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ランジ村への途中でまたトロルドがいました



「フィリップも言っていたように、魔物が出ました。トロルドです。進行方向に複数いるのを発見致しました。……本来、このような場所にいる事は少ないと思っていたのですが……」

「トロルドが? では、他の者達が?」

「はい、危険を排除するために向かっております。ですが……出番はないでしょう。レオ様と旦那様が向かわれましたから」

「お父様が……はぁ……」

「レオが一緒なら、危なくはないと思いますよ。それに、空にはラーレもいますから……あれ? ラーレが見当たらないな……」

「キャゥ、キュウキュウ!」

「お父様の心配はしていません。というより、率先して向かって行きそうですから……。シェリーが言うには、ラーレもレオ様と一緒にいるらしいです」

「ははは、まぁエッケンハルトさんなら、確かにそうですよね。ありがとなシェリー、教えてくれて」

「キャゥ!」

「まったく、リーザちゃんも一緒にいるはずなのに……」


 セバスチャンさんが言うには、俺達が向かっている先にトロルドがいたらしい。

 道の途中でも、安全のために迂回する事もできただろうが、レオとエッケンハルトさんが向かったようなので、今頃倒されているだろう。

 溜め息を吐くクレアさんに、危険はないと安心させようとしたが……確かに、エッケンハルトさんなら喜び勇んで向かいそうでもあるな。

 どちらにせよ、空にラーレもいないから協力して倒しているんだろう。


 クレアさんは、子供が一緒にいるのに戦いに巻き込んだ事を心配しているようだけど、森での事を考えるに、リーザも一緒になって喜んでそうだからなぁ。

 ラーレに乗っているティルラちゃんは、まだしも、一番かわいそうなのは巻き込まれたアンネさんな気がするのは、俺の考え過ぎか。

 トロルドに向かった人達の中で、唯一戦う事をした事がない人でもあるし……でもまぁ、大丈夫か。

 とりあえず問題はなさそうだし、ラーレの居場所を教えてくれたシェリーにお礼を言って、撫でて待つ事にした。


「レオ、リーザ、大丈夫か?」

「ワフー」

「あ、パパ! うん、大丈夫! ママとラーレが、あっという間にやっつけちゃった」

「タクミ殿。さすがというべきか、私の出番は何もなかったぞ」

「エッケンハルトさんは、本来守られる側なので、出番がない方がいいのでは?」

「わかっているのだが、戦いとなると、体がうずいてな? レオ様もいるし、大丈夫だろうと……」

「多分、あとでクレアさんに注意されると思いますけど……」

「むぅ……」


 レオがリーザを乗せて、悠々とこちらへ歩いて戻って来るのを見つけ、声をかける。

 大丈夫なのはわかっていても、聞いてしまうのは癖みたいなものかもしれない。

 ともあれ、レオは何事もなかったかのように鳴き、リーザは興奮気味だった。

 エッケンハルトさんは……剣を抜いたままだが、それが使われていない様子で少し不満そうだな。

 とりあえず、本来なら一番に周囲を守りで固めなければいけないはずの人物が、率先して魔物に向かった事は、クレアさんに注意してもらうとして、眉を顰めるエッケンハルトさんには苦笑をするだけにしておいた。


「えっとねー、リーザとオジちゃんがママから降りたのね? そしたら、ママが凄い速さで走ったの。空からは、ラーレも来てね、あっという間にやっつけたんだ! 凄かったよー!」

「そうかぁ、見れて良かったな、リーザ?」

「うん!」

「レオも、偉かったなぁ」

「ワフワフ」


 とりあえず、エッケンハルトさんをクレアさんに引き渡し、あちらはあちらで話している様子なので、興奮気味なリーザの報告を聞く。

 レオの動きが凄かったと、嬉しそうに話す姿は微笑ましいな、うん。

 頭を撫でながら、レオの方も褒めて体をガシガシと撫でてやると、気持ち良さそうな声を漏らしていた。

 皆に何かある前に、トロルドを先に倒してくれたんだろう……まぁ、背中にエッケンハルトさんが乗ったままなのは、ご愛嬌という事で。


 レオはいつものように足の爪や、牙で噛み付いたりだろうが、ラーレの方はリーザから聞く限りでは、翼を刃のように使ってトロルドを切り裂いたらしい。

 そんな事ができたのか……魔法を使うとか、猛禽類らしくくちばしを使ってとかじゃないんだな。

 というか、背中にティルラちゃんとアンネさんを乗せたままで、よく翼を使ったものだ。

 戦闘をした興奮からなのか、今も俺達がいる場所の上空をグルグルと回っている。

 体を固定しているから大丈夫だろうけど、ティルラちゃんはともかく、アンネさんは大丈夫だろうか……? 気持ち悪くなったりしていなければいいんだが……。


「ワフワウ?」

「そうだな。確かに前もトロルドがいたな。セバスチャンさんは、この辺りに出る事は少ないと言っていたんだが……」

「タクミ様、今の話は本当ですかな?」

「あぁ、セバスチャンさん、丁度いい所に……」


 リーザの話をうんうんと聞いていると、レオが首を傾げて聞いてくる。

 目印もないため、はっきりとした場所は覚えていないが、以前ランジ村に向かう途中にトロルドを発見したのも、近い場所のはずだ。

 もう少し、ラクトスに近かったとは思うが、あの時と今回とで、移動にかける時間が違うから、正確な場所はわからない。

 レオの問いに頷いて、考えるように呟くとタイミング良くセバスチャンさんに聞こえたようで、俺の呟いた事に興味を示した。

 ……聞き耳を立ててたわけじゃないですよね?


「タクミ様、レオ様。以前もこの辺りでトロルドを見たのですか?」

「はい。正確な場所はわかりませんが、近い場所かと思います。あの時もレオが倒してくれたんだったよな?」

「ワフ!」

「そうですか……あちらの森は、フェンリルの森とは違い、ラーレのいた山へと繋がっているのですが……そちらで何かがあった? いえ、だからと言って、トロルドが森の外に出て来るかどうかは……それに、前回タクミ様が見た時と今とでは、時間が離れ過ぎている。ここしばらく、ランジ村とラクトスの間でトロルドを見たという報告はなかったはずですが……」


 以前あった事を伝えると、ぶつぶつと独り言を呟きながら長考に入るセバスチャンさん。

 北側にある森だから、シェリーのいた森とは別のようだが、ラーレのいた山とは繋がっているらしい。

 何があって、トロルドがここまで出て来たのかはわからないが、ラーレに聞けば何かわかるんじゃないかな?

 ラクトス北の山で、主のようになっていたみたいだし……森の方はわからなくても、何か知っているかもしれないから――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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