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森への話をハンネスさんにしました



「では、タクミ様、クレアお嬢様、レオ様がお住みになる家は、そのように。費用は……本当によろしいので?」

「はい。自分で費用も出さないというのは、心苦しいので……」

「畏まりました……」

「タクミ殿は、慎み深いのだな……。遠慮せず、任せれば良いのに」


 結局、何も決まらない話の途中でセバスチャンさんが加わり、複数人が住めるそれなりの大きさで、レオがある程度自由に動けるくらいの家……という事になった。

 まだどれだけの大きさか、はっきりとイメージできなくて不安があるが、セバスチャンさんだから大丈夫だろう……と思いたい。

 費用の方は、クレアさんや使用人が住むのだからと、引かなかったエッケンハルトさんだが、俺やレオも住むのだし、俺がやり始める薬草畑のため……という事で、半分負担という事になった。

 まだ建て始めてすらいないので、はっきりとした費用はわからないが、予想される金額を聞いて、一応は払える額だと安心。


 費用の多さに、ハンネスさんは驚いていたが……まぁ、薬草を卸して大分お金が余ってるからなぁ。

 リーザの事以外に多く使う予定もないし、これからも薬草を作っていくのなら金欠になる事もないだろう。

 雇った人達への給料も、しばらく払えるだけのお金も残りそうだしな。


「慎み深いとかではなく、全部公爵家にお世話してもらうとなったら、さすがに頼り過ぎだと思っただけですよ?」

「そうか? 私がやると言っているのだから、それでいいと思うんだがなぁ?」

「お父様、人によっては過度な期待と感じて、潰れてしまう者もおります。適度に、というのがよろしいかと思いますよ?」

「まぁ、そうか。わかった。それでは、タクミ殿の要望通りに、費用は折半という事にしよう」


 この世界では、あまり遠慮するという感覚はあまり馴染みがないのか、不思議そうな顔をしているエッケンハルトさん。

 甘えられる相手には甘えておけ……という感覚かもしれないが、俺には馴染みそうにないなぁ。

 クレアさんの言っているように、公爵家から期待されてると受け取り、失敗したら……とプレッシャーに押しつぶされてしまう人もいるにはいるようだ。

 権力者からの過度な期待というのは、時に重圧になる事もあるからなぁ。


 そこまでの事を深く考えないようにしているのか、それともそもそもに考えていないのか……クレアさんに注意されているエッケンハルトさんは、確かに上流階級なんだろうなと納得した。

 いつかクレアさんも、当主を受け継いだら、同じようになるんだろうか……?


「それとタクミ様。森へ行くのは明後日になる手筈ですが、よろしいでしょうか?」

「明後日ですか? はい、わかりました。――レオ、聞いたか?」

「ワフ! ワウワウ?」

「キュゥ……」


 住む家の話が終わったところで、セバスチャンさんから森へ行く予定の確認。

 明後日か……多分だが、明日はハンネスさんを見送って、準備をする時間とするんだろうな。

 セバスチャンさんに承諾するよう頷いた後、少し離れてるレオへ声をかける。

 さっさと食事を終えていたレオは、話を聞いていたらしく、すぐに頷いて答え、シェリーへ窺うように顔を向けた。


 多分「実戦だぞ?」とでも言ってるんだろう。

 シェリーは、いよいよ実戦をする事になると、意気消沈した様子で渋々頷いていたが……大丈夫かな?

 レオによるシェリーのダイエット計画と、フェンリルとしての勘を取り戻すためらしいが……まぁ、危険だったらレオがなんとかするだろう。

 俺やエッケンハルトさん、護衛さん達もいるしな。


「森というのは、フェンリルの森の事ですかな?」

「ハンネスさん、知ってるんですか?」

「はい。行った事はありませんが……あまり遠い場所ではありませんので、話くらいは」


 俺やセバスチャンさんが、森と言って話しているのを聞いて、ハンネスさんがふと声を上げた。

 そういえば、あの森はフェンリルの森って言われてたか。

 あまり奥まで人が入らない場所らしいし、ハンネスさんが行った事がないのも頷けるが、それなりに有名らしい。


「……危険ではないのですか?」

「あー、確かに普通の人間には危険な森だな。フェンリルはあまり確認されていないが、シェリーはそこの森から拾って来たのだし、いるのは間違いない。それに、オークはよく見かけるうえ、トロルドなどの他の魔物もいるしな」


 ハンネスさんの心配はもっともだ。

 オークでさえ、油断したら怪我をする相手なのに、トロルドも以前発見したし、フェンリルも同様。

 それらの魔物がいる森へ人間が行くというのは、いくら護衛が付いているといっても、危険な事には変わりない。

 というより、普通は近付かないか……怖いもんな。


 エッケンハルトさんが、ハンネスさんの心配に頷きながら、森の危険性を承知しているとしながら、それらの危険も大した事ないと説明。

 レオがいる事で、フェンリルは敵対しない事。

 さらに、レオがいる事で、オークどころかトロルドも相手にならない事などを説明。

 フェンリルが敵対しないというのは、初めて森へ行く時レオが言った事だな。


 シルバーフェンリルに相対したフェンリルは、本能で服従する。

 それに逆らい、襲ってきたとしても、レオにとっては雑魚だとかも言ってたか。

 トロルドに関しては、実際森の中であっさり倒してたし、ランジ村に向かう時にも、俺の目の前であっさり倒した。

 あの光景は、子供が見たら泣き出しそうだったが……。


「そうですか……レオ様が……」

「うむ。レオ様がいる事で、危険な森も安全になる。もちろん、頼ってばかりではなく、こちら側も護衛を連れて行くし、細心の注意は払うがな……そもそもの目的は、レオ様に頼る事ではなくティルラに……」


 安全性と一緒に、森への目的も話すエッケンハルトさん。

 そこまで話す必要が……? とは思ったが、ランジ村やラクトスに近い屋敷にいるティルラちゃんを、自慢するためのようだ。

 一応、オークを討ち取れるくらいの実力を持った、領主側の人間が近くにいるという事も、領民の安心感につながるから……とは後でセバスチャンさんに教えられた。

 ランジ村はオークに襲われてまだあまり時間が経っていないため、その話は安心感をもたらすのに十分な役目がある、らしい。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……森へ行きましょう娘さん(レオ) ブタ(オーク)が泣く、あの森へ
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