表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

487/1996

朝の支度をリーザにじっくり見られました



「ぐぉー……ぐぉー……」

「……エッケンハルトさん、いつ寝たんだろう? それにしても、結構大きないびきだな」


 テント内の離れた場所には、エッケンハルトさんが豪快にいびきをかきながら寝ていた。

 しばらく、起きそうにないな。

 とりあえずそっとしておこうと、テントから出る。

 テント内には、俺とエッケンハルトさんしかいなかったようで、フィリップさんのシュラフも空だった。


「あ、パパ! 起きたー?」

「あぁ、起きたよ。おはよう、リーザ」

「うん、おはよう!」

「ワウ」

「キャゥー!」

「おはようございます、タクミ様」

「おはようございます、ライラさん」


 テントから出てすぐ、川の方からリーザが俺を見つけて声を上げていた。

 そちらに近付きつつ、リーザへと返して、その場にいた皆へ朝の挨拶。

 シェリーは、足が付く程度の底の浅い場所で、水をパシャパシャさせて遊んでおり、その近くにリーザも一緒にいた。

 そういう場所なら、泳がなくてもいいからシェリーも大丈夫なんだな。


 レオは相変わらず、深い場所まで行って犬かきで泳いでいるな……泳ぐの好きだなレオ……運動のつもりなのかもしれないが。

 そんなレオやシェリー、リーザを朗らかに見守るように、川辺に佇むライラさん。

 そちらにも挨拶をして、朝の準備を始めた。


「……へぇー、パパってそんな事をしているんだねー」

「リーザには見せた事なかったかな? まぁ、男にも色々と準備は必要なんだよ」


 川で顔を洗い、ついでに伸びていた髭を剃る。

 さすがに慣れたので、髭剃り用の小刀でも怪我をする事なく綺麗に剃れた……と思う……鏡で確認できないから水面に映った自分を見るしかない。

 俺が髭を剃る様子を、リーザが興味深そうに見ていて少し恥ずかしかったが、それを表に出さないように気を付けた。

 リーザはいつも、俺が朝の用意をしている間、ティルラちゃんやライラさんに連れられて、部屋の外へ行って整えているから、見るのが初めてだったか。


 興味深そうに見るのはいいんだが……女の子が男の髭を剃る様子を見ても、何も楽しくないと思うんだがなぁ……。

 おや、ライラさんもにこやかに見てる……女性には珍しい光景だから、意外と好評?

 ……とはいえさすがに、積極的に見せるような事は考えないでおこう。



「さて、腹も膨れた事で、本日から本格的にオーク探しを……ふぁ~……」

「んん! 旦那様……」

「おぉう……すまない。あまり寝ていないのでな。ともかく、本日からオークを探し、討伐する事になる」


 朝の支度をした後、リーザやレオ、シェリーに川から上がってもらい、ライラさんの料理を手伝う。

 人数が多いから大変かと思ったが、もう一人のメイドさんもいてくれたので、すぐに終わった。

 まぁ、俺は指示を受けて食材を切ったり、洗ったりするだけなんだけどな。

 味付けと実際の調理は、ライラさんにお任せだ。


 ちなみに、シェリーは今日の朝食までは皆と一緒の料理を食べる事になっている。

 昼食以降は、自分でオークを狩って調理してもらうなりなんなり……というのがレオからの指令だ。


 その後、協力して作った朝食を皆で食べ終わる頃に、エッケンハルトさんが起きてテントから出てくる。

 寝るのが遅かったのもあるんだろうけど、やっぱり朝には弱いんだな。

 エッケンハルトさんは朝食抜きのまま、支度が終わってすぐに皆を集める。

 全員から注目される中、小規模な演説のように話し始めたエッケンハルトさんだが、肝心なところであくびをしていた。


 隣にいたセバスチャンさんに咳払いと共に注意されて、気を取り直しながら話を再開。

 ……あれから、いつまで起きていたんだろう。

 熟睡していたから、エッケンハルトさんがテントに戻って来て寝たのがいつなのか、気付かなかった。

 ふと見てみると、クレアさんも同じく眠そうで、あくびを噛み殺していた。


「……っ」


 俺からの視線を感じたのか、こちらを見たクレアさんは、自分があくびを我慢している事を見られたと、顔を背けて頬を染めていた。

 やっぱり、そういう油断している姿を見られるのは恥ずかしいか……ちょっと可愛いと感じてしまった。

 ……もしかしたら、俺の頬も少し赤いのだろうか……?


 ちなみに、クレアさんの隣にいるアンネさんは、眠そうというよりまだ疲れている様子だ。

 昨日森の中を移動した疲れは、一晩では取れなかったらしい。

 日頃運動をしたりしておらず、慣れていないのだから仕方ないか。

 そう考えると、寝不足ながらも疲れていない様子のクレアさんは、同じ貴族令嬢でありながら、体力はある方なのか……エッケンハルトさんの娘と考えると、ちょっと納得だけどな。


 ティルラちゃんは、皆の前に立つエッケンハルトさんの前で、真面目な雰囲気で話される事に集中している様子だ。

 こちらからは表情が見えないが、もしかしたら今日から本番開始とばかりに、緊張して強張ってるのかもしれない。


「まずは、レオ様に気配察知をしてもらう。タクミ殿、レオ様、大丈夫かな?」

「ワフ!」

「はい、準備できています」


 エッケンハルトさんから聞かれて、レオと一緒に返事をする。

 事前に、レオには感覚強化の薬草を食べさせており、通常よりも広く魔物の気配を感じられるようになっているはずだ。

 これで、大まかにオークがどのあたりにいるかを探るという手はずだ。


「うむ。オークがいる方向や場所がわかったら、そこへフィリップ達に向かってもらう。もしもに備えて、別の魔物やオークが散在する場合は近寄らないように注意する事」

「「「はっ!」」」

「そして、森へ入ってオークを発見した場合、そのままこちらへと挑発をし続けておびき寄せる。無理をする必要はないが、その時に数を減らせるなら減らしておく事。順番に戦わせる予定だが、基本は一対一の状況を作り出す事だからな」

「「「はっ!」」」


 フィリップさん達は、森の中へ入ってレオが察知したオークの捜索と囮役だ。

 複数いた場合は、途中で数を減らす役目でもあるが、危険な場合は無理せず連れてくるだけとなっている。

 森へ入るのは、フィリップさんとニコラさんと、もう一人の護衛さん。

 他の護衛さんとヨハンナさんは、ここに残って皆の護衛をする。


 レオも同じく、残って皆を守る役目で、それだけで十分だろうと思ったりもするが、多くの人間が森へ入ると、別の場所にいる魔物を刺激する可能性もあるため、森へ入るのは三人でという事となった。

 護衛さん達は、しっかり訓練を行った人達だから、失敗したり大きな怪我をする可能性は低そうだな――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版 第7巻 8月29日発売】

■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻挿絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


詳細ページはこちらから↓
GCノベルズ書籍紹介ページ


【コミカライズ好評連載中!】
コミックライド

【コミックス6巻8月28日発売!】
詳細ページはこちらから↓
コミックス6巻情報



作者X(旧Twitter)ページはこちら


連載作品も引き続き更新していきますのでよろしくお願いします。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 まぁ、何時もはリーザちゃんの方が遅起きですしね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ