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雇用可能者リストを受け取りました



「タクミ様、こちらが追加のリストになります」

「ありがとうございます。……二つあるのはどうしてなんでしょう?」


 セバスチャンさんの気分転換に付き合わされ、戻ってきたミリナちゃんに薬草を渡したり、昼食を食べたり鍛錬をして過ごし、夕食が終わった頃合いを見計らって、二つの紙束を渡される。

 俺が薬草畑で雇っても大丈夫と判断された人達のリストなんだろうけど、分けてあるのかな?

 両方前回もらったリストよりも分厚い紙束なのはともかく、片方なんてちょっとした本になりそうなくらいの枚数だ。


「片方は、前回のリストになかった人物の詳細になっています。もう片方……そちらの枚数が多い方は、予定している面談の参加者ですな。前回のリストと合わせて、重複している者もいるのでお気を付け下さい。可能な限りで構いませんので、面談までに目を通しておいて頂ければと思います」

「成る程、そちらは別でリスト化されているんですね」


 分厚い方は、面接をする時に集まる人のリストになっているようだ。

 適当にパラパラと捲ってみると、前回同様に屋敷の使用人さんが混ざっていたので、その人はまた別という事なんだろう……あと、今回の面接に来れない人とかもか。

 それでもこれだけ分厚いのは……少なくとも、百枚以上ありそうだけど、面接リストの方は用紙一枚につき一人の情報になっているので、雇用者リストの一枚につき二人とは少し違うようだ。

 面接する人の方が直近で拘ってくるので、詳細な情報が書き込まれているらしい。


 とはいえ、年齢や性別はともかく、さすがに身長や体重、さらにはここ数年での増減なんて必要はない気がするんだけど……体重はともかく、身長は劇的に減ったりする事はないし。

 ……俺が知らないだけで、この世界ではこれが普通なんだろうか? 職歴とかも書いてあるのは、納得できるんだけどなぁ。

 食後のお茶を飲みながら、興味があるのかリーザが横から見ていたり、レオが俺の頭上から覗き込んでいる中で、受け取った紙束を見ていると、おもむろにもう一つの紙束を取り出すセバスチャンさん。


「こちらは、クレアお嬢様に……」

「私にも?」

「もちろんです。クレアお嬢様とタクミ様は担当が違いますので、雇う人員もまた別となります。ラクトスでの面談に集まるのはタクミ様が雇う人員となりますが、いずれクレアお嬢様も集めて一度見ておかなければなりません」

「確かにそうね、ありがとうセバスチャン。……それにしても、多くないかしら?」


 セバスチャンさんが取り出した紙束は、クレアの前に置かれた。

 どうやら、主に薬草畑や調合などを担当する俺とは別に、クレアの方でも雇う人員のリストは別に用意されていたらしい。

 クレアは各街や村に薬草や薬を運んだり、販売したり、販売するための店と交渉したりなどがあるため、こちらはこちらで別の人を雇わないといけないんだろうというのはわかる。

 わかるけど……紙束が俺の面接リストよりも分厚く、どこから取り出したんだろうと思っていたら、別の執事さんが手首を回したりしていたので、その人が持っていたんだろうな……ご苦労様です。


「それでも、かなり選別した方なのです。公爵家の者が広く人員を募集するとなると、仕事内容に拘わらず、大量に集まりますから」

「孤児院とかから雇う時ならまだしも、最初の段階からこういった事はした事がなかったから、少し新鮮ね」

「クレアお嬢様は交渉をなされますので、補助ができる者も必要です。後日、カレスと相談しながら決めると言うのでも良いかと思います。今はとりあえず」

 クレアは公爵家だし、領民にも評判がいいから、近くで働きたいと考える人が多いのかもしれないな。

 朝、セバスチャンさんの愚痴に付き合わされた時に聞いた話の事があっても、それ以上に利点が大きいだろうし、細かい事を考えなければ将来は安泰だから。

 一族経営している大企業の、社長に連なる人物の近くで働くようなものだろうか……? 微妙に違うか。

 給料は良さそうだし、クレアは美人だからとにかく近くで働きたい! と言う人だっているだろう……邪な考えの人物はリスト化する前に弾かれているだろうし、人を見る目があるらしいクレアが実際に見て、雇うことはないんだろうけど。

 ん? そういえば、給料って……。


「……すみません、セバスチャンさん。人を雇う事はいいんですけど……その人達の給金は、どれくらい用意したらいいんでしょうか?」

「ふむ……そういった事は本来、タクミ様に執事を付けてその者と相談をと考えていましたが……その執事に対する給金もありますから、簡単に説明しておいた方がいいですな」

「はい。ニックやミリナちゃんもいるので、ある程度仕組みはわかっていますけど、どれくらい出せばいいかという相場がわかりません……」


 ニックは、薬草を運んだりカレスさんの店で真面目に働いているようで、接客もしたりする事もあるみたいだし、雇うまでの事はともかく、更生する事も期待して相場より少し多めに給料……給金を払っている。

 ミリナちゃんは屋敷の見習いとして、今はどちらかというとクレアさんの方に属しているけど、薬草を調合したりと手伝ってくれているから、こちらは少な目ではあるけど、給金を出していたりもする。

 まぁ、ミリナちゃんは研修中とかそういう扱いで、ランジ村で正式に働き始めたら一人前以上の給金を払うつもりだ……今低めなのは、多く払おうとした俺をセバスチャンさんから注意されたからだったりもする。

 衣食住は屋敷で賄っているので、見習いのうちから多くしない方がいいと言われたからな。


 この二人はまぁ、一応なんとかなっているとしても、実際に他の人を雇うとなるとどれくらいの給金を出せばいいのか……畑を見てくれる人や、調合をしてくれる人、そういった人を管理する人等々……全員同じ給金でいいわけがないからな。

 あと、執事さんも雇うことになっているけど、その人への給金相場は全くわからない。

 それこそ全体を見る事になる人なので、安いわけもないし、出し惜しみしてブラックな職場になってもいけない。

 ……残業代が出るかどうか不安な中、身を粉にして働く経験なんて、俺が雇う人に味わって欲しくないから――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


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[一言] 更新有り難う御座います。 ……給金の[説明]ですね?
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