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432/1996

レオがソーセージを食べ終わりました



 ディームに関わる話が終わり、レオがソーセージを食べているのを見守る俺を残し、明日は早くから動くために少しでも寝ておく事として、クレアさんとエッケンハルトさんは食堂から出て行った。

 食堂を出る直前、安眠薬草を求められたので、メイドさんに部屋から鞄を持って来てもらって、中に入ってる薬草を渡しておいた。

 俺が原因で遅くまで起きてたんだから、少しでも休めるようにこれくらいはな。

 ……感覚強化の薬草や、身体強化の薬草も含めて、売り物用以外の薬草が少なくなってるから、明日あたりに作って補充しておこう。


「ワシャワシャ……ワフゥ……ワウ?」

「食べ終わったか。皆、話も終わって部屋に戻ったぞ?」


 夢中でソーセージを食べていたレオが、皿に載せてあった物を全て食べ終え、満足そうに息を吐く。

 そこで顔を上げて、クレアさん達がいない事を初めて知って、不思議そうに首を傾げた。

 どれだけ夢中で食べてたんだレオ……好物だからだろうが、スラムで鋭く人や音を感知していたのはなんだったのか……と思わざるを得ない。


「ほらレオ、喉も乾いただろ? 食べてばかりじゃなく、ちゃんと水を飲むんだぞ?」

「ワフ! ガフガフ……」


 クレアさん達について、食堂を出て行ったセバスチャンさんが置いてってくれた、レオ用の水を、床に置いて飲ませる。

 さすがに、バケツのような入れ物を、テーブルに置くわけにはいかないからな。

 牛乳でも良かったんだが、ラクトスとの往復をして男達を捕まえたり、大量のソーセージを食べたレオだから、水の方が喉の渇きを潤せるだろう。


「タクミ様、リーザ様の事なのですが……」

「リーザがどうかしたんですか?」


 レオが勢いよく水を飲んでいる様子を見守っていると、食堂に残ってくれたメイドさんから声をかけられた。

 リーザはライラさんに任せてきたはずだから、ちゃんと見てくれてるはずだけど……どうかしたんだろうか?


「ライラより報告されております。なんでも、タクミ様とレオ様が屋敷を出発してしばらく後、寂しくなられたようで……今はタクミ様のお部屋で休んでおられます」

「そうなんですか……やっぱり、まだ離れるのは早かったかなぁ?」

「ライラも一緒にいたようですが、眠くなってきた段階で、タクミ様やレオ様がいない事で寂しくなった……という事のようです。我々が付いておりながら、寂しく思われたとの事、申し訳ありません」

「いえいえ、まだまだリーザは小さいですからね。お世話してくれるだけでもありがたいのに、これ以上を求めたら、罰が当たりますよ」

「罰……ですか?」

「あはは、まぁそこは俺が以前いた場所での、言い回しという事で……」


 リーザの事を話し始めたメイドさんは、ライラさんより幾つか年齢を重ねているようで、メイド長とも言える風格がある。

 俺やレオのお世話係となったライラさんと違い、よくクレアさんの傍で見ていた事が多いから、もしかしなくてもそういう役割なんだろう。

 今は、クレアさんが部屋に戻ったので、他の使用人さんの代わりにここにいるんだろうと思う。


 それにしても、よく懐いてるライラさんがいても、リーザは寂しがったか……。

 遠慮がなくなって、屋敷の人達にも心を許し始めたと思ったが、まだ少し早かったのかもしれない。

 今まで寂しい思いはして来たんだろうが、俺やレオには特に懐いてる事もあって、眠くなって感情が溢れて来たのかもしれないな。

 お世話してる相手を、寂しい思いにさせた事を謝るメイドさんだが、そこまで求めるのは、さすがにな。

 そもそも、リーザを置いて出た俺が悪いのだし、メイドさんを責めるつもりは毛頭ない。


「ワフゥ……」

「お、飲み終わったか。満足したか?」

「ワフ!」

「それじゃ、部屋に戻ろうか。リーザが寂しくしてるみたいだからな」

「ワウ!」


 水を飲み干して、満足した溜め息を吐いたレオ。

 それを見て、部屋に戻るように声をかける。

 勢いよく頷くレオを連れて、メイドさんに挨拶をして食堂から部屋へと向かった。



「タクミ様、レオ様も、お帰りなさいませ」

「ただいま戻りました、ライラさん」

「ワ……ワフ……」


 部屋に入ると、ベッドの傍で座っていたライラさんが立ちあがり迎えてくれる。

 こちらにお辞儀をするライラさんに挨拶をしながら奥を見ると、ベッドにはリーザが健やかな寝息を立てて寝ている様子だった。

 俺の後から部屋に入って、リーザに帰って来た挨拶をしようとしたレオが、奥にいるリーザが寝ているのを見て、一瞬大きな声を出そうとしたのを途中で止め、囁くような小さな鳴き声でライラさんに挨拶をした。


「リーザ、寝てるんですね。寂しがっていたと聞きましたが」

「はい。タクミ様達が出て行く少し前、リーザ様に用意していた部屋にてご一緒させて頂きましたが……しばらくすると、不安になったようです。そこで、少しでもタクミ様達の気配が残っているであろう、この部屋に来たがるようになって……」

「そうですか……まだ、少し早かったですかね」

「そのようですね」

「ワフ? ワフワフ」

「レオ、起こすなよ?」

「ワウ」


 部屋を出る時に持っていた荷物は、返って来た時に迎えてくれたメイドさん達に渡してある。

 剣や刀は既に部屋に持って来られていたし、濡れた服や借りた外套は、洗濯してくれてるんだろう。

 ライラさんと話しながら、その確認をし、リーザが寝ている様子を見る。

 そういえば、リーザ用の部屋ってのもあったんだったな。


 そこでライラさんと一緒にいたはずなのに、俺やレオが近くにいないという事もあって、眠くなって来たのと一緒に、寂しくなってしまったのか。

 屋敷に連れ帰ってからは、俺やレオと一緒に寝てたから、寝る時にいないのが特に寂しくなったのかもしれない。

 嫌な夢を見たりした事もあるようだし、起きたら俺やレオに抱き着いてたりした事もあったから……まだまだ甘えたい年頃なんだろう。

 というか、リーザの年齢ならまだ親に甘える事が当然だしな。


 話してる俺とライラさんの横を抜け、ベッドに寝ているリーザを窺うように顔を近付けるレオに、一応起こさないように注意しておく。

 レオはわかってるようで、小さく囁くような声で鳴いて返事をした。

 リーザが寂しがってたと聞いて、少し心配になったのかもしれないな。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……やはり(?)リーザちゃんがヒロインか……。 頑張れお嬢様!?
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