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586/1996

本邸を見るのはまだ先になりそうでした

新年、あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願い致します!!



「パパー、ママー!」

「お、リーザ。目が覚めたか、おはよう。――ライラさん、ありがとうございます」

「ワウー!」

「いえ、リーザちゃんは起きてすぐレオ様やタクミ様を探していましたが……森で離れて寝る事もあったためか、すぐに支度を始めてくれました」

「リーザちゃん、おはようございます!」

「キィー」

「おはよう、パパ、ママ! ――あ、ティルラお姉ちゃんとラーレもいるー! おはよう!」


 裏庭に出てすぐ、俺とレオを見つけたリーザが、元気いっぱいで駆け寄って来る。

 たっぷり寝たからか、森での疲れも取れているみたいだな。

 朝のスキンシップと、抱き着いて来るリーザを受け止めて朝の挨拶をしながら、ライラさんにお礼を言っておく。

 ライラさん曰く、起きてすぐは寝惚けていた事もあって、俺やレオの姿を探したらしい。


 森にいる時は、離れて別のテントで寝ていた事もあったから、少しくらいなら大丈夫になったようだ。

 これまでなら、寂しがって動かなくなるか、朝の支度そっちのけで俺やレオを探し始めてただろうなぁ。

 成長というか、環境に慣れてきたんだろうが……少し寂しいような、嬉しいような……これが、娘を持つ父親の心境なのかな?


 俺やレオに続いて、ティルラちゃんやラーレもリーザへと挨拶。

 すぐそちらにも気付いたリーザは、溢れ出る元気を表すような眩しい笑顔で挨拶をした。

 うんうん、挨拶ができていいこだなぁ、リーザは。

 元気な子供の挨拶というのは、一日の活力をくれるなぁ。


「あ、タクミ様、そろそろ……ティルラお嬢様も」

「朝食ですね、わかりました。――ティルラちゃん、食事の支度ができているみたいだから、食堂へ行こう!」

「はい、わかりました! ラーレ、また後でねー!」

「キィー!」

「またねー!」

「ワフ」


 朝食の支度ができているという事で、ラーレにくっ付いているティルラちゃんに声を掛ける。

 すぐにこちらへ駆け寄ったティルラちゃんは、朝食の後にでもまたラーレとお話するつもりなんだ、すぐに振り返って手を振った。

 ラーレもティルラちゃんに応えるように、翼をバサバサと動かし、鳴き声を上げる。

 浮かび上がって屋敷の上へと向かうラーレに、リーザが手を振って、レオが前足を上げていた。


 食堂へ向かう途中、執事さんと料理人さんが裏庭に向かって料理を運んでいるのとすれ違った。

 その時聞いたが、ラーレの朝食もしっかり用意されているらしい。

 好物とかは、ティルラちゃんやリーザを交えて話さないと、何を言っているのかわからないため、また後でという事らしいが、とりあえず森から持ち帰ったオーク肉を焼いて、食べてもらうよう昨日のうちにセバスチャンさんから言われていたらしい。

 さすがセバスチャンさん、抜かりがない。


「おはようございます、クレアさん。エッケンハルトさん……も?」

「おはようございます」

「おはようございます、姉様、父様! って、父様が起きてます?!」

「……おはよう。タクミ殿、ティルラ。それにレオ様とリーザも。……しかし、私がいるのが、そんなに不思議か?」

「ワフワフ」

「おはよう!」


 食堂へ入ると、既に座って待っていたクレアさんとエッケンハルトさんに挨拶する。

 その途中で、エッケンハルトさんが朝からいる事に驚いてしまった。

 昨日は安眠薬草を渡しているわけでもないし、森から帰ったばかりで起きて来ないだろうと思ってたのになぁ。

 ティルラちゃんも、俺と同じように驚いている……というか、俺よりも直球で驚いていたので、エッケンハルトさんが微妙な表情になった。


 まぁ、珍しい事だから、仕方ないと思う。

 微妙な顔のまま、俺やティルラちゃんに挨拶をした後、レオやリーザにも挨拶。


「いえ……まぁ……はい」

「はっはっはっ! まぁ、そうだろうな。私自身、起きられるとは思っていなかった。というよりだ……セバスチャンが朝からうるさくてな……?」

「旦那様、森から帰ったばかりだというのはわかっておりますが、本邸からも催促されているのです」


 さすがに直接的に言うのは憚られて、曖昧な返事になってしまったが、エッケンハルトさんは予想していたらしく、笑い飛ばしてくれた。

 こういう事を気にするような人じゃなかったな。

 ともあれ、どうやら自分の意思で起きたわけではなく、セバスチャンさんに起こされたのが理由のようだ。


「この通りだな。こちらに来てから随分と経っている。さすがにそろそろ本邸に戻らねばならんのでな、そのための準備やら何やらで、今日は朝から起こされたのだ」

「成る程。そういえば、馴染んでいましたけど……本邸が別にあるんですよね……」

「まぁ、ここは公爵家の別荘だからな」


 屋敷での生活が快適で……というわけではなく、単純に使用人さん達も含めて至れり尽くせりだから、ここが別荘という事を忘れそうになる時がある。

 本邸か……どんな場所なんだろうな……公爵家の本邸というくらいだから、この屋敷よりは大きくて、使用人さん達や護衛さん達の数は多いんだろうけど……貧困な俺の想像力では、いまいちわからなかった。


「タクミ殿、本邸に興味があるのか、ん?」

「興味と言われれば……確かにありますけど……」

「お父様、いけませんよ。タクミさんはこの屋敷で今暮らしているのです。ここを離れたら、ラクトスへの薬草も滞ってしまいます。それに、薬草畑の話も進んでいるのですから!」

「むぅ……そういえばそうだな……」


 面白そうな事を考えている、という表情で俺に聞くエッケンハルトさん。

 別荘と言われる屋敷が大きく、使用人さん達も多いのだから本邸はどうなんだろう……といった興味は確かにある。

 どうやらエッケンハルトさんは、俺を一度本邸に連れて行ってみたいらしいが、それはクレアさんによって止められた。

 多分、大きなお屋敷を見て、俺が驚く顔が見たいんだろうなぁと思う。


 ともあれ、クレアさんの言う通り、今のところラクトスへの薬草供給を主にやっている事もあって、今長い間ここから離れるわけにはいかない。

 広まった病に関しては、ラモギ不足を意図的に行っていた人物がいなくなったので、多分大丈夫だとは思うが、それでも数日森へ行っているだけで、不足してしまっているらしいからな。

 この屋敷から本邸までは、ランジ村以上に遠いらしいし、いくらレオに乗っていても、数日はかかってしまうだろう。

 向こうで滞在する事を考えても、往復で十日は見ておかないといけない……薬草畑の事もあるし、今はまだ無理そうだなぁ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 明けましておめでとう御座います。 ……レオとラーレ、どっちが速いかな?
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