶのを優先させるのか……最近鍛錬に身が入っていないように感じるのか。勉強が嫌いな事や、さっきコカトリスの子供の面倒を見ると言ったのだって、ティルラちゃんなりの理由があるかもしれない。……まぁ、何も理由がない事だってあるけど」


 コカトリスに関しては、自分の従魔であるラーレがやってしまった事だから、その責任を感じてという事が大きいだろうけど、勉強はなぁ……。

 ティルラちゃんは頭のいい子だから、勉強が全然できなくて嫌い、というわけではなさそうだし、単純に外で体を動かしている方がいいと考えていてもおかしくないけど。

 ともかく、その子なりに理由があるから、それを無視して頭ごなしに否定したり無理にやらせるだけじゃなく、ちゃんと話しをするのも大事だと思うんだ。

 けどこんな事も、傍から見ていたから感じる事で、当事者が気付くのは難しい事だったりするのかもしれないな。


「なんとなく、ティルラがタクミさんの言う事を聞く理由が、わかった気がします」

「そうかな?」

「はい。以前、鍛錬を始めてすぐ、勉強を嫌がるティルラを納得させてもいました。言い聞かせるというよりも、ティルラが納得できる理由を理解させていたように思います。考えてみれば、タクミさんはいつも真っ向から否定したり、無理矢理何かをさせよう、という事はありませんでした。だから、ティルラもタクミさんには話しやすいんでしょうね」

「うーん……? なるべく上から抑えつけるような事はしないように、とは心がけてはいるけど……」


 別に、俺だって人間皆平等とか考えていたりはしないけど……クレアが言うようにできているのなら、それは俺の経験から来る事が大きいと思う。

 仕事で、散々否定されてきたからなぁ……もはや否定するのが目的じゃないかと思える時もあったし、理不尽な事は散々経験している。

 だからこそ、俺が他人と接する時は、否定するのではなくどうしたら納得できるか、理解できるかを考えて話す事を意識しているから……できているかはともかく。

 まぁ、レオを育てるうえで頭ごなしに叱るだけじゃ駄目って感じた事も、関係していると思うけど。


 こちらにだって理由や考えがあり、相手にだって理由や考えがあるのだから、それを否定するんじゃなくて、話し合って擦り合わせて……としていけば、ぶつかる事が少なかったり片方が理不尽な思いをする事は減るんじゃないか、と思う。

 事なかれ主義とか、消極的だとか言われる事もあるけど……だから俺には、感情だけでぶつかり合う人がいないのかもしれないと考えると、絶対正しいかどうかは怪しかったりもする。


「ありがとうございます、タクミさん。振り返って見て、確かにティルラが反発するのも納得できました」

「それは良かった。なにはともあれ、姉妹なんだから本音で言い合うのも悪くないし、お互い反省できるなら今回のような事があってもいいんじゃないかなと思うよ。

「そうですね。今まではティルラが小さかったので、反発されないどころか、あぁして本音で言い合うなんてことはありませんでしたから」

「さすがに、殴り合ったりとかしなければ、こういう機会も大事だって事かもしれないなぁ。ほとんど、セバスチャンさんやライラさんに言われた事だけど。……って、セバスチャンさん、何か言いたそうですが……?」

「クレアお嬢様に諭そうとしていた事を、ほとんどタクミ様に言われましたので……私は、何も言わずただ見守るだけです……」


 あー……考え方だとかはともかく、ティルラちゃんの事を考えてとかは、セバスチャンさんがクレアに助言しようとしていたのか。

 お互い本音で言い合う事なんかも、さっきセバスチャンさんに言われたばかりの言葉だし……むぅ、拗ねてしまった……。


「セバスチャンは置いておきましょう。ともかく、今はティルラがどうして最近、剣の鍛錬に身が入っていなかったかの理由です」


 あ、クレアに放っておかれて、さらに拗ねてしまったセバスチャンさん。

 時折当たりが強いというか、雑に扱う時がある気がするが……セバスチャンさんもクレアをからかったりする事があるので、お互い様か。

 ある意味、仲のいい主従と言えるのかもしれない。


「なんとなく、集中しきれていない時があるなぁ、とは俺も感じていたかな。鍛錬の一環でレオに剣を振ったり、遊ぶときなんかは全力で集中していると思うけど……」

「何か、気になる事でもあるのでしょうか? 見ている感じでは、鍛錬が嫌だとかつまらないという事ではないと思うのですけど」

「嫌がる感じはしない、と思う。ラーレがいなかったから……とかも考えられるけど、その前からのような気もするから、違うかも……」

「……なんにせよ、ここで話し合っていてもわかりそうにありませんね。ティルラに直接聞いた方がいいのでしょうか?」

「うーん……今ティルラちゃんに聞いて、正直に教えてもらえるかどうか……」

「少なくとも、クレアお嬢様が聞くのは得策ではありませんな」


 ティルラちゃんの様子が、はっきりとではないがどことなくおかしいかもと考え、クレアと頭を捻って理由を考えるけど答えが出ない。

 とにかく本人に聞いた方が……と考えたところで、いつの間にか復活したセバスチャンさんが話しに加わった。

 復活早いな……まぁ、拗ねて見せていたのも、冗談とかただのポーズだったんだろうけど。


「私では、教えてもらえないかしら?」

「本来であれば、クレアお嬢様にも教えて下さるかもしれませんが……今は感情が高ぶっておりますからな。それに、先程の喧嘩からまださほど時間も経っておりません。今クレアお嬢様が行っても、さらに反発される事が予想できるかと」

「そうですね……時間を置かずに喧嘩相手が来て、理由を教えてもらおうにも、冷静になっていなければ難しいですね」


 ライラさんが付いてくれているはずだから、多少は落ち着いてくれているだろうけど、今クレアがすぐに向かっても火に油を注ぐ結果になりかねない。

 ここは、ライラさんが聞き出すのに期待……はできないか、こちらで話して理由をというのを肝心のライラさんが知らないわけだし。

 あ、セバスチャンさんならやんわりと聞き出してくれたりしないかな?




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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