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ミリナちゃんに簡易薬草畑を見せました



「師匠、来ました……けど、何をしてるので?」

「お待たせしました、タクミ様」

「ありがとうございます、ライラさん。……いや、レオとティルラちゃんから、一緒に遊ぼうって誘われてね。リーザもいるし、断れなくて……よっと!」

「ワフ!」

「あはははは!」

「早いですー!」


 ライラさんがミリナちゃんを連れて来てくれた頃、俺はレオとティルラちゃんに誘われて一緒に遊んでた。

 枝を持ち、それを投げてレオに取って来させるという、最初にこの屋敷でやった遊びだな。

 さすがに最初の頃のように、複数を別の方向へ投げたりはせず、真っ直ぐ枝を投げるだけにしておいた。

 リーザもいるし、レオが急な動きをして落ちたりないよう、気を付けないとな。

 ……レオなら、それくらい気を使って簡単にこなせそうだが。


 連れて来られて早々、俺が枝を持って振り被ってる事に、首を傾げたミリナちゃんに答えながら、真っ直ぐ枝を投げた。

 さすがに慣れてるな、レオ。

 すぐに走り出したレオは、まだ空中の高い所にある枝を口でキャッチ。

 落とさないように気を付けながらも、素早い動きを見せたレオに、リーザもティルラちゃんも喜んでる。

 リーザは、ティルラちゃんと一緒で、体を動かしたり、外で遊ぶ方が好きなのかもな。


「はぁ……まぁ、レオ様達が喜んでるようなので、いいと思います。私が呼ばれたのは何故でしょう? レオ様達と一緒に遊ぶためですか? あっ! それとも、私が調合した薬に何か、問題が!?」

「いやいや、そんな事はないから、安心して。えぇと……ちょっと待っててね。レオ、ミリナちゃんが来たから、これでお終いな。後は、リーザとティルラちゃんとで遊んでてくれ」

「ワフ!」

「わかりましたー」

「……パパ、行っちゃうの?」

「大丈夫だよ、リーザ。近くにはいるからね。安心してレオと遊んでおいで?」

「うん、わかった!」

「キャゥ!」


 戻って来たレオから、咥えていた枝を受け取りつつ、遊びはお終いだと伝える。

 レオとティルラちゃんは素直に頷いてくれたが、リーザはまだ、俺が離れると考えると少し不安になるようで、目を伏せていた。

 安心させるようにリーザに言い聞かせ、元気のいい返事をして、レオの毛に抱き着く。

 うんうん、リーザもレオにしっかり懐いてるようだな……それに、気持ちの良い毛の感触も気に入ってるようだ。

 何故かシェリーがリーザとほぼ同時に頷いて鳴いたが、お前に言ったわけじゃないんだけどな?

 まぁ、シェリーも楽しそうでいい事だとは思うが。


 また裏庭を、自由に走り始めたレオ達を見ながら、ミリナちゃんへと体を向ける。

 簡易薬草畑の方を見せないとな。

 しかしミリナちゃん……薬に問題があったとかで呼び出されたと思ったのか……俺、そんなに厳しそうに見えるのか?

 とりあえず、問題があったとかではなかった事にホッとした様子を見せた後、ちょっと羨ましそうな視線をレオ達の方へ向けてるミリナちゃん。

 簡易薬草畑を見せた後、時間があるなら、レオ達とあそんでもらおうかな……リーザも俺達以外に慣れて欲しいし。


「さて、ミリナちゃん」

「はい、師匠!」

「ちょっと、見て欲しいものがあるんだ」

「見て欲しい、ですか。師匠が私に?」

「うん。まぁ、説明するよりも、見た方が早いかな。こっちに来て」

「はい、わかりました」


 ミリナちゃんを連れて、その場を離れ、簡易薬草畑の方へ向かう。

 ライラさんは、そのままレオ達を見守る事にしたようだ。

 簡易薬草畑が見える所までくると、セバスチャンさんが指示したであろう執事さんが二人いた。

 多分、薬草の成長を見張って、その過程を記録してくれてるんだろうな、小さなテーブルを置いて、紙に何か書いてるし……ありがたい。

 その二人に会釈しながら、簡易薬草畑の所へ。


「え? 師匠、これは……単なる草ではないですよね? 薬草、ですか?」

「うん。『雑草栽培』で作った薬草だね。その薬草が、摘み取らずにそのままにしても、根付いて数が増やせるか試したんだけど……朝生やしたばかりだったんだけどね……」

「朝……でも、もうこんなに増えてます!」

「そうなんだよねぇ……」


 簡易薬草畑を見たミリナちゃんは、やっぱり驚いたようだ。

 それにしても、さっきエッケンハルトさん達と見た時から、1時間経ってるかどうかくらいなはずなんだが……どう見てもさっきより成長してる。


「すみません、さっきより成長してるように見えるんですが?」

「はい、指示を受けて私共が来た時から、さらに成長しております。これ程の速度で成長する植物は見た事がなく……私共も驚いております」

「そうですか、ありがとうございます」


 観察しながら、メモを取っている執事さんの一人に聞くと、やっぱりあれからも、成長を続けてたみたいだ。

 『雑草栽培』の影響なのは間違いないだろうが、それでもこの速度は驚きだな。


「師匠、さらに成長してるんですか?」

「うん。さっき見た時より、明らかに成長してるね」


 さっきまでは、増えた薬草が芽を出したばかりで、どれがどの薬草かの見分けが難しいくらいだった。

 それが今では、葉っぱの形もはっきりしてきて、なんとなくどれがどの薬草かわかるくらいだ。

 若干、わかりづらい物もあるが、それはこれから成長したらわかるようになるだろう。


「朝からこれまでで、こんなに成長するなんて……これも、師匠の能力なのですか?」

「多分ね。これだけの事が起こるのは、『雑草栽培』……ギフトが原因と考えないと、説明できないと思う」

「師匠の『雑草栽培』……やっぱり凄いですね! 驚く事ばかりです!」

「まぁ、確かにね。色々やってみると新しい発見があって、俺自身も驚いてるよ」


 尊敬するような目で、俺を見るミリナちゃん。

 知らぬうちに備わったギフトという能力だから、俺自身が凄いとは自分では思わないが、ミリナちゃんにとっては、能力と合わせての俺だから、尊敬に値するらしい。

 ともあれ、驚いてばかりじゃなくて、しっかりミリナちゃんと話をしないと。

 孤児院にいた時と違って、今のミリナちゃんは、ちゃんとやりたい事があるのだからな。

 俺は簡易薬草畑を見ながら、これからの事をミリナちゃんに話す事にした。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] まったりと進むのもいいんですけどそろそろなにかイベントが欲しいと思う今日この頃です。
[気になる点] 薬草がドンドン成長していくのは良いのだけど、代償は無いのだろうか?例えば土地の栄養等を吸い取ってしまうなんてことは無いのかな?
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