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633/1996

料理のアレンジはヘレーナさんに任せました



 ダンデリーオンに関して、毎日どれだけ飲むかという事以外にも、俺が『雑草栽培』で作る事も決まった。

 継続的に飲んでいたら、すぐに足りなくなるだろうというのと、メイドさんからの期待の籠った熱い視線があったせいもある。

 手間としては多くかかるわけじゃないから、これくらいは別にいいんだけど……これは、ランジ村でも栽培する事になりそうだな。

 販売は特に考えていないが、エッケンハルトさんが飲むなら本邸にも運ばなければいけないし、そちらにいる使用人さん達も欲しがりそうだからなぁ……。


 昼食の後は、森へ帰るフェンとリルルを見送った。

 二体とも、俺が昼食のハンバーグを作ったと聞いて、しきりにモコモコの毛を摺り寄せていたから、また来そうな気がしてならない。

 俺はともかく、レオや屋敷の人達がいいのであれば、来るのは構わないんだが……フェンリルが出入りする貴族の屋敷、というのはどうなのか。

 レオやシェリー、ラーレがいるし……今更か。


 フェン達を見送った後は、明日出立するエッケンハルトさんとの最後の鍛錬。

 特別な事は何もしないが、森での経験を活かして今までよりも、本格的な鍛錬になっている気がする。

 基礎的な、体作りに繋がるトレーニング……自重トレーニングとかはそのままだが、俺とティルラちゃんで剣を打ち合わせる事が多かった。

 とは言っても、鍛錬なのだから木剣を使ってだ。


 森から帰って来てからは、鍛錬に使うのも刃の付いた剣ではなく、木剣を使うようになった。

 これも、オークと戦ったりした事での変化の一つだろうな――。



「ハンバーグは、肉を捏ねる時に混ぜるものでも、味が変わります。今回は卵を混ぜましたけど、あれがオークの肉だけだったら、卵なしでもつなぎがいらないと思うので……多分、もっと肉を味わえるようなハンバーグができると思いますよ」

「成る程……自由というか、料理人の腕が試される物なのですね……」

「そこまで大袈裟に考えなくてもいい、とは思いますけどね。あと、焼き方によっても違うみたいですが……こちらは、俺よりもヘレーナさんが考えた方がいいかと。俺は、そこまでこだわって作っていませんでしたから」


 明日出立予定のエッケンハルトさんが、鍛錬を少し早めに終わらせて夕食までの空き時間、俺は再びヘレーナさんと話していた。

 内容は、昼食時に作ったハンバーグやハンバーガーに関する事。

 手順の確認とか、応用ができるかどうかだな。

 俺はプロの料理人じゃないので、材料を使って手軽なハンバーグは作れても、アレンジの仕方に詳しいわけじゃない。


 焼き方に関しても同様だな。

 一応、マルチーズだった頃のレオが、食べられる食材だけを混ぜるようにして、あとは捏ねて焼くだけとの簡単な物だった。

 他にこだわる事ができそうなのは……。


「あ、そうだ。ハンバーグが焼けた後、ソースをかけたと思いますけど……」

「はい。前々から私が作っていたソースですね」

「そのソースも、色々な物を混ぜて作ったのだと思いますけど、もっとハンバーグに合うよう改良したりするのもいいかもしれません」

「ふむ……ソースで味を変えるわけですね?」

「混ぜる物によっても、ハンバーグは味や食感が変わりますが、ソースや一緒に食べる物を変えた方が、簡単に変化させられますからね」


 ソースに関しては、完全にヘレーナさん任せだ。

 日本にいた頃も、手の込んだ事はせず大体市販の物を使っていたから、作り方もよくわからないから。

 仕事に忙しくて、時間をかけられなかった事も大きいが、料理にこだわっていない男の一人暮らしなんて、そんなものだ。

 レオが喜んで食べてくれるのは嬉しかったが、料理好きというわけでもないからな。


「ハンバーガーの方は、パンの味を変える事でも、違いを出せると思います。あと、挟む物を変えてもいいですね」

「ハンバーグに合う物がいいですよね?」

「そうですね……一見合わない物でも、パンに合う物と一緒ならという事もありますし、ソースで調整する事で、合うようになったりもするかなと。一番シンプルに、ソースをかけたハンバーグをパンに挟むだけでも、十分ですけどね」

「……手抜きは、したくありませんね」

「手抜きと考えるよりは、シンプルな味の追及と考えるといいですかね。ほら、食材が少ない分、ハンバーグやソースの味が大事になりますから」

「確かに、そう考えると腕が試されますね……」


 ハンバーグを作るのが少し手間だが、他の物を用意する必要がなくて、気楽に作れるので俺は好きだ。

 だがヘレーナさんは、単純なハンバーガーを手抜きと感じたようで、少し不満そう。

 料理人の矜持のようなものだろうけど、シンプルな味の追求というのもまた、奥が深い……なんてにわかの知識で言いくるめてしまった。

 まぁ、間違ったことは言っていないと思っておこう。


「ありがとうございます、タクミ様。教えて頂いた料理、試行錯誤をさせていただき、より美味しい物を作れるように致します」

「そこまで肩肘張らなくてもいいんですけどね……期待してます」

「はい! また、ソーイを使った料理も考えさせていただきます!」

「……忙しくなってますね、手間を増やしてすみません」

「いえいえ! 嬉しい悲鳴というやつですよ。正直、行き詰っている感じもあったので、とても刺激になりました」

「助けになったのなら、良かったですよ」


 素人考えで、素人料理だったけど、ヘレーナさんにはいい刺激になってくれたみたいだ。

 ソーイの方は、一応屋敷に備蓄はあったみたいだが、新しい料理を試すくらいの量がなかったらしく、こちらは買って来ないといけないらしい。

 試すにしても、今まで使う事の少なかった食材なのだから、試行錯誤をするために多くの量が必要なんだろうな。

 このあたりは、俺がエッケンハルトさんとのランジ村視察を終えて、帰って来てからだろう。

 ヘレーナさんの頑張りに、期待したい……やっぱり、美味しい物は多くあるに越した事はないから。



「お父様、タクミさん、ラーレに許可が取れました!」

「ん、許可?」


 ヘレーナさんとの話を終え、夕食を食べるため食堂に集まる。

 朝食と昼食は裏庭だったが、夕食は屋敷の食堂だ。

 さすがに、外で食べるには暗いから。

 ……蝋燭の明かりで照らされる中での夕食、というのも雰囲気があって、良さそうではあるがな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ハンバーグって、懐の深い(アレンジ幅が大きい)料理ですしね?
[一言] 以前大豆が出てきたので、豆腐を作って豆腐ハンバーグもありなのでは?
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