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クレアさんと一緒に焚き火を囲みました



「他は詳しくわからないのか?」

「ワフーワウワウー」


 どうやら、何となく色々な魔法が使えるのはわかってるんだけど、どういった魔法なのかまではわからないらしい。

 使ってみるまで効果がわからないって事かもな。

 まぁ、レオも俺と一緒にこの世界に来てまだ数日だ、わからない事があって当たり前だろう。

 むしろシルバーフェンリルになった影響なのかはわからないが、俺よりもこの世界について詳しいような素振りを見せてたから、何でも知ってると思い込んでた。

 最初は誇らし気な表情で使える魔法を教えてくれてたレオが段々すまなさそうな表情になって、説明出来ない事を気にしてたので、俺は隣に座るレオをガシガシと撫でた。


「わからないなら仕方ないさ。気にすんな。俺も、自分のギフト……『雑草栽培』の事をまだ全部わかってるわけじゃないからな」

「ワフワフ」


 俺がレオの体を撫でてると、顔を近づけて来たのでその頭を撫でてやった。

 モサモサしてる銀色の毛が手に気持ち良い。

 撫でてやってるのと俺の言葉で、レオは気を取り直したらしい。

 今は焚き火に当たりながら、俺に撫でられてる嬉しさを表現するために尻尾をブンブン振ってる。

 ……尻尾を振るのは良いが、焚き火に近過ぎて毛がチリチリになったりしないか少しだけ心配だ。

 そんな風にレオとまったり過ごして2時間くらいが経った頃、テントの方から何やらガサゴソと音がしてるのが聞こえた。

 フィリップさんかな? でも次の見張り交代の時間までまだあるから起きるの早くないかな?

 と思ってテントの方に視線を向けると、音がしてるのは男性用のテントじゃなくて、女性用、クレアさんとライラさんが寝ているテントの方から聞こえていた。

 ……どうしたんだろう? トイレとか?

 しばらくそちらのテントを見ていたら、中からクレアさんが出て来た。


「タクミさん、見張りお疲れ様です」

「はい。どうしたんですか? 眠れなかったとか?」

「いえ……そういうわけではありませんが……隣、良いですか?」

「……どうぞ」


 クレアさんは、レオがいる方とは反対の俺の隣に座った。

 どうしたんだろう……眠れないというわけじゃないなら、しっかり寝てた方が疲れも取れて良いと思うんだが……。


「少し……タクミさんと話がしたくて……」

「俺と……ですか?」

「はい……」


 隣に座ったクレアさんの顔を盗み見てみると、頬が赤く見える。

 それは焚き火の光なのか何なのか……。

 とにかく、クレアさんが俺と話したいとの事だ、何を話すのかはわからないがしっかり聞こう。

 レオは邪魔しないように静かにして、俺の隣で伏せの体勢をしてる。

 ただ、興味はあるのか、顔は俺とクレアさんの方を向いてる。


「あの……タクミさん」

「はい?」

「今回、この森に連れて来てくれた事……ありがとうございます」

「あぁ……えっと……気にしなくて良いですよ。俺もこの森には興味がありましたからね」


 最初に起きた時、この森にいた。

 どうやってここに移動させられたのかはわからないけど、最初にいたという事は、何か理由があるのかもしれない。

 クレアさん達の話によると、ここはフェンリルの森と呼ばれているらしい。

 一緒にいたレオがシルバーフェンリルになっている事も含めて、この森には何かあるのかもしれないからな。


「それでも、お礼を言わせて下さい。タクミさんが来てくれなければ、ここに来ることは出来なかったでしょうから」

「……はい」

「それと、お礼もそうなのですが……」

「他に何かあるんですか?」

「いえその……私がこの森に一緒に来て欲しいと誘った時の事です」

「あぁ……あの時の」


 あの時のクレアさんの表情は忘れられないな。

 前の世界で仕事に失敗した時、怒る上司には恐怖したものだが、それ以上だった……。


「その……あの後、セバスチャンに怒られました」

「セバスチャンさんに?」


 セバスチャンさんがクレアさんを心配するあまり、説教のような事を言う事もあるかもしれないと思う事はあるが、クレアさんの事を怒るとは……そこまでしてるとは思わなかった。


「セバスチャンから怒られるのはよくある事なんですが……」

「よくあるんですか……」


 そう言えば、俺と初めて会った時一人で屋敷を抜け出してこの森に来ていた。

 屋敷へと一緒に行った後、セバスチャンさんがクレアさんに苦言のように言ってた事もあったっけ。

 まぁ、無茶な事をするお嬢様を叱るのは執事の役目……なのかな?

 やっぱりクレアさんはお転婆な所があるようだ。

 何となくだが、セバスチャンさんに怒られるクレアさんの図が想像できるようになって来た。


「それで……その……私がタクミさんを誘った事で……私が誘うとタクミさんは断れないだろうと言われまして……」

「あー」

「タクミさんは屋敷にお世話になってると遠慮してる部分がありますよね。それで、まだ出会ってからの時間は短いですが、タクミさんの性格を考えると、確かに断れるような誘い方じゃなかったなと反省しました」


 確かに俺はお願いされたら断れない性格だ。

 直そうとは思ってるんだが、何でだろう……気が付くといつも色々な頼まれ事をしてる。

 仕事でも同僚から色々頼まれ、仕事が増えて処理しきれなくなる事もあった。


「タクミさんの事も考えず、私は強引に誘ってしまったのです。……本当に申し訳ありません」

「……いえ……いいんですよ。確かに俺はあの時だけに限らず、頼まれたら断れない性格です。ですが、この森に興味がある事も本当なんです」

「それでも、タクミさんを無理に誘った事は事実です。それは公爵家としてやってはいけない事なのです」

「公爵家?」


 なんだか話が大きくなって来たような……?


「公爵家は貴族の中でも上位です。なので、公爵家が何かを言うとそれを断れない人というのは絶対に居ます。権力を使う事が全て悪い事では無いのですが、我が公爵家は権力で人を無理に動かす事を固く禁じています。それなのに私はタクミさんを無理矢理誘ったのです」

「……成る程」


 何だか話が大きくなってる……俺は本当に気にしてないんだけどなぁ……とにかくまずはクレアさんの話を最後まで聞こう。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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