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エッケンハルトさん達を見送りました



 レオがお腹を見せる服従のポーズのままでいる覚悟を決め、ライラさんだけでなく、リーザにも撫でられている。

 もちろんだが、シルバーフェンリルとしての威厳はかけらもない。

 結局のところ、気持ち良さに負けたんだな……レオ。

 よし、俺も交ざってレオを喜ばせてやろう。

 リーザが満足するまで、レオのお腹を皆で撫で続けるという、奇妙な時間を過ごした……。


 ライラさんも退室し、夜も更けたのでそろそろ寝ようとなったあたりで、今度はリーザが尻尾を撫でて欲しいとねだり始めた。

 レオが気持ち良さそうにしていたから、感化されたんだろうな。

 仕方ないので、レオへしたように丁寧に尻尾を撫でてやると、相変わらず猫のような声を出しながら、気持ち良さそうにそのまま寝てしまった。


「にゃふふ……」

「ムフー……」

「気持ち良さそうに寝ているな……俺も寝るか」


 気持ち良さそうな寝息をを立てている、リーザとレオ。

 ちなみにレオは、お腹を撫でれられまくって満足したままの姿で寝ていた。

 お腹を冷やさないかなとも思ったが、毛があるし、多分大丈夫だろう……申し訳程度にレオの大きさに合わない毛布を掛けてやる。

 掛けるというより乗っているだけだが、ないよりはマシだろう。

 さて、明日はエッケンハルトさんとクレアさんの出立日だ……見送らないといけないから、俺もさっさと寝ないとな――。



―――――――――――――――



「それでは、出立するぞ」

「はい、お父様。――タクミさん、ティルラをよろしくお願いします」

「任せて下さい。……とは言っても、レオとラーレがいるので、俺がやる事もほとんどないんですけどね」

「ふふふ……」


 翌朝、朝食を頂いた後、ランジ村へ向かうエッケンハルトさんとクレアさんのお見送り、ついでにアンネさんも。

 エッケンハルトさんは、ランジ村に行った後は本邸に戻るため、しばしこの屋敷とのお別れだ。

 使用人さん達も気合が入っているのか、玄関ホールにずらりと並んでいる。

 軽くクレアさんと話す。


「セバスチャン、しっかりな?」

「……畏まりました」


 悪戯をするような表情で、セバスチャンさんに声をかけるエッケンハルトさんは、完全に楽しんでいる様子だった。


「「「「「旦那様、お気をつけて!! クレアお嬢様、行ってらっしゃいませ!! アンネリーゼ様、又のお越しをお待ちしております!!」」」」」」

「うむ」

「行って来るわ」

「っ! んんっ! ……お世話になりましたわ」

「また、ランジ村で!」

「父様、姉様、また後でー!」

「行ってらっしゃーい!」

「ワフ!」

「キャゥ!」


 いつもの使用人さん達が声を揃える見送りの挨拶に、頷いて踵を返し、玄関を出るエッケンハルトさんとクレアさん、アンネさんを見送った――。



「急に、静かになったなぁ……」

「そうですね。父様も姉様もいないですから……でも、私は慣れてますよ?」

「そうなのかい?」

「はい。だって、まだ子供だからっておいて行かれる事が多いですから……」

「あー、そうかぁ……」


 見送った後、薬草を作ったりとしていて、なんだかんだですぐ昼食の時間。

 昨日のように裏庭でラーレと一緒に、昼食を頂きながら呟く俺に、少し寂しそうなティルラちゃん。

 クレアさんはあまり騒ぐ人ではないが、エッケンハルトさんとアンネさんの存在感は強く、人数が少なくなったのもあって、凄く静かな食卓に思える。

 特に、エッケンハルトさんは食べる時、豪快に食べていたからというのも、急に寂しくなった理由の一つか。


 ティルラちゃんは、まだ子供だから屋敷に残される事が多いのだろう。

 ラクトスの孤児院には行っていたようだけど、あまり頻繁ではないのか。

 おいて行かれる寂しさから、前に話していた馬車の中に隠れてついて行こうとしたんだなぁ。


「ティルラお姉ちゃん、寂しい?」

「ううん、リーザちゃんもいますから、寂しくないですよ! ラーレも!」

「キィ!」

「あははは、それなら寂しくないね」

「ワフ」

「もちろん、レオ様もです!」

「ワウワウ」


 少し寂しそうな表情をしたティルラちゃんに、リーザが声をかける……やっぱり優しい子だ。

 リーザもレインドルフさんがいなくなってからは、一人だったから寂しさとかには敏感だ。

 屋敷に来てすぐの頃は、俺かレオが傍にいないと駄目だったくらいだしな。

 リーザの優しさに応えるように、笑いかけたティルラちゃんがラーレも示す。


 レオも、自分は? と主張するのに元気よくティルラちゃんは応えていた。

 うん、これなら大丈夫そうだな。

 ただ……ランジ村で薬草畑を始めたら、使用人さん達も今よりは少なくなるし、俺やレオ、リーザやクレアさんもいなくなる……その時どうするのか、考えておかないといけないかもなぁ。

 ラーレはいるが、それだけだと絶対寂しがるだろうし。


 新たな課題というか、ティルラちゃんが寂しがらないためにはどうしたらいいかを考えながら、昼食を終える。

 クレアさんやエッケンハルトさんがいないからか、ティータイムは喉を潤す程度で済ませて、ティルラちゃんとの鍛錬を開始。

 シェリーはクレアさんと一緒なので、リーザの遊び相手がいなくなってしまったが、俺達が木剣を振るのに触発されたのか、部屋からナイフを持ち出して、今は一緒に素振りをしている。

 うーん……リーザが武器を使うのは、俺としてはあまり推奨できないんだが……でも本人は楽しそうだから、止めるのは躊躇われた。


「ワッフワッフ」

「レオ様?」

「ん? どうしたんだレオ?」

「ママー」


 ティルラちゃんやリーザと鍛錬を始めてしばらく、そろそろティルラちゃんと木剣を打ちあう鍛錬をしようとしていたところで、お座りして俺達の様子を見ていたレオが近寄り、自己主張を始めた。

 誰も構ってくれる人がいなくて、寂しくなったのかな?

 だが、ゲルダさんが一緒にいてくれるし、こういう時のレオはいつもおとなしく待っていてくれるのにな……。

 俺だけでなくティルラちゃんも、手を止めてレオの方を向き、首を傾げている。


 リーザは甘えたいのか、レオに全力で抱き着いていたが……ナイフを持ったままだと危ないぞ? レオなら大丈夫だろうけど。

 俺には危険なので、あとで注意しておこう――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……長く屋敷を空けていた公爵様がお帰りに!(見送る側)
[気になる点] 「「「「「旦那様、お気をつけて!! クレアお嬢様、行ってらっしゃいませ!! アンネリーゼ様、股のお越しをお待ちしております!!」」」」」」 ・・・・股間?又じゃないかな?
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