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レオが魔法を使いたそうでした



「だけどセバスチャン? はっきりとは確認されていなくとも、その大きな鳥の魔物は、他の魔物を従えていたのでしょう? それなら、空を飛んでいるのが一体だけ……というのはどうなのかしら?」

「そこには私も疑問を感じます。ただ、他に鳥の魔物がいる場所もいないため、もしかしたら……と推測しての事でございますが……」

「ふぅむ……ずっと我々の頭上を飛んでいるが、他に飛んでいる者はいないな」

「そうみたいですね。レオ、どうする?」

「ワフ? ワフワフ。ガウ~」


 他の魔物を従えているはずの魔物が、一体だけここにいるというのが疑問に感じるようで、クレアさんがっセバスチャンさんに問いかけた。

 セバスチャンさんの方も、それは考えていたようで、難しそうな表情になって考え込む。

 エッケンハルトさんと俺は、もう一度空を見上げて、確かに一体だけしか飛んでいない事を確認。

 ずっと空を見上げていたレオにも、とりあえずで聞いてみた。


「それは……できるのか?」

「ワフワフ!」

「そうか……でも、変にこちらから手を出したら、挑発した事にはならないか?」

「ワフ~ワフワフ。ガウ~」

「んー、まぁ確かに親フェンリル達を見る限り、レオの言う事は間違いないのかもしれないけどな……」


 レオの言っている事は簡単だ。

 気になるなら、叩き落して聞いてみればいい、どうしてここに留まるようにして飛んでいたのかを……という事だ。

 これが地上にいるオークとかトロルドが相手なら、レオが言う事をきいて任せるんだが、相手は空を飛ぶ魔物。

 レオの能力がどれだけ高くとも、見上げている空までジャンプするのは不可能だろうし、そんな事ができるのか疑問だ。


 だがレオは、俺の問いに簡単そうに魔法を使って叩き落せばいいと答える。

 魔法かぁ……オークを簡単に凍らせる事ができる魔法を、シェリーが使ったのだし、フェンリルより上位のシルバーフェンリルであるレオなら、それも可能なのかもしれない。

 かといって、向こうが何もしてこない以上、このままにしていた方が安全なんじゃないかとレオに言ったら、どうせ危険な魔物じゃないから、落として聞いた方が早い……と気楽に言った。

 確かに、親フェンリルなどの大量のオークを簡単に倒せる魔物すら、レオには敵わないのだから、もし飛んでいる魔物が向かって来ても、レオにとっては危険じゃないんだろう。


 そして、レオに守られている俺達も当然大丈夫、という事だ。

 うーん……一番手っ取り早いのは確かに、レオの言った事だな……どうするか。

 とりあえず、俺一人では判断が付かないので、エッケンハルトさん達にレオが言った事を通訳した。


「ふむ……確かにレオ様であれば、危険な魔物という事はないだろうな。というより、レオ様が危険と言う魔物がいるのかどうか怪しいが……」

「そうですな。このまま空を飛んでいても、いつ襲って来るとも限りません。魔物を従えると言う知能があるのであれば、レオ様のいるこちらへは何もしてこないとも思いますが……絶対ではありませんからな」

「そうね。全てではないにしても、私達はレオ様の強さを知っているわ。だから、ここはレオ様に任せた方がいいのかもしれないわね」


 俺以外の皆、意外と乗り気なようだ。

 ティルラちゃんとリーザに至っては、レオの魔法が見られるという事で、期待に目を輝かせてすらいる。

 ……シェリーを含めたフェンリル達三体は、俺やレオの話を聞いて、離れた場所へ行き、尻尾まで後ろ足の間に挟んで丸くなり、身を寄せ合って体をプルプル震わせ始めたが……どれだけレオが怖いんだろう?


「ワフ?」

「はぁ、皆やる気のようだし、レオに任せると言ってくれているからな。……というか、レオも魔法を使いたいんだろ?」

「ワフゥ~」


 やる? とばかりに鳴いて俺を見るレオ。

 その瞳は、少し嬉しそうにしている事から、魔法を使って見たいんだと察した。

 今までも、ちょっとした隙に魔法を使いたそうにしていた事もあったし、今も尻尾を振って嬉しさを隠しきれてないからな。


「わかった。だけど、皆に被害が及ぶような魔法は禁止だぞ? あと、知能があって話ができる魔物の可能性もあるから、控えめにな?」

「ワフ~!」


 あんなに強いフェンリル達が怯えている事から、レオが本気で魔法を使ったら、周囲にいる俺達人間にも影響が及ぶような気がする。

 レオに魔法を使う許可を出しながら、周囲へは影響を与えない事と、やり過ぎないようにする事だけは伝えておいた。

 楽しそうに返事をするレオは、魔法が使える喜びからか、尻尾をブンブン振っていた。

 もし、頭上を飛ぶ鳥型の魔物が、知能を持っていたら話ができるかもしれないからな。


 レオやフェンリル達のような獣型じゃないから、リーザは無理だとしても、レオやフェンリル達を介して話ができる可能性は高い。

 魔物を従えているという、セバスチャンさんの言っていた山にいる魔物なら、知能はあるだろうから。

 ただ同種族だから一緒にいる、といったオークとは違い、従えるというのは本能だけでは難しい事だ。

 それも、他種族というか人間から見て従えていると感じるのなら、知能があって意思を伝えたりはできるはずだ。


「えっと、一応少し離れましょうか。……リーザも」

「わかったー。パパー!」

「おっと! よしよし……。エッケンハルトさん達も」

「うむ、そうだな」

「シルバ―フェンリルの魔法。これまでも多少見られましたが、本格的に攻撃する魔法というのを見るのは初めてですな」

「そうね。どんな魔法なのかしら?」

「キュゥ……キュゥ……」

「ガゥ……」

「ガゥゥ……」


 レオなら配慮はしてくれるだろうが、それでも念のため魔法の影響を受けないよう、その場から離れる。

 リーザに声をかけ、レオの背中から飛び下りて俺に抱き着いて来たのを受け止め、頭を撫でながら他の人達にも声をかける。

 皆、レオが魔法を使うという事で、期待が隠せない様子だ……セバスチャンさんとクレアさんは特に、興味深々だな。

 ともあれ、数メートル離れ、フェンリル達に近い場所まで避難した俺達。


 シェリーや親フェンリルは、体をプルプルとさせながら、相変わらず尻尾も丸めてか細い声を出していた。

 ……人間の俺や、獣人のリーザは期待するような、楽しそうな雰囲気なのに、フェンリル達は怯えてばかりなんだな。

 フェンリルの本能だけにわかる、上位のシルバーフェンリルに対する恐怖なのかもしれないな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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