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見知らぬ女性を助けました



 レオのおかげで思わぬ所で食事が出来た。

 腹も膨れた所で、そろそろこの森から出ないといけないと考える。


「レオ、この森から出るにはどうしたらいい?」

「ワウ? ワフー」


 困った時のレオ頼みじゃないけど、今日はレオが色々活躍してくれたから少し期待してしまう。

 でもさすがにわからなかったらしく、レオは首を傾げる仕草をするだけだった。


「……んー、川があるからそれに沿って動いてみるか」

「ワフ」


 川さえあれば飲み水には困らないからな。

 残ったオークの肉は……鞄とかも無いからとりあえず枝に刺して何本か焼いた後、持てるだけ持って行こう。

 準備を終え、火事にならないよう川の水で火を消して、川の流れに沿うように歩き始める。

 水が流れるという事は、下り坂という事だろうけど、坂を歩いてる感覚が無い程緩やかだ。

 多分、森なだけで山ではないんだろう。

 山で遭難よりかはなんとかなる……かもしれない。


「ワッフワッフ」


 俺の隣を歩いてるレオは機嫌が良さそうだ。

 お腹がいっぱいだからかな?


「レオ、強くなったなぁ」

「ワフ!」


 さっきのオークを仕留めたり、細切れにした動きを思い出しつつ声を掛ける。

 こちらを向いたレオの顔は何処か誇らし気だ。

 拾った時は怯えて震えるばかりだったあのレオがなぁ。

 知らない場所でわけのわからない生き物と遭遇したけど、レオといるだけで今は心強い。

 考えてみれば、拾った時からレオと一緒に居て、寂しいと思った事は無かった。

 捨てられてたレオを助けたと思ってたけど、俺も助けられてたんだな……。


「何度も言ってるけど、レオありがとな」

「ワウ? ワウワフ」


 一度首を傾げた後に吠えたレオは、お互い様と言っているような気がした。

 レオと和んだ雰囲気のまま歩いてしばらく、ふと周りの木を見て気付いた事があった。


「この森に生えてる木って……見た事ないよな……」

「ワウ?」


 別に木々に詳しいわけじゃないけど、日本で見かける木のいくつかは見た事がある。

 でも、この森に生えてる木は日本で見たどの木とも違って見えた。

 おかしなところがあるわけじゃないが、葉の形だとか枝の長さだとかが違うような気がする。

 まあ、木の種類なんて多く知ってるわけじゃないから、たまたま知らなかっただけかもしれないが……。


「まさかここが日本じゃないなんて事はないだろう」

「ワウ!」


 自分でも馬鹿な冗談を考えてると思う。

 寝て起きたら日本じゃない場所に来てたとかあるわけがない。

 それを言ったら、部屋で寝て起きたら森にいる時点でおかしいんだけど、それは考えない事にしてる。

 レオの声も肯定してるように聞こえたけど、それも無視。

 現実逃避をしてるのかもしれない……。


「……!」

「ん?」


 何かが聞こえたような気がする。


「……か! ……い!」

「!」


 人の声だ!

 俺が歩いている先から人の叫び声が聞こえた!


「行くぞレオ!」

「ワウ!」


 これがちゃんとした人だったら、道を聞けば何とかなるかもしれない。

 そんな考えで俺はレオと一緒に走ってその声がした方へと向かう。

 ……結構全力で走ってるのに、レオは歩いてる時と変わらない動きで隣について来てる。

 さすがだ……。

 ちなみに手に持っていた豚肉(串焼き?)は走り出す前に捨てた。

 人の声が聞こえたのだから、今は食料に構わなくていいだろう…………俺の夕飯…………。


「誰か! 助けて下さい!」


 助けを求める女の人の声だ。

 近づくごとにはっきりとその声が聞こえるようになる。

 でもこんな場所で助けを求めてるって、何があったんだろう。

 もしかして俺と同じように迷ったとか?

 それだと道を聞けないなぁ……。

 とにもかくにも俺は、その声が聞こえる場所へ急いだ。


「はあ……はあ……はあ……」

「ワフ」


 走っているうちに息が切れて来るが、隣のレオは余裕で付いて来てる。

 運動不足かな、俺。


「誰かー!」

「……あれは」


 助けを呼ぶ声の方へ近付いて行くうちに見えて来たのは、さっきレオが倒したオークの背中。

 その背中の向こうに地面にへたり込んで助けを呼んでる女性が見えた。

 ……金髪?

 日本ではあまり目にする事がない綺麗で長い金髪の女性だった。

 オークは叫んでる女性を見下ろしながら槍を振り上げてる。


「危ない! レオ!」

「ガウ!」


 呼びかけにすぐさま反応してくれたレオは、走ってる俺を一瞬で追い抜いてオークに飛び掛かった。


「ガウ!」


 レオが吠えると同時に、前足の爪を振ってオークを真っ二つにした。

 悲鳴も上げられなかったオークは上半身と下半身を分かたれて地面に沈んだ。


「はあ……はあ……はあ。レオ……良くやったぞ……はあ……はあ」

「ワウ!」


 走って追いついた俺は誇らし気なレオを褒め、息を整えながら襲われていた女性に声を掛ける。


「……はあ……はあ……大丈夫ですか?」

「……え……ええ。……なんとか……大丈夫です」


 答えた女性は20歳前後だろうか、綺麗な金髪に負けないくらい綺麗な顔立ちをしてる。

 多分、街を歩いてたらすれ違った男達はほとんどが振り返るんじゃないだろうかと思える程の美人だ。


「……」

「……あの……どうかされましたか?」

「……はっ。いえ、すみません。……怪我はしてませんか?」

「はい」

「ワウー」


 危ない危ない、あまりに美人だったから見惚れてた。 

 変な人と思われてなければいいけど。

 レオ、呆れたような目で見ない。


「助けて下さって、ありがとうございます。その……オークを倒したシルバーフェンリルは貴方様の従魔なのですか?」

「……シルバーフェンリル? 従魔?」

「ワウ?」


 何故かレオの事を見てシルバーフェンリルって言ってるけど……マルチーズだよな、見る影もない姿になってるけど。

 レオも首を傾げてる。

 フェンリルってあれか? ゲームとかに出て来る狼のモンスター。

 というか従魔って何?


「その……従魔って何ですか?」

「え? 魔物を従わせて使役する事……ですけど」


 魔物……魔物ねぇ……。

 俺寝る前にゲームとかしてたっけ……?


「魔物って何ですか?」

「……え、 魔物を知らないんですか!?」


 女性にすごく驚いた顔をされた。

 驚く程なの?

 皆魔物とかって知ってるのが普通なの?

 段々常識が崩れて来た気がする……。


「すみません、あまり物を知らないので……よろしければ教えて頂けませんか?」

「……はあ……えっと、魔物は自然発生した生き物の事です。何故かはわかりませんが、何処からともなく現れ。放っておくと繁殖して大発生なんかも起こると言われています。先程のオーク等は見境なく襲い掛かって来るので、ここらでは出会わないように注意が必要な魔物となっています」

「人を襲う魔物……ですか」

「ワフ?」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。


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