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料理が完成しました



「さて、それではそろそろ焼きましょう」

「焼きましょー!」


 捏ねるのを手伝うのが楽しかったのか、テンションの上がったリーザが俺の言葉を真似る。

 ヘレーナさん達もそれを微笑ましく見ながら、楕円形の塊を作っていた手を止める。

 まずは、俺が焼くのを見本にして、学ぶためだろう。

 ちなみに、捏ねて用意された挽き肉は数十キロはあるくらい、大量だった。


 俺やエッケンハルトさん達だけでなく、レオやフェンリル達、ラーレもいるし、屋敷の使用人さん達も食べるからな。

 屋敷の使用人さん達が食べるのは当初、考えられていなかったらしく、俺とリーザが言い出した事でもある。

 せっかく作ったんだから、皆に食べて欲しいからな。

 手の込んだ料理じゃなくて申し訳ないけど……。


「それでは、火をつけさせて頂きます」

「はい」

「ファイアエレメンタル・キャンドル」


 鉄板の下に薪を入れ、ヘレーナさんが率先して火を付けてくれる。

 そういえば、セバスチャンさんに初めて魔法を見せてもらった時も、この魔法だったな。

 薪に火を付けたり、ろうそくに火を灯したりと聞いたのを覚えている。

 考えてみれば、焚き火に対してはレオが火を付けてくれていたから、この魔法で火を付ける所を見るのは初めてだ。


 ライターより少し大きめの火が、薪へと燃え移るのを待って、少しして燃え広がって行く。

 炭火とは違うから、目に見えて炎が上がってわかりやすいけど……火力調整はやりづらいだろうな。


「えーと、焦げたりしないように、見てて下さい。さすがにここで焼くのは初めてなので……えーと、なんどもひっくり返せば、そうそう焦げ付く事もないと思いますから」

「畏まりました」

「私も見るー!」


 コンロとフライパンで焼くよりも、火力が強いため、焦げたりしないようによく見ておく必要がありそうだ。

 ヘレーナさんにその辺りは任せる。

 慣れない焼き方だと、火が通り過ぎて焦げてしまいかねないからな。

 リーザも協力してくれるようだけど……料理未経験だから、あまり期待はしないでおこう。


「おや、美味しそうな匂いがしますね?」

「セバスチャンさん」


 焼き加減を見ながら、焦げ付かないようにして作られた肉の塊を焼いていく事しばらく、大量に焼けてでき上がっていく物を積み上げていると、ひょっこりセバスチャンさんが厨房へ顔を覗かせた。

 ダンデリーオンを厨房に持ってくるよう頼んだ後、どこかへ行っていたらしいが、昼食の様子を見に戻ってきたようだ。


「丁度、できあがったところでしたかな?」

「いえ、実はまだなんですよ……」

「ほぉ、美味しそうに焼きあがっているように見えますが……」


 俺が作っているのは、わかる人は既にわかっているだろう物……ハンバーグだ。

 だけど、形を作り、焼くだけで完成というわけじゃない。

 ソースに関しては、以前ヘレーナさんが料理で使っていたソースを、使わせてもらう事になっているので、問題ない。

 では、他に何をするのかというと……。


「ヘレーナさん。焼く前にお願いしたパンの方は……?」

「用意できております。チーズや野菜もこちらに」

「ありがとうございます」

「ほぉ、パンにチーズ……それに野菜ですかな?」


 ハンバーグを焼き始める前に、ヘレーナさんや料理人さんに頼んで、パンや他の物を用意してもらっていた。

 パンはハンバーグの大きさに合わせて切りそろえられており、チーズは軽く熱してとろけている。

 野菜は……俺としてはピクルスのような物が欲しかったんだが、それはないようなので、サラットというレタスそっくりな味と見た目の野菜で我慢する。

 焼きあがったハンバーグが積み上がる横に、大量のパンや切りそろえられたサラット、器に入ってトロトロにとろけているチーズがあるのは壮観だな。


「では……リーザ、手伝ってくれるかい?」

「うん、わかったー!」


 リーザにもお願いして、俺がパンを持ちさらに載せ、その上にハンバーグを乗せる

 ヘレーナさんが作ったソースをかけ、その上からサラットをお好みで乗せた後、器に入っているチーズをリーザがスプーンですくってかける。


「これくらい?」

「もう少しあった方が、美味しいかな?」

「はーい。じゃばー」


 熱々でとろけているチーズとはいえ、本当にリーザが口にするようにじゃばーとはかけられないが、スプーンから十分な量のチーズがかけられた。


「最後にこうして、完成です!」

「できたー!」

「ほぉ。パンに挟むのですな?」

「はい。パンに挟むのは、他でもやっていたので、こちらの方が食べやすいでしょう」


 ランジ村に行った時だったか、ヘレーナさんが作ってくれた物は、パンに様々な具を混ぜたサンドイッチのような物だった。

 サンドイッチというより、バゲッドサンドの方が近いかな? 固めのパンを使ってたし。

 あれを思い出して、以前は親しみ深かった食べ物を思い出したからな。

 パンでハンバーグを挟んで、ソースや野菜、チーズを使った物……そのものずばりハンバーガーだ!

 

 ハンバーグに付け合わせの野菜とパスタ……というよりは、こちらの方が昼食っぽからな。

 俺の勝手なイメージとか気分だけども。


「ふむふむ。肉を焼いてパンに挟む……というのは他でもありましたが、これはミンチですかな?」

「そうです。ミンチにした肉を、卵や塩を加えて形を整えて焼いた物……ですね。他にも作り方はありますが……色々と応用の効く料理ですよ」


 ハンバーグは多くの人に親しまれていて、誰もが知る料理の一つだ。

 だけどその作り方や、混ぜる食材など、様々なバリエーションがある料理でもある。

 奥が深い分、人によって多少なりとも味が違う物でもあるだろう。

 俺なんかは、レオが食べられる食材で作ったら、玉ねぎ抜きで今の作り方になっただけだが……ヘレーナさんに教えたら、色々とアレンジしてくれそうだな。


 ちなみに、コショウを入れるのも一般的みたいだが、俺は入れない。

 既に塩が入っているし、余り濃すぎる味はレオにとって良くないと思ったからな……実は塩も控えめだったりもする。

 レオはともかく、俺が食べる時はかけるソースで調整できるから、そういう意味でも便利な料理だな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難うございます。 バーガーだったか……。
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