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ロザリーちゃんにリーザを紹介しました



 薬草畑の説明やギフトの事、ワインや薬酒の説明を終え、皆で食堂へ移動する。

 大分長い事話していて、夕食の時間になったからな。

 前回と同様にハンエスさんは、お客様として一緒に食事をする事になったが、今回は当主であるエッケンハルトさんもいるため、前回よりさらに恐縮してるようだった。


「えっと……リーザ、です!」

「ロザリーです。よろしくね! ……耳と尻尾、可愛いなぁ。私も欲しい!」

「はははは! ロザリーちゃん、耳と尻尾は欲しいからと生えてくるものじゃないよ?」


 食堂にて、リーザと顔を合わせたロザリーちゃんが、獣人の耳と尻尾を見て、自分にも欲しいと言い出した。

 まさか、自分にも欲しがるとはなぁ……獣人への偏見とかはなさそうだから安心したが、少し対処に困った。

 さすがに、人間に生やすなんてできないからな。

 コスプレという言葉を頭に浮かべつつ、ロザリーちゃんに笑いながら説明。


 自分には無理だとわかって少しだけ落ち込んだようだが、それを見たリーザが、自分の耳と尻尾を触らせた事で、笑顔が戻った。

 リーザは優しい子だなぁ。


「ふわぁ……ふわふわしてるねー?」

「にゃふふ。ちょっとくすぐったい……」

「あははは、リーザの尻尾は触り心地抜群だからね」

「ワフ? ワフ!」

「レオ様も触らせてくれるんですか? やったー!」


 ロザリーちゃんがリーザの尻尾を触って、その感触を楽しんでる。

 ゆっくり触っているため、リーザはくすぐったいようだが、我慢してる。

 リーザの頭を撫でながら、ロザリーちゃんに触り心地が良い事に同意しながら声をかける。

 だが、俺の言葉を聞いたレオが一度首を傾げ、対抗心を燃やすように鳴いて尻尾をロザリーちゃんの方へ。


 レオの尻尾はリーザとはまた違った触り心地で、良い物だと思うが……対抗心を見せなくてもいいんじゃないか?

 まぁ、ロザリーちゃんが幸せそうに、レオとリーザの尻尾をそれぞれの手で触ってご満悦だから、邪魔はしないが。

 ちなみに、食堂には皆が集まっているが、それぞれ微笑ましくその光景を眺めていた。

 いや、ハンネスさんはちょっとあわあわしてたか……公爵様がいる席で、失礼な事をしてないか心配らしい。

 エッケンハルトさん達は、これくらいの事で怒ったりはしないから、大丈夫なんだけどな。


 あと、アンネさんは羨ましそうにロザリーちゃんを見てた。

 迷惑をかけたランジ村の人という事で、謝罪する立場である事を考えて何かをする事はないが……そんなに触りたいなら、正直に言えばいいのにと思う。

 まぁ、まだレオを怖がってる様子もあるから、言い出せないんだろうけども。

 ……そろそろ慣れてもいいと思うんだがなぁ。


「ハンネスさんは、獣人を見ても平気なんですか?」


 じゃれ合ってるリーザやロザリーちゃん、レオからそっと離れ、気が気じゃない様子のハンネスさんへと声をかける。

 一応、お客さんだから緊張を解しておかないとな。


 ついでだから、獣人の事も聞いてしまおう。

 ハンネスさんには、リーザの事をラクトスの一部で迫害されていた獣人の子を保護したとして、既に紹介してある。

 その時の反応を見るに、獣人が差別される事があるのを知っていそうだったし、ハンネスさん自身は変な目で見るような事もなかったので、大丈夫だと思う。

 ランジ村に行く時には、リーザも連れて行くつもりだから、前もって聞いておかないといけない事だ。


「あぁ、タクミ様。申し訳ありません、ロザリーが失礼な事を。レオ様だけでなく……公爵様にも……」

「いえ、それは大丈夫ですよ。リーザも友人が増えて嬉しそうですし。それに、エッケンハルトさん達も、こういう事を気にする人達ではありませんし」

「それをタクミ殿が言うのか? まぁ、確かに気にはしないがな」

「そうですね、お父様。ハンネスさん、私達に失礼という事は考えず、どうぞ楽にして下さい」


 俺に声をかけられたハンネスさんは、獣人の事よりもまず、ロザリーちゃんの事を謝って来た。

 リーザやレオが楽しそうにしてるから、むしろ俺としては歓迎なんだが、緊張しているハンネスさんはそうは考えなかったようだ。

 笑顔で大丈夫な事を伝えると、テーブルについていたエッケンハルトさんからツッコミが入って、気にしないと言われた。

 それにクレアさんも同意するように頷いてる。


 マナーや失礼な事だと、細かい事を気にするような人達だったら、俺はここで一緒に食事をしたりしていないからな。

 最低限の礼儀作法はあるつもりだが、それは日本での事。

 この世界でのマナーや、上流階級の事がよくわかってない俺にとって、クレアさん達のおおらかさはありがたい。

 そもそもに、レオやシェリーも一緒に食事してるし……崇めるとかそういう事は抜きにしても、それを許してる時点でなぁ……。


「それはともかく、ハンネスさんは獣人の事を?」

「詳しい事までは……ですが、昔起こった出来事は存じております。そして、それにまつわる噂も。ですが、戦に直接関わってない私共からすると、言いがかりといいますか……根も葉もない噂に過ぎないと考えております」


 思った通り、ハンネスさんは獣人に対して偏見を持ったりはしていないみたいだ。

 年齢からして、以前聞いた獣人の国との戦争の事は知ってるだろうと思っていたが、それでも噂自体が信用できないものと考えていたようだな。

 戦争へ直接関わっていた人はどうかわからないが、少なくとも、関わらず離れた場所にいた人達は、そもそもに獣人に対しての偏見は薄いのかもしれない。

 被害を受けた人や家族は、また別かもしれないが……対岸の火事ではないが、直接関わっていない事が大きいんだろう。


 それを考えると、リーザを連れてラクトスへ行った時、好奇の視線はあったとしても、嫌悪感で見られていなかったのは、ここが戦地から離れてたおかげなんだろう。

 となると、噂があった事をしり、それを利用しようとしたディームは、尚更リーザに取ってよくない存在だったんだと思えるな。

 ……早いうちに捕まえられて良かった。

 公爵家がなんとかするにしても、時間がかかると少年達のように信じ込む人が、もっと増えてたかもしれない。

 一度信じた事を覆すのは、人数が多くなる程難しくなるだろうしな……。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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