表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

309/1996

リーザの可愛さは屋敷で大人気の予感がしました



「……ありがとう……ございます……?」

「い、いえ……良いのよ、気にしないで。貴女はここで楽しく過ごしてくれれば、ね?」

「「「……! ……!」」」


 客間へ執事さんが入って来て、夕食ができたとのお報せ。

 クレアさんと話しているのを聞くと、ヘレーナさんがすぐにリーザの分の食事も用意してくれたみたいだ。

 配慮をしてくれたクレアさんに感謝をし、ヘレーナさんには後でしっかりお礼を伝えよう、ブドウジュースの事もあるし。

 リーザにも、クレアさんにお礼を言うように促すと、今までの話で頭がパンク状態のリーザが、戸惑いながらもたどたどしくお礼を言う。

 最後に、頭を下げて視線を上目遣い、さらに首を傾げて尻尾も連動というコンビネーションを見せた。


 それを見たクレアさんは、少しだけ顔を紅潮させながらも、優しくリーザへ語り掛ける。

 ライラさんとゲルダさんは、手を握りしめて何かを堪えるようにして、明後日の方を向いた。

 ちなみにクレアさんも、右手を抑えるように左手で掴んでいる。

 ……確かに今のは、尻尾を触ったり、撫でたりしたい可愛さがあるよなぁ。


 そう思いながら、エッケンハルトさんを見ると苦笑していて、セバスチャンさんは朗らかにその様子を見ていた。

 リーザは問題なく、この屋敷の人達に受け入れられそうだな……。


 

「リーザちゃんって言うんですね!?」

「そうよ。この子はリーザ。獣人の子だけど、他の人達と変わらないように接するのよ?」

「わかりました! リーザちゃん、私はティルラです!」

「ティルラ……お姉ちゃん?」

「お姉ちゃん……初めて呼ばれました!」


 皆で食堂に移動し、配膳されるのを待っているうちに、ティルラちゃんが鍛錬を終えて来たので、リーザを紹介。

 予想通り、ティルラちゃんは好奇心に満ちた目で、リーザの耳や尻尾をみながらも、近い年頃の女の子が来たと喜んでいる様子だ。

 さらに、リーザがティルラちゃんをお姉ちゃんと呼んだ事で、感激している。

 ティルラちゃんは末っ子だから、お姉ちゃんなんて呼ばれる事はなかっただろうしな。


「仲良くするのよ?」

「はい、わかりました! リーザちゃん、よろしくです!」

「……よろしくお願い……します。……ティルラお姉ちゃん」

「はい!」


 お姉ちゃんと呼ばれるのがそんなに嬉しいのか、ティルラちゃんは満面の笑みだ。

 あまり心配はしてなかったが、これならティルラちゃんはリーザと仲良くなってくれそうだな。

 リーザの可愛さと、耳と尻尾で、この屋敷の皆はすぐに受け入れてくれそうだな。

 後は……アンネさんか……。


 ちなみにエッケンハルトさんは、食堂へ来る前にセバスチャンさんを連れて行き、すぐに帰って来た。

 帰って来た時には、無精髭が剃られており、髪もある程度整えられていた。

 それを見たクレアさんが、エッケンハルトさんがいきなりおかしな事を始めて何かの事件か!? とか取り乱したけど、すぐにリーザに怯えられないためと説明されて落ち着いた。

 ……しかし、本当にエッケンハルトさんが髭を剃って、髪を整えると美形が際立つな……彫りの深さも相俟って、美中年と言って差支えが無い……童顔の俺から見ると羨ましい限りで……卑怯だ。


「失礼しますわ」


 考えがアンネさんに及んだ時、ちょうどその本人が食堂へと入って来た。

 二日酔いがまだ続いているのか、昨日までより少し顔色が悪いように見える。

 朝よりは大分良くなってるのかもしれないが……そんなにまで、昨日のお酒は辛かったのか。

 ロゼワインも、度数は高い方みたいだからなぁ。


「……? その子は? 獣人ですの?」

「ええ、そうよ。差別意識からイジメられていたところを、タクミさんとレオ様が保護したの」


 食堂に入って来たアンネさんは、少し鈍い動きながらもテーブルにつき、そのあたりでリーザの事に気付く。

 リーザはまだ小さいから、椅子に座ると顔だけがテーブルの上に来るようになってるからな。

 すぐに目に入らなくても仕方ない。


 ちなみに、席順はお誕生日席にエッケンハルトさん。

 エッケンハルトさんから見て、右側に俺が座り、その隣にリーザ、レオの順だ。

 リーザが、俺とレオに挟まれて座りたがったからだな。

 その向かいには、クレアさん、ティルラちゃん、シェリー、アンネさんの順番だ。

 リーザ以外は、いつもこんな感じで座ってるな。


「獣人……」

「……パパ……」

「ん、どうしたリーザ?」


 獣人が珍しいのか、マジマジとアンネさんがリーザを見ると、椅子に座っていたリーザが俺に縋りついて来た。

 アンネさんが怖いのかな? それとも、あんまり見られるのに慣れていないのか?


「あの人……怖い……」

「なっ!?」

「よしよし、大丈夫だからな。怖い事はないよ?」

「アンネ……貴女何をしたの?」

「何を言っていますの? 私はただ見ていただけで……何もしていませんわよ!?」


 俺に縋りつきながら、アンネさんが怖いというリーザ。

 少し震えてるようだが……アンネさんに見られただけで、何でそこまで?

 何かリーザを怯えさせるようなものが、アンネさんにあるんだろうか?


「どうしたんだい? どうして、あの人が怖いと思うのかな?」


 縋りつくリーザに目線を合わせて、ゆっくりと聞く。

 こういう時、叱りつけたり、我慢しなさいというのは子供にとって苦痛になるだろうからな。

 できるだけ、リーザにはそういう思いはして欲しくない。

 レオも、心配そうにこっちを見てるしな。


「あの人の髪の毛……刺さりそう……」

「髪……?」

「私のこの素晴らしい髪ですの?」


 小さく漏らしたリーザの声に、皆の視線が向かうのは、アンネさんの金髪が見事にカールして作られた縦ロール。

 心なしか、二日酔いの影響で少し元気が無いようにも見えるが、その縦ロールは、先が尖っていて確かに刺さりそうだ。

 いや、髪の毛だから実際に刺さったりはしなさそうだし、手入れはちゃんとしてるのか、柔らかそうだが……あれが金属になったら間違いなく刺さりそうだ……と思えるほど、先端は尖っていた。

 元気がないせいなのかはわからないが、先の方数センチがロールしておらず、レイピアとか刺突武器の先っぽのように見えなくもない……金色だけどな。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版 第7巻 8月29日発売】

■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻挿絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


詳細ページはこちらから↓
GCノベルズ書籍紹介ページ


【コミカライズ好評連載中!】
コミックライド

【コミックス6巻8月28日発売!】
詳細ページはこちらから↓
コミックス6巻情報



作者X(旧Twitter)ページはこちら


連載作品も引き続き更新していきますのでよろしくお願いします。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 髪の毛が刺さりそうってw 中々の発想w リーザちゃん可愛すぎかw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ