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629/1996

ハンバーガーを運びました



「ほぉ、ミンチはほとんどがソーセージに使われますが、そのような使い方もできるのですなぁ」

「ソーセージ以外にも使うという事は、考えた事がありますが……ただ形を整えるという事ができませんでした。それを、卵や塩を加えてというのは、初めて見ました」

「数種類の肉だと、まとめて形になりづらいですからね。卵以外にも、混ぜて焼けば美味しくできると思います。まぁ、そこはヘレーナさん達がどうやるか……ですね?」

「……タクミ様から教えて頂いた料理、ありがたく使わせて頂きます!」

「ははは、そこまで大した料理法でもないですよ……」


 興味深そうにハンバーガーを見ているセバスチャンさんに対し、軽く説明。

 ヘレーナさんも近い発想になった事があったみたいだが、何かを混ぜるというところまで考えられなかったみたいだ。

 というか、合い挽き肉を形作るのに、卵をつなぎに入れるとは全く知らなかったら、考えに至らなくても仕方ないか。

 ともあれ、俺が知っている限りのやり方は教えたので、これから色々とアレンジされるのが楽しみだな。


 俺のような素人ではなく、料理人さんが取り組んだ方が絶対美味しい物が作れる……というのも実は考えていた。

 ……やっぱり、美味しい物はいくらあってもいいからな。


「この料理の名前は、あるのですか?」

「はい、ハンバーガーと言います。その中に入っているミンチを焼いた物がハンバーグ。パンで挟んだ物をハンバーガー、ですね」

「ハンバーガー! ハンバーグー!」


 男の一人暮らしの強い味方、ファーストフードの王様……はちょっと言い過ぎだけど、我らがハンバーガー。

 呼び名を聞かれ、セバスチャンさん達に教える俺の言葉を、リーザが真似をする。


「おっと、冷めると味が落ちるので、温かいうちに食べないと」

「でしたら、私は旦那様方を裏庭に。フェンリル達もいますからな」

「では、すぐに取り掛かります!」

「それじゃあリーザ、俺達は裏庭に運ぼうか?」

「うん!」

「タクミ様、それくらいは我々が……」

「いいんですよ。皆さん手伝ってくれていますし、これくらいはやります。それに、料理は作って皆に食べてもらうまでが料理ですからね」

「食べてもらうまでが料理……至言です!」


 熱々のチーズがかかっているため、焼いたばかりのハンバーグと重なって、数分で冷え切るという事はないが、それでも早く食べた方がいいからな。

 エッケンハルトさん達を呼びに行くセバスチャンさんを見送り、次々と焼いたハンバーグをパンに挟んでいくヘレーナさん達。

 俺とリーザも何かしようと思い、ハンバーガーを裏庭に運ぼうとしたら、料理人さんの一人に止められた。

 とはいえ、それくらいは俺達がやっても構わないだろうと、適当に遠足は帰るまで――を勝手に言いかえたら、なぜか感動されてしまった……。


 うん、まぁ……いいか。

 食べてもらって、美味しいと言ってもらうのも料理人の喜びでもあるし、大事だからな。


「あ、ヘレーナさん。さっきも言いましたが、レオやフェンリル達のは……」

「はい。パンは使わず、ソースとチーズのみですね。サラットはドレッシングをかけて、別の皿で用意させて頂きます」

「すみません、お願いします」

「ママのは、違うのー?」

「んー、レオはパンで挟んだままだと、食べにくいだろう? だから、ハンバーグのまま食べてもらうんだ」

「そうなんだー!」

「さ、一緒に運ぶぞー?」

「わかったー!」


 ハンバーガーの載ったお皿をワゴンに載せ、それを押して厨房を出る直前、ヘレーナさんにお願い。

 レオは手を使って、ハンバーガーを持って食べたりできないから、パンはなしでハンバーグのまま食べてもらうようにする。

 ヘレーナさんが頷いてくれたのを確認した後、はしゃぐリーザと一緒に、ワゴンを押して裏庭へと向かった。

 レオだけでなく、クレアさんやエッケンハルトさん、皆が喜んでくれるといいな。



「おぉ、待ちかねたぞタクミ殿!」

「ワフ! ワフ!」


 裏庭に出ると、朝食の時と同じくテーブルや椅子が用意され、待ち侘びてくれていたのか、エッケンハルトさんとレオが既に座っていた。

 レオはわかるが、エッケンハルトさんまで……。


「ははは、すみません待たせてしまって」

「それで、料理の方は……それか? 見れば、パンに何かが挟んであるようだが……」

「はい。ハンバーガーと言います。捏ねて焼いた肉に、他の具材を挟んで食べるんです」

「ワフワフワフ!」

「わかってるよレオ。ちゃんとレオには別に、ハンバーグが用意されているから」

「ワウー!」

「ママ嬉しそうだねー!」


 エッケンハルトさんの興味は、俺とリーザが運んで来たワゴンの上、作ったハンバーグへ視線と共に注がれている。

 まぁ、新しい……かどうかはともかく、知らない料理がどんな物なのか想像するのは楽しいし、ワクワクするのはわかるけどな。

 レオはレオで、行儀よくお座りしながらも目を輝かせてこちらを見ているし、尻尾をブンブンと振って興奮気味だ。

 掃除が行き届いている屋敷内とは違って、裏庭なんだから、埃だけじゃなく砂が舞ってしまうから、尻尾はもう少し落ち着けような?

 嬉しそうなレオを落ち着かせたり、皆が期待している様子を見て楽しそうにしているリーザを見ながら、テーブルに持って来たハンバーガーが載ったお皿を配膳して行く。


「フェンやリルルも、しっかり食べるんだぞ?」

「ガウー!」

「ガウゥー!」

「ワウ!」

「クーン……」

「キューン……」

「こらこら、威嚇するなよレオ。ちゃんとお腹いっぱい食べさせてやるから」


 テーブルから少し離れた場所で、こちらは地面にハンバーグの載ったお皿を置いてやる。

 こちらはフェンとリルルの分だ。

 テーブルじゃないのは、体が大きいせいもあるが、レオが許さなかったからだ。

 同じ犬というか狼なためか、上下関係に厳しいようだ。


 まあ、狼って群れで生活するために、上下関係をはっきりさせたがるらしいしな……体育会系かな?

 シェリーやラーレは、クレアさんとティルラちゃんの従魔なためか、特別扱いで一緒にテーブルで食べるのには何も言わなかった。

 フェンやリルルは、料理が食べられる事が嬉しいらしく、こちらも大きな尻尾を振って喜んでいたので、テーブルじゃない事自体は気にしていない様子。

 普段テーブルとかを使っているわけじゃないだろうし、慣れた食べ方に近い方がいいか――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


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[一言] 更新有り難うございます。 衣を着けて揚げればメンチカツに!?
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