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獣人について話をしました



「まぁ、異端の技術……別の場所からの技術というのは、また今度詳しく話すよ」

「何があって何がないのか、わかっていない事も多いから、助かる」

「うん。まぁそれはいいんだけど……」

「ん?」


 ふと、走っている方を向いたユートさん。

 あちらに何か気になる事があるのかな? レオとか?


「昨日も見てて、話をし忘れていたんだけど……あれ、獣人だよね?」

「あぁ、リーザの事か。獣人で間違いないと思う。エッケンハルトさんや他の人達もそう言っていたし、そもそもに耳や尻尾があるから」

「そうかぁ……まぁ、レオちゃんがいるから不思議とまでは言わないけど、この辺りでは珍しかったと思うんだよね。獣人の国はこの国の北……南に位置する公爵領では、ほとんど獣人はいないと思ってた」


 ユートさんの疑問は、リーザに関する事だったみたいだ。

 リーザを保護した時に聞いたけど、国の南に位置するリーベルト公爵領では、ほとんど獣人がおらず見る事も珍しいらしい。

 一切見ない……という事ではないのかもしれないけど、北側に隣接している関係上、以前戦争があった事もあって、こちらまで来る獣人はほぼいないと考えていいんだろう。


「リーザは、ラクトスの街で出会ったんだ。最近の事なんだけど、拾って育てられてたらしくて……でもその育ててた人が亡くなったから、代わりにね。レオが保護したがっていたし、いたのがスラムだったっていうのもあって、放り出すわけにもいかなくて」

「そうかぁ。うん、それは保護したくなる境遇だろうね。スラムでの生活は……した事はないけど、見た事はあるから、過酷なのは想像がつくよ。まぁ、この公爵領ではスラム自体少ないみたいだし、僕が見たのよりはマシかもしれないけどね」


 ユートさんが見たスラムでの生活と比べて、リーザの方が過酷だったか否かはわからないが、それでも年端も行かない女の子がスラムの親玉から標的にされ、命は取られないまでもいじめられていたと考えると、過酷さに大きな違いはないように思える。

 今は笑顔いっぱいで、食べる物に心配せずレオに乗って遊んでいるから、変な同情をされないよう詳しく話すつもりはないけど……いずれ本当の親を探す時には、協力してもらうようお願いするかもしれない。

 捨てていった親だから、リーザをその親に……というのは一切考えていないけども。


「獣人かぁ……懐かしいな。以前、立派な尻尾を持った獣人に触らせてもらったけど、あれは癖になるよねー。レオちゃんも相当だけど、あれも中々……」

「……リーザの許可があれば、触ってもいいと思う。けど、変な事を考えたりは……」

「変な事なんて考えないよ! 僕の趣味はそっちじゃないからね」


 そっちじゃないと言うなら、どういう趣味なんだろうか……? という問いは、離れてこちらを見ているルグレッタさんを見て納得。

 強く当たられたり、素っ気なくされるのが好きなんだっけな……それも十分特殊な気がするけど、人の趣味にケチをつけるような事はしたくない。

 ……危険な趣味という程でもないしな。


「というか、ユートさんは獣人にあった事があるんだ?」

「まぁ、これだけ生きていたらね。それに、戦争が起きるまでは国交も盛んで、こちらに来ている獣人も珍しくなかったから。南側のこちらでは、それでも珍しかったけど……ほとんどいないとまでは言えないくらいだったかな。そもそもシルバーフェンリルも関わっている以上、獣人がこの国に害意を示す事は基本的にないよ。それでも戦争が起きちゃったんだけどね」

「へぇ~。やっぱり、リーザのような耳や大きな尻尾が?」

「うーん、それは獣人によりけりかな。ほら、あのマルチーズみたいに垂れ耳のもいたし、うさぎみたいに小さくて丸い尻尾もいたよ」

「そうなんだ……」


 人間によって容姿や体型が違うように、獣人も耳や尻尾が違ったりするものらしい。

 以前はもっと獣人を見る事があったのか……それでも南側では少なかったみたいだけど、今よりは見る事ができたんだろう。

 戦争か……国交が盛んだったのはそれ以前らしいけど、そもそもなんで親交のあった国と戦争になったんだ?


「戦争って、昨日聞いたようにこの国を狙って攻めてきたり? いや、教えられない事なら、無理に聞かないけど」

「いやー……あれはちょっと違うかな。一応、王家の恥になるから詳しくは省くけど、結局こちらが悪かった事だからね。戦争を仕掛けられるのも無理はないよ。あの時は一人で旅をしてたから、戦争が開始されてから事情を知って、急いで止めに入ったなぁ……獣人の国にも頭を下げたしね。おかげで、いつでも重要な連絡ができるよう、ルグレッタのようにお目付け役もついたんだけど」

「こちらが悪かったんだ。獣人が何か悪巧みしてとかじゃない、か……少し安心したかな」


 まぁ、こちらが悪かったために、国との争いに発展したんだから、安心というのも少し違うかもしれないけど、少なくともレオと一緒に楽しそうにしているリーザ……それと同じ種族である獣人が、この国に害意を持っていないというのは、いい事だ。

 リーザと一緒にいるからというのもあるんだろうけど、なるべくなら獣人とは争いたくない。

 俺が戦争に出るとかそういう話ではなく、自分と同じ人間と、リーザと同じ獣人が争うのはなんというか……想像でもいい気はしないから。

 それに、種族間で憎み合うというのは、レオやラーレ、ティルラちゃんやリーザを見ていると不毛にしか感じないから。


「あ、ルグレッタで思い出した。伝えておかなきゃいけない事があったんだ」

「伝えておかないといけない事?」

「一応、関係はしてるけどタクミ君にじゃなくてね。本来、それを目的にラクトスに向かっていたんだけど……そっちに行けばハルトがいるって聞いたから。シルバーフェンリルの目撃情報を聞いて、この村に寄っただけなんだよね。まぁ、ハルトやタクミ君に会えて、結果的には良かったんだけど」

「それは……ルグレッタさんに怒られたんじゃ……」

「もちろん、近いとはいえ寄り道だから、色々言われたよ。しかも人を凍らせるような冷たい目で見てまで……ゾクゾクするよね!」

「そこで嬉しそうにされても……」


 ユートさんの特殊な趣味は、俺にはついて行けないから同意を求められても困る。

 俺だったら、ルグレッタさんに冷たい目で見られて怒られたら、恐縮したり謝っただろうなぁ――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


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[一言] 更新有り難う御座います。 ……あぁ……ソッチ……。(冷たい目(ご褒美))
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