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333/1996

簡易薬草畑に異変が起こっていました



「ワフ?」

「お、レオ」

「ママ!」

「レオ様?」


 魔法の組み合わせに関する説明を、クレアさんから受けていると、離れた場所でお座りして待っていたレオが、終わった? とでも言うように、シェリーを頭に乗せたまま、近付いて来て鳴いた。

 退屈だったのかな?


「よしよし……クレアさん、今日の所は終わりですかね?」

「そうですね、終わりにしましょう。レオ様にも随分、退屈な思いをさせてしまったようです。それに、タクミさんは魔法の組み合わせも、すぐに成功させてしまったので……私にはもう何も教える事がありませんから」

「ワフワフ」


 レオを撫でながらクレアさんに聞くと、もう全部教えたと、苦笑しながら答えるクレアさん。

 魔法の講義はここまでのようだ。

 ちなみにリーザは、頭の上に乗ってるシェリーを羨ましそうに見ながら、レオを撫でてる。

 頭の上に乗りたかったのか、リーザ……お願いしたら、乗せてくれるとは思うが、頭の上はサイズ的にどうだろう?

 シェリーがあまり大きくないから、乗れてるしなぁ。


「ワフワフ、ワフ?」

「ん、どうしたレオ?」

「何か、気になる事でもありましたか?」


 リーザの事を考えつつ、レオの体を撫でていたら、俺の服を前足の爪に軽くひっかけて、俺の気を引く。

 何か俺に伝えたい事があるようだが、どうしたんだろう。

 そんなレオの様子に、クレアさんも首を傾げてる。


「ワフ、ワフ!」

「あぁ……あれかぁ……」

「目には入っていたんですけどね……」

「ん?」


 レオが、俺達の気を引けた後に、鼻先を向けて示したのは、今朝俺が作った薬草。

 摘み取らずに、通常の栽培ができるかを試すため、そのままにして残してた物だな。

 悩むようにしながら、薬草の方へと視線を向ける俺とクレアさん。


 リーザは、何の事かわかってないみたいだ。

 摘み取る時の薬草を見てなければ、不思議に思うのも無理はないだろうな。

 俺は当然ながら、レオやクレアさんは、俺が『雑草栽培』をする所を見ていて、どの程度の成長で止めてるかを見てるから、おかしい事に気付いたんだろうし。


「ワフ?」

「ん~、どういう事なんだろうな?」

「とにかく、私はセバスチャンを呼んで来ますね」

「あ、すみません。お願いします」


 どういう事? と言うように首を傾げながら俺を見るレオ。

 そうやって見られても、俺には何とも説明のしようがない。

 クレアさんは、気にしないようにして魔法の講義をしてくれてたんだろうが、一度気にしてしまったらもう好奇心は止められない……とばかりに、セバスチャンさんがいる方へ駆けて行った。

 あっちは、何故かエッケンハルトさんが持つ剣に、ティルラちゃんが両手を当てたりしてるな……何してるんだろう……?

 あそこから、静止役のセバスチャンさんを、連れて来てもいいのかどうか悩むところだ。


 ともかく、俺が『雑草栽培』を使って薬草を栽培した場所。

 朝の時点で日に当たっている場所と、日陰になっている場所それぞれに、同じ種類の薬草を生やして、必要な物を摘み取って、残りはそのままにしていた。

 今も、日に当たる場所、日陰の場所は変わっていない。

 朝から昼食を食べたり、魔法の講義だとかで、5、6時間以上経っているはずだが、それだけの時間であんな事になるなんて……。


「タクミさん、戻りました」

「クレアお嬢様に呼ばれましたが……どうされましたか?」

「セバスチャンさん……エッケンハルトさん達も来たんですか?」

「うむ。タクミ殿の薬草が大変な事に、と聞いたら遊んでられんからな」

「父様と遊ぶのは楽しかったです!」


 クレアさんはセバスチャンさんを連れて来てくれたが、一緒にエッケンハルトさんやティルラちゃんも来たようだ。

 それはともかく、二人共、遊びって……魔法の講義じゃなかったのか?

 まぁ、楽しかったのなら言う事はないけど……。

 ともかく、薬草の事だ。


 エッケンハルトさんやセバスチャンさん達は、俺やクレアさんとは違い、薬草の異変には気付いていなかったようだ。

 俺達がいる方に薬草があり、そこから離れてたし、俺達がいるから薬草が見えなかったんだろうな。


「えぇと……エッケンハルトさん、セバスチャンさん……あれを」

「これは……一体何があったのですか?」

「なんという……」


 エッケンハルトさんとセバスチャンさんに、薬草を生やしておいた場所を示して見てもらう。

 二人は一瞬絶句して、驚きの表情になった。

 ちなみに、ティルラちゃんはこちらに来てすぐ、レオに乗せてもらい、リーザと一緒に背中に乗ってる。

 ティルラちゃんとリーザは、薬草の方にはあまり興味がないようだ。

 レオは、俺の能力がした事だから気になってるのか、顔はずっと薬草の方へと向いている。


 一部を除いて、皆が注目している薬草……今は簡易薬草畑とでも言うかな?

 簡易薬草畑では、今朝俺が『雑草栽培』で作った薬草が、その時よりも大きくなり、その周囲には、薬草と思われる植物の芽が大量に出て来ていた。

 大きくなった薬草が種をばら撒いて、増えた? いや、種だとこんなに早く増えるのもおかしい。


 株分けのようにして増えた? でもあれは、人間の手を入れてできる事だったと思う。

 自然に成長して、自然に株分けができるとは思えない……そもそも、芽はまだ十分に育っておらず、地面から顔を出した程度だ。

 クレアさんも俺も、この様子は見てわかっていたのだが、魔法の講義に集中するため……というより、何か触れてはいけない物を見たような気分で、レオが主張するまで気にしないようにしていた。


「えぇっと、セバスチャンさん……どういう事でしょう?」


 困った時のセバスチャンさん頼み!

 いや、セバスチャンさんが、全てを知っているとは思わないが、知識が豊富だから、何かしらの予測を立ててくれるだろう……きっと。


「うぅむ……そうですね……もしかしたら、『雑草栽培』で作られた薬草だから、でしょうか?」

「『雑草栽培』で……」

「そもそもに、あのように薬草が急激に数を増やすと言うのは、聞いた事がありません。そこで考えられるのは、『雑草栽培』しかありません。『雑草栽培』で作られた薬草は、何かしら特別な物を持っているのかもしれません」

「という事はだ、セバスチャン。あの増えた薬草は、普通の物ではないと?」

「そこまではさすがに……まだ成長途中のようですので、他の薬草との違いはまだわかりません」


 さすがにセバスチャンさんでも、増えた方の薬草が普通と違うのかはわからないようだ。

 まだ成長途中だし、あの薬草を採取して詳しく調べたわけでもないのだから、当然か。

 ともかく、あの急激な増殖は、『雑草栽培』が原因と見て間違いないようだ。

 植物の成長って、数時間で芽が出るような物ではないはずだし、そう考えるのが自然だろうなぁ。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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