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リーザが戦わないよう説得する方法を考えました



「……確かにリーザにはその説明はしていなかったな」

「そうですね。一応、森の中に来る事に関して話している時に、リーザは一緒にいましたし、聞いてはいるのでしょうけど……どこまで理解しているかはちょっと……」

「例を出すのもあれですけど、アンネもその場にいたのに、よくわかっていない部分もあったんです。リーザちゃんがわからなくてもおかしくはないと思いますよ?」

「そうだな……アンネリーゼはもう少し周囲へ気を配っておくべきだとは思うが、リーザにそれを求めるわけにもいくまい。まだ子供なのだしな」

「はい。そういえばリーザは、反省会の時俺やティルラちゃんが、何故オークと戦っているのかまで、わかってはいない様子でした。レオが話していたりした関係上、シェリーの事は理解しているようでしたけど」

「とはいえ、シェリーの方も自分の食べる物は自分で……と言ったところのようだったな。つまり……」

「やっぱり、リーザちゃんはタクミさんやティルラが戦う理由を、はっきりと理解はしていないという事でしょうね」


 一応、リーザには森へ入るとオークがいる。

 それと戦う必要がある事や、危険があるというのは説明していた。

 だが、俺やティルラちゃんが鍛錬のために、それぞれオークと戦ったり、シェリーがダイエットのため……というのは詳しく説明していない。

 話をしている時にリーザは同じ場所にいたが、レオとじゃれあっていた事も多かったしな……聞いてはいても理解するにまではなっていな可能性が高いか。


 遊びでオークと戦う……とまでは思っていないだろうが、もしかしたら俺やティルラちゃんがオークを倒す事を仕事に……なんて勘違いをしている可能性だってある……いや、微妙かもだが。

 ともあれ、鍛錬のために森へ入り、オークと戦うという事を理解していないからこそ、自分も格好いい所見せるとか、シェリーのように自分で食べる物は自分で……と考えたのかもなぁ……。

 実際に戦っている所を見て、自分もやりたい! とか、オークになら勝てそう! と感じた事も大きいんだろう。

 どちらかというと、鍛錬というよりもリーザは好奇心で参加したように見えるしな。

 好奇心、というか遊びの延長と考えるなら……。


「それなら、説明したうえでリーザに諦めさせて、そのうえでこういうのはどうでしょう?」

「何か考えがあるのか?」

「リーザは、遠慮を止めてから子供特有の好奇心というか、遊び心のようなものが前面に出ているので……レオに乗っていてもらうんです。そうして、もしおびき寄せたオークが多かったらレオに倒してもらう。リーザは、特等席でそれを体験する……と」

「ふむ、成る程な。それなら、リーザの好奇心を満たせるか。……楽しそうに乗っていそうだな」

「それにレオ様なら、リーザちゃんを危険な目に合わせる事はないでしょうからね。……むしろ私が体験したいくらい」

「それでしたら、クレアお嬢様も一緒にレオ様に乗せてもらうという事でいいのでは? リーザ様はクレアお嬢様にも懐いていますし……ある意味、一番安全な場所ですから」

「そうですね。そうすればリーザもおとなしくしてくれるでしょう。まぁ、レオに許可を取らないといけませんが……そこは、俺からお願いしておきますよ」

「うむ……それでいくとするか。タクミ殿、頼んだぞ?」

「はい」

「私は、振り落とされないようにリーザちゃんを見ていますね。……レオ様に乗って戦闘体験、中々できる経験ではないわ。……今夜は、眠れるかしら?」


 リーザには、理解できるようにしっかり説明をし、そのうえでオークと戦わない事に変わる条件として、レオに乗っていてもらう。

 レオに乗る時、リーザはいつも楽しそうだし、戦闘ともなるとさらに喜んでもらえそうだしな。

 一緒にクレアさんが乗ってくれたら、興奮してレオから落ちてしまわないよう、見ていてくれるだろうし……この案が一番良さそうだ。

 あとは、レオが承諾してくれるかどうかだが、人を乗せるのが好きだし、オークを倒すのになんの苦労もしていない様子のレオなら、きっと受けてくれると思う。


 もし断られたら……別の方法を考えないといけないが、多分大丈夫だ。

 でもちゃんと、ライラさんにお願いして、ソーセージをご褒美としてあげないとな……食べ物で釣るようになってしまうから、お願いする時にはレオに教えないが。

 というかクレアさん、リーザ以上にレオに乗ることを楽しみにしていないかな?

 いつも抑えている様子だが、ティルラちゃん以上に好奇心旺盛で、お転婆なところがあるからなぁ……。


「タクミ殿、やっぱりリーザを私に預けてみる気はないか? あの才能を生かせば、素晴らしい護衛になれるぞ?」

「……だから、それは駄目ですって……」

「お父様、殺伐とした世界にリーザちゃんを連れて行こうと考えても、させませんよ!」

「あの訓練を、リーザ様が……くっ、涙が……うぅ……」

「旦那様、その悪癖は直した方がよろしいのではないですか?」


 会議で決める事を決め終わり、解散になる直前、再びリーザを訓練させたがるエッケンハルトさん。

 もしかすると、さっき感じた嫌な予感はこれだったのかもしれない……。

 ともあれ当然断ったし、今回は周囲にクレアさん達がいて味方してくれたので、すぐに諦めてくれた。


 特にクレアさんから連れて行かせないという意気込みが、強く感じられるな……それだけ可愛がっていてくれているという事だろう。

 俺も同じ意見だしな……リーザには、できるだけ平和に過ごして欲しい。

 フィリップさんは、自分が受けた事のある訓練をリーザが受ける想像をしたのか、急に涙ぐみ、セバスチャンさんは小言を言うように、エッケンハルトさんへ詰め寄っていた。

 さしものエッケンハルトさんも、言うタイミングを間違えたとばかりに、がっくりして皆のいる場所へととぼとぼと戻って行った……。


 リーザの素質のようなものを見て、ポロっと漏らしてしまったんだろうが、言うタイミングが悪かったなぁ。

 エッケンハルトさんとしては、言わずにはいられなかったのかもしれないが――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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