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エッケンハルトさんが登場しました



 襲って来た男達を全て捕縛し、その光景に絶望という言葉を、顔に張り付けたような様子になったウードに対し、フィリップさん達に続いて入って来たセバスチャンさんが堂々と言い放つ。

 いや……セバスチャンさんがもう少し穏便に事を進めようとしてくれてたら、こんな騒動にはならなかったんだけどなぁ……。


「タクミ様、ここは私やフィリップに任せて、旦那様を呼んで来ていただけますか?」

「わかりま……」

「その必要はない!」


セバスチャンさんに言われ、すぐにエッケンハルトさんが待機している、カレスさんの店に行こうと返事をしてる途中で、聞き覚えのある声と共に、店の中に入って来る大きな男性。


「エッケンハルトさん!」

「タクミ殿、打ち合わせていた時間はもう過ぎたぞ?」

「あぁ、そう言えば……」


 カレスさんの店で打ち合わせしている時、俺達が出てから2時間程度経った当たりで、エッケンハルトさんがこの店に突入する、という話になった。

 俺達がもし、店の人達に取り押さえられたりした場合の対処だな。

 まぁ、襲って来たのは確かだが、身体強化の薬草のおかげで、俺一人でも何とか時間が稼げた。

 さすがに、フィリップさん達のように、華麗に取り押さえるまではできなかったけどな。


 それにしても、結構時間が経ってたんだな。

 薬草や薬を見せられるのに、少々時間がとられてしまっていたのかもしれない。


「旦那様、あれがこの店の責任者、ウードという者でございます」

「そうかわかった。お主がウードか……今回の件、どうなるか理解しているのだろうな?」

「……な、なんだお前は! 私は……私は……」

「ほぉ、バースラーから指示されているのに、私の顔を知らないとは……。まぁ、バースラーは詰めが甘いからな、仕方あるまい」

「お父様は、利益を得る事しか考えていませんからね」

「はっ! アンネリーゼお嬢様!? 何故ここに!?」


 セバスチャンさんが示し、エッケンハルトさんが頷いて前に出る。

 ウードという男は、エッケンハルトさんの顔をしらないようで、突然現れた大男に怯えるように震えてる。

 まぁ、そりゃそうだよな……俺も、こんな大きな体の男が、護衛の兵士を複数連れて迫って来たら、怖いだろうしな。

 さらに店の中には、クレアさんと一緒にアンネさんも入って来る。

 ウードは指示されていたバースラー伯爵の娘である、アンネさんの事は知っていたようだ。

 ……しかしアンネさん、指示を出したり、悪い事を考えて実行しようとしたのは伯爵だが、実の父親に辛辣だなぁ……元凶とまでは言わないが、ここまでの事を考えたのは、アンネさん自身なのに。


「ウード、久しぶりですわね。知らないようなので、教えて差し上げますが……この方は、公爵家の現当主、エッケンハルト様ですわよ?」

「こ、公爵様!? そ、それは本当なのですか、アンネリーゼお嬢様!?」

「ええ、本当ですわ。ね、エッケンハルト様?」

「うむ。私が公爵家の当主、エッケンハルト・リーベルトだ」

「……何故アンネが偉そうなのかが気になるわ……」


 クレアさん、そこは気にしないであげよう?

 エッケンハルトさんの隣にいて、自慢気に紹介するアンネさんを見て、俺もそう思ったけど……。


「……そ、そんな……」


 ここにいるのが公爵だと言う事を知り、がっくりと肩を落とすウード。

 さすがに公爵本人が出て来たら、観念するしかないだろうからな。

 ここに至って、言い逃れなんてできないだろうし。


「ウード、と言ったな。そなたの事はよくわかっている。ラクトスの薬を買い占め、効果を薄めて販売。利益を独占しようとした。ラクトスの民が苦しんでいる事を利用しようなどと……商人としてあるまじき行為だ。……どうなるかわかっているだろうな……?」

「……で、ですが……私にはまだ伯爵様が……」


 言い逃れはできない事はわかっていても、まだ伯爵にかばってもらえると考えているウード。


「残念だが、バースラー伯爵は現在王家によって監視されている。色々とやり過ぎたようだな……」

「お父様は貴族としての権威を、失墜しますわ」

「そ、そんな……」


 ついには、完全に膝を付いたウード。

 体を前に倒し、手も付いているが、その出っ張ったお腹も一緒に床に付いてるのは、気にしないでおこう。

 しかし、アンネさん……父親の事なのに、はっきりと他人事のように言うんだな。

 あんまり仲が良くないのかもしれない。


「そなたには厳しい罰が下るのは間違いなかろう。……連れて行け!」

「「はっ!」」


 護衛の兵士さんに声をかけるエッケンハルトさん。

 3人いるうちの2人が、ウードを始め、縛られた男達を立たせて連れて行く。

 フィリップさんも手伝っているようだ。


「エッケンハルト様、まだ奥にも数人いるようですが……?」

「客ではなさそうだな。その者達もこの店の関係者だろう。連れて行け」

「はっ!」


 店の奥を調べていた護衛さんの一人が、エッケンハルトさんと相談。

 店にいる関係者は全員連れて行く事になるようだ。

 しばらくして、護衛さんかフィリップさんが寄越したのか、ラクトスの衛兵さんが10人くらい到着し、全員がかりで、店にいる人達を連れて行った。


「さて、ご苦労だったな。タクミ殿、セバスチャン」


 店の関係者が全員連れて行かれ、空っぽになった店内で、残った俺とセバスチャンさんとヨハンナさん。

 エッケンハルトさんと、護衛の1人、クレアさんとアンネさんだ。

 俺とエッケンハルトさんと、クレアさん、アンネさんは椅子に腰を下ろして話す体制。

 何故か、この店に留まったまま、話す事になった。

 まぁ、移動するのも手間だからかな?

 ちなみに、レオは店の外で待機しているらしい。


「俺は大した事をしてませんよ。ほとんど、セバスチャンさんが話を進めてくれましたから」

「私は、民を苦しめる者を許せなかっただけです。公爵家に仕える者として、当然の行いですので」

「二人共、謙虚だな。まぁ、それは良い。タクミ殿、今回の件、すまなかった」

「え? どうしてエッケンハルトさんが謝るんですか?」

「それがな……セバスチャン、頼む」

「……畏まりました」


 労われるのはわかるけど、何故急にエッケンハルトさんが謝るのかがわからない。

 特に迷惑になるような事は、されてないはずだけどな?

 セバスチャンさんに説明を任せたエッケンハルトさんは、少しすまなそうな表情をしている。

 それに対し、クレアさんが少し怒っているような雰囲気なのはどうした事だ……?




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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