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さらに新しい魔法の使い方を教えてもらいました



 リーザの喉が渇いたら、すぐに用意してもらおうと、ちらりと視線を離れた場所にいるライラさんへ向ける。

 こちらの話を聞いていたのだろう、すぐに頷いてくれたライラさん。

 これで、リーザの方は大丈夫と安心し、最後に風の魔法へと取りかかる。


「……ウィンドエレメンタル・エア」

「風が気持ちいいね」

「そうね、リーザちゃん」


 俺が手の平をかざし、風の魔法を発動。

 これも問題なく発動させる事ができた。

 そよ風程度の風に吹かれて、気持ち良さそうに目を細めるリーザとクレアさん。

 日も高くなって、動いたら暑いだろうな……というくらいだから、ゆっくりと吹く風が気持ちいいんだろう。


「全部、発動しましたね」

「はい。さすがはタクミさんです。一度見ただけで、全て発動させる事ができましたね」

「ははは、前もってクレアさんが見せてくれましたからね。呪文も短くて覚えやすいですし、これくらいは……」


 褒めてくれるクレアさんに笑いかけながら、難しい魔法ではなかった事に、ほんの少しだけ安心した。

 それとは別に、もうちょっと派手な魔法が使いたいなぁ……と思う部分もあった。

 やっぱり、日本の漫画やアニメで見るような、派手な魔法って使ってみたいものだからな。

 とはいえ、今はまだ魔法初心者な俺だから、基礎を大事にして、少しずつ幅を広げて行った方がいいだろう。


 焦って大きな魔法を覚えても、使いこなせるかわからないしな。

 使う機会も、ほとんどないだろうし。


「ちょっと物足りなかったですかね?」

「いえ、そんな事はないですよ」


 そんな事を考えていたのを、クレアさんに見抜かれたのか、物足りなかったのかと聞かれる。

 俺、物足りないような顔をしてたのか?


「では、少しだけ難易度の高い魔法に、挑戦しましょう」

「難易度の高い……クレアさんはさっきの魔法までしか、知らないのでは?」

「魔法自体は、先程までの魔法しか知りません。ですが、それを組み合わせる事は知っています」

「組み合わせる。魔法をですか?」


 魔法を組み合わせる。

 クレアさんが、知っていると言っていた魔法は4つ。

 それらの魔法を組み合わせるという事だろうか?

 途端に難しそうな響きを聞いて、気を引き締める事にした。


「ふふふ、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。組み合わせると言っても、元々が基礎の魔法です。タクミ様なら、すぐに使えるようになると思います」


 俺が気を引き締め、次にやる事へ備えた事がわかったのか、微笑んだクレアさん。

 やっぱり、俺の表情って読みやすいのかな?


「それでは……水と火を組み合わせてみましょう」

「水と火……」

「はい。これらを組み合わせる事で、霧を出す事ができます」


 霧か……水と火の魔法という事だから、水を火の熱で蒸発させて、という事か?

 水蒸気の事かもしれないな。


「いきます。……ウォーター・ファイア・エレメンタルミックス・ミスト!」


 先程よりも、少し気合の入った表情をさせ、手を頭上へ掲げたクレアさんが、呪文を唱える。

 エレメンタルミックス……か、魔法を混ぜるという事なんだろうが、呪文が長くなったな。

 これが、セバスチャンさんが言っていた、効果の高い魔法程呪文が長くなるという事の一因なのかもな。


「手から煙が出てる!」

「いや、あれは水蒸気……霧だね」

「ふふふ、その通りです」


 頭上に掲げた手のひらから、次々と霧が発生されて、広がる。

 魔力をあまり使っていないのか、霧自体はそこまで広がる事なく、風に吹かれて消えて行った。

 簡単に考えると、水と火の魔法が同時に発動し、火の熱で水が蒸発。

 その状態で手の平から出て来た水蒸気が、すぐに大気によって冷やされて霧になった……のかな?


 いや、魔法なんだから、もっと違う現象が起きてるのかもしれない。

 昼の暖かい気温で、霧になるかどうか、俺にはわからないしな……。


「ふぅ……何とか失敗せずにできました」

「クレアさんでも、失敗とかするんですか?」

「もちろん、しますよ。それに、魔法は得意分野というわけではありませんからね。タクミさんの前で失敗すると考えると……ちょっと緊張しました」


 霧の発生を止めて、ほっと息を吐くクレアさん。

 クレアさんでも、失敗を気にするんだなぁ……と思って声をかけた。

 すると、恥ずかしそうに笑いながら、緊張したとの本音が聞けた。

 その笑顔は、凄く魅力的に見えて、ドキッとしたが、今は魔法の講義中だ……おかしなことを考える時間じゃないからな。

 ともかく、俺相手に緊張とかしなくてもいいのに……と考えて、意識を逸らした。

 

「えぇと、魔法の組み合わせですが、これにはまず、発動場所に集中させる魔力を二つに分ける必要があります」

「二つにですか?」

「はい。通常は一か所に集めた魔力に対し、呪文で属性と動作を決めて発動するのですが……これは二つに分けた魔力を同時に変換、発動させるのです」


 途端に、難度が上がったような気がする。

 二つに……か。

 んーと、体内の魔力を手の平に集めて……それをこねるようにしながら、二つに分ければいいのかな?

 何となく、団子とか練り物を作ってるような事を、頭の中で思い浮かべた。


 一つに集中した魔力の塊を半分にし、それを個別にしてはっきりと分ける。

 なんとなく、さっきクレアさんがしていたように、手を頭上に掲げ、その手の中で小さな球形を二つ作るように意識して、魔力を集める。

 魔力を集める作業にも、大分慣れたな……なんて思いながら、手に集中している魔力のうち、右を火の魔法用、左を水の魔法用と意識した。


「……ウォーター・ファイア・エレメンタルミックス・ミスト!」

「え!?」


 そのまま、先程クレアさんが唱えた呪文を復唱。

 集めていた魔力を変換、動作決定をして発動させる。

 目を閉じて集中していたからわからないが、クレアさんの方から驚いた声が聞こえた。

 俺がいきなり魔法の実践に移ったから、驚いたのかな?


 魔法が発動したのか、手の平に集まっていた魔力がなくなるような感じがして、俺は目を開けた。

 成功しているのか、それとも失敗して魔力が霧散しただけなのか……。

 驚いた表情でこちらを見ているクレアさんの視線を追い、自分が掲げている手の先へ顔を向けた。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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