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悪い癖を治す鍛錬をしました



「実戦の経験は無駄ではないだろうが、悪い癖がつくのは頂けないな……」

「ワフ!」

「いや、レオ様……こうなるなんて予想は、さすがにできませんよ?」

「ワフ?」

「レオ、エッケンハルトさんも、俺がこうなるとは思って無かったみたいだ。まぁ、俺が考え過ぎなんだろう」

「ワフ」


 その実戦を経験させたのはエッケンハルトさんで、悪い癖がついてしまったのはそのせいだ、と言わんばかりにレオが吠える。

 さすがに責められるとエッケンハルトさんも弱いのか、レオに向かって少し及び腰になる。

 とは言え、エッケンハルトさんが仕掛けた事と言っても、悪い癖がつくとまでは考えられないだろう。

 人の成長なんて、どうなるか全てがわかるわけじゃないしな。

 俺がフォローするように言うと、レオはようやく納得したように頷いてくれた。

 ……もう済んだ事だし、あまりエッケンハルトさんを攻めるような事は止めような、レオ。


「……まだ、夕食までは時間があるな。今日は、その癖を直すため、厳しく行くぞ!」

「お願いします!」

「私もお願いします!」

「……ティルラは、悪い癖はついてないんだがな」


 それから夕食の時間になるまで、エッケンハルトさんによる厳しい指導を受けた。

 足腰立たなくなるまで……と言う程では無かったが、それに近いくらい厳しい鍛錬だった。

 何度エッケンハルトさんに、木剣で打ち据えられた事か……。

 筋肉疲労回復の薬草をティルラちゃんと頂き、普通に歩けるようにしてから、鍛錬を終わる。


「まだ、少し癖が残ってるようだが……改善の余地は見られたな」

「エッケンハルトさんのおかげです。ありがとうございます」

「なに、私はタクミ殿に小さくまとまって欲しくないからな」


 少しずつではあるが、改善されて来たという事で、今日のところは及第点といった感じかな?

 悪い癖が馴染んでしまったら、もっと厳しく鍛錬して矯正しないといけなかった可能性もあるのだから、はやいうちに指摘されて良かった。

 鍛錬はきつかったけどな。


 ティルラちゃんの方も、厳しい鍛錬によくついて来れたもんだ。

 本人の頑張りもあるだろう。

 これが若さか……いや、まだ俺も若いはずだ……。



「お、アンネリーゼが部屋から出て来たのか」

「いつまでも、部屋にこもっていられませんわ」


 鍛錬を終え、夕食のために食堂へ皆で行くと、そこには既にアンネさんとクレアさんが座って待っていた。

 どうやら、部屋から出る気になってくれたようだ。

 ……俺のせいで、貴族令嬢が引きこもりになった……なんて事にならなくて良かった……。


「お父様、アンネはタクミさんに説得されたようです」

「タクミ殿に? アンネと話したのか?」

「あぁ、はい。鍛錬に行く前に少し……」

「部屋を訪ねて来て下さいましたわ」


 アンネさんは、待っている間にクレアさんに俺が部屋に来て話した事を伝えていたらしい。

 ちょっとだけ、クレアさんの視線が鋭い気がするが……気のせいとしておこう。


「タクミ殿、何を話したのだ? あのアンネリーゼが素直に部屋を出るとは……。レオ様でも使って脅したのか?」

「……そんな事しませんよ。ただ、一人で考えるんじゃなく、他の人と話をしようと言っただけです」

「そうかそうか。すまんな、本来それは私の役目だったのだが……タクミ殿に先を越されてしまったな」

「タクミさんは優しいですから、ご自分が誘いを断った相手でも、気遣うんですよね……わかってました、わかってましたとも……」

「どうした、クレア? 少し雰囲気が怖いぞ?」

「ワフ?」

「キャゥ?」

「……なんでもありません」


 エッケンハルトさんは、俺がアンネさんと話し、部屋から出した事を喜んでるようだ。

 しかし本来は、教育を任されたエッケンハルトさんの仕事だったらしいから、俺が訪ねなくても良かったかもしれないな……。

 それはともかく、俺がアンネさんの部屋を一人で尋ねた事を知った、クレアさんの機嫌があまりよろしくない……何故だろう……?

 小さく呟いて何かを言っていたし、エッケンハルトさんやレオ、シェリーも首を傾げて尋ねていたが、なんでもないと首を振った。


 本人がなんでもないと言うのなら、そうなんだろうけど……。

 うぅむ……女性は難しい。


「そうだ、タクミ殿。ワインの事をヘレーナと相談したのだったな?」

「ええ。セバスチャンさんも交えて、色々相談しましたよ」

「ふむ……セバスチャン、説明してくれるか?」

「畏まりました……」


 夕食を頂きながら、先程ヘレーナさんやセバスチャンさんと相談した事を説明する。

 エッケンハルトさんも、セバスチャンさんの説明好きをよく理解しているらしい。

 喜々として説明するセバスチャンさんの説明を、皆で聞いた。


「ふむ……ワインとラモギを合わせた物は、明日か……」

「はい。まずレオ様に調べてもらい、大丈夫なようであれば、皆様に試飲していただける事になります」

「そうか……。あのブドウジュースは美味かった、ワインとして飲めるのを楽しみにしておこう」

「あ、そうだ。レオ?」

「ワフ?」

「すまないが、明日ヘレーナさんが試作したワインの匂いを嗅いでくれるか? 病の素が残ってるかどうかを選別して欲しいんだ」

「ワフ!」

「なんだ、タクミ殿。まだレオ様に頼んでなかったのか?」

「ははは、まぁ色々ありましたから……」


 エッケンハルトさんとセバスチャンさんの会話を聞いて思い出したので、その場でレオに頼む。

 まだ頼んでなかった事を、エッケンハルトさんに突っ込まれたが、あれからアンネさんと話したり、ミリナちゃんに調合を一緒にするよう頼んだりとかがあったからなぁ。

 レオの方は、返事と一緒に頷いてくれたから、これで安心だ。


「しかし……あの魔法具に影響された物を、判別できるのですわね……魔法具を使って調べないと、不可能だと思っていましたのに」

「ええ。レオの鼻は特別ですからね」

「ワフワフ」

「シルバーフェンリル……凄いですわね……」

「ワフ? ワフ!」

「ひっ!」

「アンネ、まだレオ様が怖いの? 大丈夫よ、レオ様は理由も無く人を襲ったりはしないわ」

「それでも、怖いものは怖いのですわ!」




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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