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クレアさん達は忙しくなりそうでした



 女性だから、男性だから……というのはあまり言いたくはないが、それでもクレアさんに危ない事をして欲しくないと思うのは、俺もエッケンハルトさんと同意見だ。

 ……もしかすると、クレアさんから見る俺も、危険な事をしているように見えて、はらはらと心配させてしまっているのかもしれない。

 うん、気を付けよう。


「それはわかります。私自身が戦えるわけではありませんし、直接スラムに乗り込んだからと、何ができるわけでもありません。精々が衛兵や護衛に迷惑をかけてしまう事だろう事は、理解しています。ですが……公爵家が表だって動けないという判断をし、あまつさえタクミさんに関わりがないように見せかけて任せるなんて」

「そ、それは……すまないと思っている。――タクミ殿、この度は公爵家の代わりを任せてしまった事、また、判断を誤ったばかりに、タクミ殿が動かざるをえなくなった事、済まないと思っている」

「私も、もっと情報の精査が必要でした。今後このような事はなきよう、務めさせて頂きます」

「ははは、まぁ、間違う事は誰にでもあるんですし、気にしてませんよ。それに今回は、リーザが標的になった事で、石まで投げられる事態になりましたからね。多分、エッケンハルトさん達公爵家と、本当に関わりがなくとも、レオと一緒に動いていたと思いますし……な、レオ?」

「ワフ? ワフワフ!」


 クレアさんに詰め寄られるようにしていたエッケンハルトさんが、言い訳をするのをやめ、俺に向き直って頭を下げる。

 セバスチャンさんも、それに続いて一緒に頭を下げた。

 ちょっと見込みの悪かったエッケンハルトさんを、クレアさんがからかわれてた代わりに、弄るつもりでニックから聞いたディームの事を話したが、ここまでしっかり謝られるとは思わなかった。

 ……俺も、見込みが甘いなぁ。


 それはともかく、頭を下げるエッケンハルトさんとセバスチャンさんの二人に、笑いながら気にしてないと伝える。

 結局のところ、公爵家がどうのとは関係のない所で、リーザを標的にするという事に対して頭に来た、俺とレオが、その原因を潰しに行ったというだけの事だからな。

 公爵家と関わりがあったからこそ、リーザを発見できて、保護できたとも思うが、動機に関しては直接公爵家は関係ない。

 それこそ、もしかしたらマルク君から話を聞いた後、すぐにセバスチャンさんやエッケンハルトさんがディームに対して軍を差し向ける……という極端な事になっていても、俺とレオはディームを捕まえに行ってたかもしれないからな。


 そう思って、レオに同意してもらおうと声を掛けたら、夢中になって食べていたソーセージから顔を上げ、一瞬首を傾げた後、慌てて頷いてた。

 うん、食べるのを邪魔して悪かったな……もう少し落ち着いて食べるんだぞ?

 山のように積まれてたソーセージが、もうほとんどなくなってる……お腹が痛くなっても知らないからな?


「はぁ……タクミさん、もう少しお父様を責めてもいいんですよ?」

「いや、さすがにそこまでは……さっきも言ったように、本当にエッケンハルトさんがどうであれ、ディームの事を聞いた時点で、俺とレオはリーザが大手を振ってラクトスへ遊びに行けるよう、動いてたと思いますから、あははは」

「危険な事は、余りなさらないで下さいね?」

「あー、まぁ……気を付けます。すみません」


 溜め息を吐きながら、もっとエッケンハルトさんを責めるように言うクレアさん。

 さっきまでからかわれていたからか、まだ留飲が下がらないのかもしれない。

 ともあれ、俺自身はエッケンハルトさんやセバスチャンさんに追及して、責めるつもりは全くないからな。

 一番の目的は、リーザが楽しく過ごせるようにする事だし、その目的は恐らく達成されてるから、問題はない。

 スラムにいる、ディームの関係者による報復とかも、なさそうだし。


 笑いながら、クレアさんと話していると、少し俯き加減の上目遣いで、目を潤ませて危険な事をしないようお願いされた。

 目が潤んでいるのは、エッケンハルトさんに怒っていたためか、それとも俺が帰って来るまで心配してくれてたのを思い出したのか……。

 ……男って、なんで女性のこういう仕草に弱いんだろうなぁ……特に、気になる女性にこんな事をされたら、素直に頷くくらいしかできない……というのは、世の男性は同意してくれるはずだ。

 まぁ、男ってバカだからか、と納得しつつ、できるだけ危険な事をして心配をかけないよう、心に刻んで、約束と謝罪をした。


「とにかく、明日から森へ行くまでの間、私とセバスチャンはスラムの事に関する処理だな。ディームだけに限らず、リーザを標的にしていた者がいるかもしれん。それに、いい機会だから、ラクトスのスラムや周辺の街で色々調べる必要があるだろうからな」

「そうですな。忙しくなりそうです……」


 真剣な顔で、ディームを捕まえた後の事後処理や、これからのスラムの事への対処をすると話すエッケンハルトさん。

 それに同意するように頷いているセバスチャンさんは、忙しくなると言いながらも、ちょっと楽しそうな雰囲気だった。

 色々調べたり、悪人を見つけて……というのを、セバスチャンさんは楽しんでる節があるからなぁ……仕方ない。

 ただの説明爺さんではないしな。


「そういう事は、俺にはできませんので、お任せします」

「うむ」

「お父様、私も手伝います。……また、間違った判断をしたらいけませんし」

「……間違うつもりはないが、意見は多くあった方が良いか。わかった」


 俺には施策の事はわからないし、手や口を出すような立場でもない。

 素直にエッケンハルトさんに任せ、頭を下げた。

 そこで、クレアさんも手伝うと申し出たんだが、本気で取り組もうとしてるエッケンハルトさんが、そうそう間違える事はないだろうと思うのは、過大評価なのかどうか……。

 ともあれ、エッケンハルトさんも意見が多く聞ける事を歓迎し、クレアさんも手伝う事になったようだ。

 こういう事も、クレアさんの将来の勉強になると考えているのかもしれないな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……おかしいなぁ……。 こう見ると公爵様の方がポンコツに見えて……。
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