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424/1996

衛兵さんの事情聴取を受けました



「失礼しました、タクミ様。あの場では、名を言わないように指示されておりましたので、このような形で呼び出させて頂きました」

「あ、知ってたんですね……」

「はい、もちろんです。何度もお会いしましたからね。レオ様も……多少姿が変わって見えますが、見間違える事はありません」


 どうやら、衛兵さんは俺達の事はしっかり認識していたらしい。

 レオの方も、例え濡れて毛がぺちゃっとなっていても、わかってたみたいだ。

 俺やレオの名前を、ディーム達の前で言わないよう指示されてたらしいが……裏で糸を引いてるであろう、白髪の説明好き爺さんの顔がチラついてしまう。

 確かに、ディームや周囲の人達に名前を知られるのは得策じゃない。


 俺も、極力自分の名前やレオの名前を言わないようにしてたしな。

 これも、俺と公爵家が関わりが薄いと思わせるためだ。

 獣人……リーザを保護したとは言っているが、リーザが公爵家の屋敷にいるという事は、余り広まっていないだろうから、大丈夫だろう……多分。


「タクミ様が街に入った後、セバスチャン様から公爵様の指示書が届きました。スラムのボスであるディームを捕まえるため、タクミ様に協力しろと。その際、身を明かさぬため、タクミ様やレオ様の名は、スラムの者達がいる場所では言わぬように……との事です」

「やっぱり、セバスチャンさんからの指示ですか……」


 公爵様の指示書との事だから、エッケンハルトさんも関わってるんだろうが、セバスチャンさんが前のめりに関わろうとしている姿が、目に浮かぶ。

 悪者を懲らしめるというか……こういう事って、セバスチャンさんは楽しそうにやるからなぁ。

 おそらくだが、俺とレオが屋敷を出発した後で、伝令を走らせたんだろうと思う。

 さすがにレオが走るよりも遅いし、夜間で雨も降っているため、衛兵さん達がここに辿り着いたのが、これだけ遅れたんだろう……言っててくれればいいのに。


 もしかしたら、俺達がディームを発見し、捕まえるタイミングで衛兵さん達を差し向けるという、セバスチャンさんの計画だったり……というのは考え過ぎかな?

 本当に見つけられるかどうかすらわからなかったんだから、さすがにそんな事はないか……。


「ディームを始め、男達を捕まえて下さって、ありがとうございました」

「いえいえ、俺達はただ、許せない男を探し出しただけですよ」

「ワフ」


 俺達に向かって、頭を下げる衛兵さんに言う。

 俺達の後ろには、別の衛兵さん達が壁を作って広場から見えないようにしてあり、俺に頭を下げる姿を見られないようにしてある。

 これも、俺達の事を明かさないための配慮なんだと思うけど、ラクトスの衛兵さんは、よく訓練されてるなぁ……と感心するばかりだ。

 単純な剣の鍛錬だけなら、ここまでの配慮はできないだろうしね。


「では、後の事は、お任せ願えますか?」

「はい、それはもちろん。元々、男達を運んで捕まえてもらう予定だったので」


 衛兵さん達がここで、男達を引き取ってくれるならそれに越したことはない。

 あまり長居はしたくないし、雨に濡れてるから風呂にも入りたい。

 それに、運ぶ手間が省けるんだから、俺としてはいいこと尽くめだ。

 ディームを発見し、無力化しただけで十分だしな。


 それに、家族ごっこだとか、獣人を標的にする事に対して一言……どころか色々言った気がするが、言いたい事は言えたので、良しとする。

 あ、あと……。


「男達とは別に、縛ってない少年達がいますが……」

「はい、そのようですね。確か、男達が囲んでいたとか……?」

「はい。ディームが指示をしてリーザ……獣人の女の子をイジメるように仕向けていたのですが、色々あって、石を投げた少年が捕まった事に対する、報復をするように取り囲んでたみたいです」

「それはまた、なんとも……。石を投げた少年の件は聞き及んでいます。公爵様の本邸に送られる手筈だとか。もう悪さをするような事は考えられないでしょう」


 少年達の事を、衛兵さんに伝えておかなきゃいけない。

 悪い事は多少して来ただろうが、ディーム達程厳しくしないで欲しいとな。

 まぁ、ある程度罰を受けたり、罪を償うくらいの事はしないといけないだろうが。

 ともあれ、簡単に少年達がここにいる経緯を説明すると、衛兵さんはマルク君の事も知っていたみたいだ。


 悪い事を考えられないなんて……エッケンハルトさん、どれだけ厳しい訓練をさせるんだろう……?

 ちょっとだけ気になったが、衛兵さんも知っているような厳しい訓練のようなので、聞かない事にした。

 ……今度、フィリップさんにでも聞こう。


「ディームとは違って、率先して罪を犯していた……というわけではなさそうなので……」

「わかりました。どうするかは、聴き取りが必要でしょうが、厳しくし過ぎないように気を付けます。……まだ成人すらしていないような者達ですので、よっぽどの事でもない限りは、厳しすぎる罰が下る事はないでしょう」

「そうですか……すみませんが、お願いします」

「ワフワフ」


 衛兵さんとも、少年達には厳しくし過ぎないように約束できた。

 これで、処刑されたりとか、そこまでの事にはならないだろう。

 元々、成人していない人には、そこまでの罰が下る事はほとんどないのかもしれないけどな。

 孤児院が各街にあって、多額の寄付と健全な運営がされてるくらいだ、公爵領は子供を育てるという事に意欲的なんだろうな。


 子供がいなければ、将来の街を担う人間はいないのだから……とかエッケンハルトさんは考えててそうだ。

 中には、取り返しのつかない事をしでかす子供もいるかもしれないが、さすがにそういった人物は厳しく処罰されてるんだろう……と思う。

 未成年だからと、全てが許されるわけじゃないだろうしな。

 そうして、後の事は駆け付けた衛兵さん達に任せ、俺とレオはその場を離れた。


 あ、少年達がリーザに謝るため、屋敷に連れて行くかとか、ラクトスへリーザが来るかとか……決めてなかったな……。

 まぁそれは、エッケンハルトさんやセバスチャンさんと話せばいい事かな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 ……まぁ他人に真似できない特徴(レオ同伴)が有りますしね? 余程のアホじゃあない限りは知ってる筈!
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