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302/1996

ラクトスを出発しました

連載300話達成(特別編は数えていません)出来ました!

これもひとえに、読んで下さっている皆様のおかげだと考えています!


本当にありがとうございます。

これからもよろしくお願いします!



 エッケンハルトさんと衛兵さん達が話しているのを見ながら、何故か俺の後ろで、うんうん頷いているレオ……。

 もしかして、俺も微かに聞こえる程度なのに、レオにははっきり聞こえてるんだろうか?

 それに、頷いてるという事は、エッケンハルトさんが伝えてる事に納得してるのか……?

 本当に理解してるんだろうか……何となく頷いてるだけかもしれない。


「……待たせた。では、屋敷へ向かおうか」

「はい」

「ワフ」

「わかっ……りました」


 最後に、エッケンハルトさんは、衛兵さん達に西門で馬を1頭用意する事を伝え、俺達の所へ戻って来た。

 リーザに見られないよう、顔は隠してからだ。

 ……リーザの話し方はたどたどしいが、頑張って丁寧に話そうとしてるな……。

 先に去って行く衛兵さん達を見送って、俺達も屋敷に帰るべく西門へ移動した。



「馬の用意、出来ております!」

「うむ、ご苦労」

「……どうして馬の用意をしたんですか? レオに乗れば良いのに……」

「ワフ?」


 西門まで辿り着き、衛兵さんが一人、馬を連れて来る。

 レオに乗れば、馬を用意する必要もないはずなんだけど……大人が2.3人乗っても平気そうだしな。

 レオもエッケンハルトさんの方を、首を傾げながら見る。

 

「レオ様には、タクミ殿とリーザが乗るのだろう? タクミ殿は、レオ様にリーザが落とされないように、しっかり抱いていないといけない。そんな状態で、後ろから私にしがみ付かれても、邪魔だろうしな」

「あー……そうですね。確かに」

「ワフゥ……」

「……?」


 言われてみると確かにそうだ。

 レオに乗って走るのが初めてのリーザがいるのだから、エッケンハルトさんにしがみ付かれると、バランスを取るのが難しいかもしれない。

 リーザを俺の前に乗せて、落ちないように支えるとして……もしもバランスを崩した時、後ろからエッケンハルトさんに抱き着かれてたら、リーザをしっかり支えてやれないしな。

 エッケンハルトさんの言葉に納得していると、レオは大丈夫なのに……と言わんばかりに溜め息を吐き、リーザは首を傾げてる。

 ……耳と一緒に、尻尾も頭のように斜めに傾けてるのが、ちょっと可愛い。



「では、屋敷へ出発だ」

「はい」

「ワフ!」

「……わかりました」


 エッケンハルトさんが馬に乗り、俺がリーザを抱えてレオの背中に乗る。

 走り出した馬について行くように、レオが走り始めるが……いつもより振動が少ない?


「レオ、ありがとな。気を使ってくれて」

「ワフ!」

「……わー!」


 レオは、リーザがバランスを崩したりしないよう、体をなるべく揺らさないようにして走ってるみたいだ。

 俺が感謝を伝えると、吠えてそのまま馬の横に並んだ。

 こんな事もできたんだな……しかも、そうやって気を使っていても、馬についていける速さだし……すごいな。

 リーザは、こんなに早く移動するのが初めてなのか、感動したような声を出して、キョロキョロと流れる景色を見てる。

 今回はそんなに早くないが、それでもリーザにとっては新鮮なんだろうな。


「ははは、楽しいかい、リーザ?」

「うん……はい! こんなに早く走るなんて初めて……です!」

「そうかぁ」


 エッケンハルトさんの馬と並んで、走るレオの上ではしゃぐリーザ。

 スラムにいたとか関係なく、馬に乗るような年齢じゃないからな。

 エッケンハルトさんも、馬を操りながらこちらを見て朗らかな笑顔……のように見える。

 まだ顔を隠してるから、何となく雰囲気で……だな。


 グゥ~……。


「ん?」

「あ……」


 レオに乗って走りながら、かすかに聞いた事のあるような音が聞こえた。

 何の音かと首を傾げていると、リーザが恥ずかしそうに俯いた。

 さっきまであんなにはしゃいでいたのに……もしかして?


「リーザ、お腹が減ったかい?」

「……はぃ」


 消え入りそうな声で、頷きながら返事をするリーザ。

 さっきの音は、やっぱりリーザのお腹が鳴った音らしい。

 走りながらでも聞こえたんだから、もしかしたら大きな音だったのかもしれない。

 スラムで見つけた時から今まで、食事はしてなかったからお腹が減っていてもおかしくないか。


 懐かれてるとは言え、まだ遠慮してるように見えるリーザだから、お腹が減ったなんて言い出せなかったんだろうな。

 遠くを見てみると、日が沈みかけて辺りが薄暗くなってる……もう夕方か。

 よく考えて見ると、俺も結構お腹が減って来たな。


「俺がお世話になってる所へ着いたら、何か用意してもらうから、それまで我慢できるかい?」

「……はい! ……でも、喉も渇きました……」

「んー、そうか……」

「ワフ!」

「ん、レオ? エッケンハルトさん!」


 屋敷に着いたら、ヘレーナさんかセバスチャンさんに頼んで、何か食べる物を用意してもらおうと考え、リーザに声をかける。

 少し考えて頷いたリーザだが、次は喉が渇いたと訴える。

 まぁ、食べるのを多少我慢するのはまだしも、何も飲んでないから水分不足は辛いか。

 そう思ってどうしようか考えていたら、レオが一つ吠えて速度を落とし、止まってしまった。


 どうしたのか声をかけながら、エッケンハルトさんにも叫んで知らせる。

 急に止まったから、距離が離れてしまったしな。


「……どうしたんだ、タクミ殿?」

「いえ、レオが急に止まりまして……あと、リーザが喉が渇いたと……」

「ウゥゥゥゥゥ……ガウ!」

「お!?」


 少し先から、馬を引きかえらせて戻って来たエッケンハルトさん。

 それに状況を伝えながら、レオの背中からリーザを連れて降りていると、レオが何か力を溜めるように唸り、一吠え。

 その瞬間、レオの顔から少し離れた場所に、水の塊が出現し、すぐに地面に落ちて土を濡らした。


「レオ……もしかして、リーザにその水を飲ませろって事か?」

「ワフワフ!」


 俺の問いかけに、うんうん頷くレオ。

 リーザが、喉が渇いたと言ったから、水を飲ませようと思ったわけか。


「でも、魔法で作った水は不純物や、飲めない成分が混ざってる可能性もあるから、飲まない方が良いって聞いたんだが……」

「ワフワフ! ワフ、ワフワフ!」

「え? この水は大丈夫なのか? んー、そう言われてもな……」

「……シルバーフェンリルの魔法は初めて見たな……タクミ殿、レオ様は飲める水だと言ったのか?」

「え、あ、はい。この水は飲んでも大丈夫だと言ってます。魔法で集めた水は、あまり飲まない方がいいと聞いているんですが……」



読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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