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昼食後に反省会を行いました



 ヨハンナさんの料理の腕を聞いて、寝る前にライラさんが料理について講義をする事になった。

 味付けを担当する事を禁止されているメイドさんも一緒に、だ。

 俺も料理ができれば……と思う部分があったので、聞きたかったが女性用テントの中で行われるようなので、断念した。

 ……屋敷に帰ったら、ヘレーナさんに聞いた方がいいのだろうか?


「美味しいです! これ、私が倒したオークなんですよね? そう考えると、さらに美味しい気がします!」

「ティルラお姉ちゃんの倒したオーク、美味しい!」


 料理に関して考えている俺の近くで、出来上がった物を受け取ったティルラちゃんとリーザが、早速とばかりに食べて喜んでいる。

 相手がオークだったり、ティルラちゃんの年齢が低すぎるような気もしたが、自分で獲得した食材の料理は格別だよなぁ、と思う。

 狩猟の経験はないが、釣り堀で俺が釣った魚をその場で焼いて食べた時は、同じ魚を食べた事があるにもかかわらず、感動もあって凄く美味しかった。

 あぁいう経験って得難い物だよなぁ、と考えながら、心の中で釣り堀に連れて行ってくれた伯父さんに感謝しながら、満面の笑顔を向け合って食事をするティルラちゃんとリーザを朗らかに見ていた。



「ライラさん、ありがとうございました。美味しかったです」

「いえ、今日の料理は、ティルラお嬢様のおかげが大きいと思いますよ? 皆、ティルラお嬢様が倒したオークだからと、ありがたがって食べていましたから」


 昼食後、片付けをしながらライラさんにお礼を言う。

 料理ができない分、担当してくれた人にはしっかり感謝しないとな。

 さっきまで笑顔を溢れさせて食事をしていた、ティルラちゃんやリーザは、満腹になって少し眠くなったのか、レオにくっ付いてうとうとしている。

 なぜかアンネさんやシェリーも一緒だが、仲が良さそうだから問題ないだろう。


 ちなみにシェリーは、凍らせたオークがバラバラになったのと、土の中に埋めてしまったので、仕方なく一体分のオークを分ける事をレオが決めた。

 さすがに自分が狩った食材以外は、完全に食事抜きというのを徹底させたいわけではなく、そういう心持ちで戦う事を意識させる事が目的だったらしい。


「ははは、ティルラちゃんは皆に可愛がられていますね。……俺が倒したオークも、美味しく食べてくれればいいんですが」

「ふふ、大丈夫ですよ。タクミ様が頑張っている事は、皆知っています。ティルラお嬢様と同じように、皆美味しく食べて頂けますよ」

「そうだといいですねぇ……」


 そんな風に、ちょっとした冗談も交えながら、ライラさんと食後の片付けを済ませた。

 他にも、メイドさんと執事さんの一人が手伝ってくれている。

 なぜかエッケンハルトさんが得意と言って率先して皿洗いをしていたが、公爵様の得意な事が皿洗いというのはどうなんだろうと思わなくもない。

 セバスチャンさんと護衛さん達は、森の中で処理したオークを回収するため、近くにはいない。


 もちろん森の中に入る前に、レオに頼んで魔物の気配を探ってもらっているから、突発的に戦闘になる怖れも少ないし、危険も少ない。

 クレアさんは、レオにくっ付いてうとうとしているティルラちゃんとシェリーを、褒めるように撫でていた。



「さてと、食事の後は先程の戦闘での反省だな」

「「はい!」」


 片付けも終わり、少しだけ休憩を挟んで反省会となった。

 エッケンハルトさんの向かいに、焚き火を挟んで俺とティルラちゃん、さらになぜかシェリーも並んで椅子代わりの丸太に座っている。

 緊張感からの解放と満腹で、眠そうにしていたティルラちゃんは気合を入れ直したようで、エッケンハルトさんの言葉に、俺と一緒に返事をした。


 ちなみにレオは、リーザを背中に乗せて川を遊泳中。

 リーザを川に沈ませたりしないよう、水にプカプカ浮きながらだからで結構楽しそうだ。

 アンネさんは、まだ処理の終えていないオークをどうするのかを見ながら、戦々恐々としている様子。

 血抜きや捌かれる場面を間近で見るのは初めてらしく、生々しい物を見て腰が引けているようだ。

 前回森へ来た時に、何度か見た事のあるクレアさんは、そんなアンネさんに呆れながらも付き添っていた。


「まず、タクミ殿だな。対処の方法は見事だった。だが、魔法で怯まなかった時の事は、考えておかねばならんぞ? 夜ならまだしも、光で怯ませるのは明るいと効果が半減するからな」

「はい。もし光が通用しなかった場合、突進の勢いが凄かったのでもう少し刀で力を削いでからと考えていました」

「うむ。だが、すれ違いざまに斬り付けるのも、限界があるだろう。受け止めるよりはいいかもしれないが、刀は丈夫とは言い難いからな。それに、オーク以外だと方向転換をする可能性もあるし、武器や魔法を使う魔物もいる。相手をよく見て、何をしようとしているのかを予測するのが大事だろう」

「はい!」


 昼間だから、光を放つ魔法を使っても、眩しさで怯ませるという効果は薄い。

 それでも、周囲に光を広げるのではなく、懐中電灯のように指向性を持たせてオークの目を狙ったからなんとか効果が出たんだろう。

 魔法を使った時、手の形を筒のようにしていたおかげだと思う……それでもやっぱり効果は薄くて、完全に止める事はできなかった。

 それに、すれ違いざまに斬り付けるのは、刀が思った以上の切れ味だったから良かったものの、いつもの剣やそれ以下しか斬れなかった場合、刀身に負担が大きくかかる。


 場合によっては刀が折れてしまう事も考えられるから、相手の勢いを利用するというのは状況次第で止めた方がいいかもしれない。

 俺が見た事のある魔物の中では、トロルドとか棍棒を持っていたし、こちらが斬り付けるだけでなく向こうからも棍棒で叩き付けられる可能性もある。

 それに、大きな棍棒でガードとかされたら、オークの足のようにあっさり切り取ったりはできなかっただろうしな。

 ともあれ、結局はエッケンハルトさんの言う通りで、相手をよく見て対処を決め、勝つ方法や負けない方法を考える必要がある事は、心にとどめておこう――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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完結しました!
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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


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[一言] 更新有り難う御座います。 タタカウ、ソシテカツ、カッタラタベル。 コレ、シゼンカイノオキテ……。
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