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タンポポの呼び名が判明しました



「これが、タンポポです」

「なんとも、かわいらしい花ですな? ふむ……これは……」

「見た事はありますか?」

「植物に関しては、タクミ様がいらっしゃってから知識を得るようにしております。これはおそらく、ダンデリーオンですな」

「ダンデリーオン?」

「はい。この国ではあまり見られませんが、遠く離れた国では、ダンデリーオンを咲かせた庭園があり、見事に咲かせたその一帯は、黄色く染まってとても綺麗だそうですよ」

「それも、書物の知識で?」

「……そうなりますな。実際には見た事はありません。しかし、このかわいらしい姿を見ていると、確かにその庭園があるのなら、綺麗に咲いているのでしょうなぁ」


 タンポポは、ダンデリーオンという呼び名だったらしい。

 ……英名のダンデライオンから、少し変えた感じ……かな?

 意気揚々と説明を始めたセバスチャンさんに、書物で入手した知識だと突っ込んでみると、目をそらしながら認め、庭園の方へ話を逸らされた。

 まぁ確かに、小さなタンポポ……ダンデリーオンとはいえ、大量に咲き誇っていたら綺麗な庭園なんだろうけど。


 というか、庭園は作物としては判定されないのか……良かった。

 もしかしたら、人が手を入れている物ではなく、自然に集まって咲いた庭園なのかもな。


「それで、このダンデリーオン……タンポポでしたかな? これを使って何をなさるのですか?」

「ダンデリーオンでいいですよ、その方が少しとはいえ馴染みがあるようですし。……何をするか、ヘレーナさんに聞いていなかったんですね。えっと……っ! ――この根っこを使って、新しいお茶を作ってみようかと」


 タンポポはここでの呼び名に従って、ダンデリーオンと呼ぶ事にする。

 俺からはタンポポの方が馴染み深いが、書物にあるくらいだから、その通りの呼び名で話した方が通じやすいだろう。

 何をするのかまで、ヘレーナさんに聞いていなかったセバスチャンさんに説明するため、生えてきたばかりのダンデリーオンを地面から抜き、根っこを見せる。

 一瞬、力任せに引っこ抜こうかと思ったが、途中で茎や根っこが千切れないよう、優しく抜いた。


「お茶、ですか。当家でお出しするお茶はお口に合いませんでしたか?」

「いえ、美味しく飲ませてもらっていて、ありがたい限りです。ただ、この根で作るお茶は……えっと、興奮作用というか、普段のお茶に入っている成分がないお茶になります」

「ほぉ?」


 屋敷で出されるお茶は美味しいんだけど、そろそろコーヒーが恋しくなっていた頃だ。

 タンポポコーヒーという物があるくらい、似ている物だからな。

 まぁ、完全に同じとかそういう物ではないし、コーヒーを求めようとすると、豆の選別だとかから始めないといけなさそうだし、ダンデリーオンから始めた方がやりやすそうだ。

 豆の方は作物になっていそうな事と、タンポポなら雑草扱いだからギフトで作れるだろう、という目算もあった。


 さすがに、庭園にまでなっているとまでは考えてなかったが……『雑草栽培』で作れてラッキーだったのかもしれない。

 ちなみに、ずっとタンポポ茶と言っているのは、コーヒーという単語が通じない可能性があるためだ。

 その物がなかったり、違う呼び方だったりするかもしれないし、茶という方がわかりやすいだろうしな。


「味の方は、好みが別れると思いますが……俺が以前よく飲んでいた物と似ているんです。だから、久しぶりに飲んでみたいなぁと……」


 厳密には、同じではないけど、コーヒーがなさそうだから同じ物という事にしておいて構わないだろう。

 カフェインとか成分の説明に関しては、俺があまり詳しくない事と、この世界の人達には理解しづらい内容だろうから、とりあえず飲みたいからとしておこうか。


「タクミ様が好んで……これは、味にも期待できそうですな?」

「いえ、好みが別れるので、期待通りかどうかは人によりますね。あ、あと、体にもいいですし、多分痩せる効果も期待……できるかもしれません」

「ほぉ! それは素晴らしいですな!」

「ただ、飲み過ぎるとちょっと困った事になるかもしれません。まぁ、これはいつものお茶でも同じ事だと思いますが……」

「困った事ですかな? 何か、毒性でも?」

「毒はありません。えっとですね……トイレが近くなります」

「……ふむ。それは、今までお出ししていたお茶でもそうですな」

「やっぱりそうなんですね」


 味や見た目はコーヒーに似ているが、それよりも飲みやすい物ではある。

 でも、やっぱり苦みもあって好みが別れる味でもあるから、あまり期待しない方がいいと思う。

 俺は、仕事をするためコーヒーをがぶ飲みしていたら、あの味が癖になったという、一種の依存症に近い状態にまでなっていたから、苦みがあっても喜んで飲めるけどな。

 ダンデリーオンには、コーヒーとは違った理由で利尿作用があるはずだ。


 コーヒーなどのお茶にはカフェインが作用するが、どちらにせよ飲み過ぎるとトイレが近くなってしまう。

 そのおかげで、ダイエットだとか健康的な効果を得られる部分もあるはずだが……男ならある程度なんとかなっても、女性だとちょっとな。

 セバスチャンさんが言うには、いつものお茶にも似たような効果があるみたいだし、あちらはカフェインの効果だと思う。

 カフェインを悪者にするわけじゃないが、ダンデリーオンを飲む方が健康的かもしれないな。


「俺も詳しい方ではありませんが、いつものお茶に含まれている物よりも、ダンデリーオンの方が体にいいかもしれませんね」

「薬酒の事もありますが、体に良い物というのは、いい事ですな」


 健康に関して、まだはっきりとした考えが確立されていそうにないが、それでもやっぱり、体が丈夫であった方がいいだろう。

 病気の予防にも繋がるし、怪我をしても治りが早くなる事だってある。

 年齢による老化だって、健康であれば見た目より若いとか元気という事にも繋がるからな。

 それこそセバスチャンさんのように……って、考えてみたら、健康の事に無頓着でもセバスチャンさんは見た目の年齢より十分若くて元気だった……。

 この世界の人達が皆こうだとしたら、健康食なんて考えなくても良かったかな?




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 その国ではお茶にして無いのかな?
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