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23/1982

街へと出発しました



 ティルラちゃんは最後までついて行きたそうにしていたが、眠気が限界らしく舟を漕ぎ始めたのでライラさんが部屋まで連れて行った。

 セバスチャンさんは馬車の用意、クレアさんは出かける用意をしに自室へ、俺も部屋に戻って来たけど(ようやく客間と部屋の間を案内無しで行き来出来るくらいには覚えた)、持ち物なんて無いから準備する事も無いんだよなぁ。

 とりあえず移動中や街でどうなるかわからないから、トイレだけは済ませておこう。

 約1時間後、玄関ホールに俺とレオ、クレアさんとセバスチャンさんが集まる。

 見送りのためか、10人くらいの執事とメイドさんが並んでいる。

 皆が集まった頃になって、玄関を開けて鎧を着た人が二人入って来た。

 俺がこの屋敷に来た時、門にいた人達だと思う。


「セバスチャン殿、馬車等の準備は全て整いました」

「ご苦労様です。タクミさん、こちらのお二人は今日の護衛を任せる者達です」

「タクミです。よろしくお願いします」

「フィリップと申します。リーベルト家の護衛兵士長を務めさせて頂いております。本日はクレアお嬢様とタクミ様の護衛を任されました」

「ヨハンナと申します。リーベルト家の護衛兵士を務めさせて頂いております。同じく本日は護衛として同行させて頂きます」


 フィリップさんとヨハンナさんが揃って礼をする。

 それに合わせて俺もよろしくと礼を返しておいた。

 そういえば、今日は門の前で見た時に持っていた槍を持っていないな……屋敷の中だからかもしれないが。

 なんとなく疑問に思ってセバスチャンさんに聞いてみると。


「今は屋敷の中というのもありますが、本日は街での護衛になります。槍のような長い得物より、剣の方が扱いやすいのです」

「成る程、そうなんですね」


 人や建物がある街中で槍だと何かが邪魔する可能性があるのか。

 無理じゃないんだろうけど、剣の方が小回りが利くのかもしれない、そういう事くらいはなんとなくわかる。


「それじゃあタクミさん、行きましょうか」

「はい」


 クレアさんに促されて俺は外に向かって動こうとした……。


「「「お嬢様、タクミ様、行ってらっしゃいませ。ご無事のお帰りをお待ちしております!」」」


 動こうとしたんだけど、後ろから10人程の使用人達が一斉に声を上げたのに驚いたな。

 いやー、さすがにこの人数が一糸乱れぬ動きで礼をして、声を合わせるのは壮観だなぁ。

 思わず体がビクッとなってしまったじゃないか……。

 改めて、教育の行き届いた使用人達のいるこの屋敷を見て、クレアさんって上流階級なんだろうなぁと考えながら外に出る。

 屋敷の外には、門までの間の道に初めて見る馬車とそれに繋がれた馬2頭と……繋がれていない馬が2頭いた。


「これが馬車……」


 想像してたのは色んな映像や写真で見る幌馬車。

 けど今目の前にあるのは、想像していた物よりも小さい。

 人が2人~3人乗れるくらいの大きさの荷台と、御者台がある。

 形は……何と言ったらいいんだろう……荷台の方は日本の観光地にある二輪の人力車に似ている。

 その人力車の人が引っ張る場所を、座れる場所にした御者台を付けてそこに2輪で合計4輪

 そこから馬を繋いで引っ張る馬車、といった造りになってるのか。

 物珍しそうに眺めてると、荷台の下に引き出しのような物を見つけた。

 きっとそこが手荷物なんかを入れるスペースなんだと思う。


「タクミ様、どうぞお乗り下さい」

「あ、はい」


 セバスチャンさんに促されて俺はその馬車に乗る。

 俺が座った後にクレアさんが乗って横へ座る。

 ちょっと距離が近くてドキッとしたのはクレアさんには内緒だぞ!

 鼓動を落ち着かせるために視線をずらすと、繋がれてない馬の方にフィリップさんとヨハンナさんが騎乗していた。

 成る程、護衛の人達は馬車とは別に馬で横や後ろに付くんだな。


「それでは、出発致します。はっ!」


 セバスチャンさんが御者台に乗って声を掛け、手綱を握って馬を走らせた。

 これからこの世界の街に行くのか……どんな所なんだろう……。

 イメージでは中世ヨーロッパみたいな感じだが、それなら石畳や石造りの家があるのかな?

 屋敷は石造りだけど、大理石っぽい物だったからただただ豪華な建物という感じで、異世界という感覚はほとんど無い。

 細かい部分でやっぱ違うんだなぁ、と思う所はあるけどな。

 少しだけワクワクしながら、馬車に揺られて街へ向かった。


「そう言えば、昨日話してたギフトの事なんですけど」

「ギフトがどうかしましたか?」

「街に行くので、俺が本当にギフトっていう能力を持ってるのか調べるのかなぁと思いまして」

「そうですね……セバスチャン、どうするの?」

「はい。必要な物を買い揃えた後、ギフトの有無を調べるのがよろしいかと思います。既に先方には伝えてありますので」

「そう。ならタクミさん、ギフトを持っているかを調べる事にしましょう」

「わかりました」


 馬車に揺られながらの会話。

 思っていたよりも揺れないのは、馬車が良いのか、それとも考えていたよりちゃんと道が舗装されてるのか……。

 見た限り、馬車が走っている道は砂利道だ。

 日本の道路のようにアスファルトで舗装されてるわけじゃない。

 多分、馬車が良いんだろうなと結論付けた。

 ちなみにレオは、馬車と並走してる護衛さん達が乗った馬と一緒に走ってる。

 意外だったのは、馬がレオを怖がらなかった事。

 馬は臆病だから、ちょっとした刺激だとか驚かせたりだとか、あと怖そうな生き物から逃げると聞いた事があるけど、しっかり教育されてるのかもしれない。

 でも、クレアさんが森に馬に乗って来たけど、オークが出た時に逃げてしまったって言ってたな……。

 レオが馬に対して怖がらないように何かしたのかもしれない。

 出発前に、レオが馬の顔をしきりに舐めたり頬を摺り寄せたりしてたから、それかもしれないがな。

 それはさておき、ギフトだ。

 『神からの贈り物』と呼ばれる能力らしい。

 アニメや漫画で、異世界に行った人がもらえるチート能力とやらに似てるものなのかもしれない。

 この世界に俺以外の人が日本から来て、その時にもらえた能力を使っていたらギフトと呼ばれた、なんて理由だったりするのかもな。

 まぁ、実際はどうかわからないけども。

 馬車に揺られながらギフトとは何なのかという疑問について考えていた。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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