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229/1996

皆でラクトスに到着しました

ブックマーク登録をしてくれた方々、評価を下さった方々、本当にありがとうございます。


すごくありがたいです。

おかげ様でモチベーション維持の助けになっております!



「あら、タクミさん? 聞いていらしたんですね」

「ははは、レオが近くに来たら、窓が開いていたので……聞こえてしまいました」

「ワフワフ!」

「ひぃ!」

「タクミ殿、レオ様の機嫌が良いように見えるが?」

「レオは、人を乗せて走るのが好きなんですよ。だから街への移動の時は、特にはしゃぎますね」

「そうか。それなら、一緒に来てもらって正解という事だな」


 近くでそのままレオが並走して、話を聞いていたら、クレアさんに気付かれてしまった。

 ちょっとばつが悪いが、クレアさん達は気にしていない様子だ。

 レオが声を上げたら、アンネさんが怯えてしまったが……まぁ、良いか。

 エッケンハルトさんは、レオの機嫌が良い事を見て取り、走る事が好きだと説明する。


 体が大きいから、屋敷の中や建物の中では思うように体を動かせないから、ストレスも溜まってるだろうしな。

 この世界に来る以前から、走り回るのが好きだった……というのは当然あるが。


「公爵様、お待ちしておりました」

「うむ」


 ラクトスの街の入り口手前で馬車を止め、エッケンハルトさん達が降りる。

 いつものように、街中の広場で馬車を降りず、入り口手前になったのは、エッケンハルトさんがこのまま中に入ると目立ち過ぎてしまうためだ。

 確かに、乗って来た豪奢な馬車は、町を行き交う幌馬車とは全然違うから、目立つのも当然と思える。

 クレアさん達とここに来た時に乗った馬車は、あまり大きくないから、そこまで目立ってなかったんだけどな。


「連絡は、セバスチャン殿から」

「そうか。では、私が何をしようとしているのか、わかるな?」

「はっ! わざわざ公爵様自らお越しになる事になるなど、我らの不徳の致すところ。申し訳ございません」

「それは良い。今回の事、伯爵が関わっているからな。街の者だけでは対処できないだろう」


 入り口手前に、街を警備している衛兵さん達が10人以上整列して、エッケンハルトさんの出迎えだ。

 事前にセバスチャンさんが連絡したんだろう。

 衛兵さん達は、今回の件でわざわざエッケンハルトさんが来る事になってしまった事を、悔やんでる様子。

 でも、エッケンハルトさんの言う通り、伯爵という貴族が関わってたからな……悪質な薬を売っている、という事実があっても、衛兵さん達だけでどうにかできる問題でもないのは確かだ。


「我々も、公爵様と一緒に……」

「それには及ばん。仰々しいのもまた、目立ってしまうからな。私は日頃の街の様子も見たいのだ。連れて来た護衛達で十分だろう。それに……」

「ワフ?」

「この通り、レオ様もいるしな」

「はっ! 畏まりました!」


 衛兵さん達も、護衛として付こうと考えたようだけど、エッケンハルトさんはそれを断る。

 エッケンハルトさんに視線を向けられて、首を傾げたレオ。

 そのレオがいれば、他に護衛はいらないという事だろう。

 衛兵さん達は納得して、下がってくれた。


「さて、これからどうするかだが……セバスチャン」

「はっ。ひとまずカレスの店へ移動します。しかる後、私とタクミ様のみで例の店へ……」

「俺ですか?」

「はい。持って来ていたワインを渡す……という名目ですな」


 エッケンハルトさんに声を掛けられたセバスチャンさんが、これからどう動くかの説明をする。

 だが、どうやら最初はまず俺とセバスチャンさんだけでの行動らしい。


「エッケンハルトさんが最初から行けば、すぐに事は済むのでは?」

「確かにそうなのですが……」

「私が乗り込んでしまっては、すぐに終わり過ぎてつまらんからな。私の領内で好き勝手にやってくれたんだ……少しは楽しませてもらわないといけないだろう?」

「……またお父様は……悪い癖が」

「怖いですわ……この公爵様に牙を剥いたお父様は、馬鹿ですわね」

「その方法を考えたのは、貴女でしょアンネ……」


 どうやらエッケンハルトさん、例の店に対して揺さぶりをかける事で楽しもうという算段らしい。

 セバスチャンさんと一緒に、ニヤリと怪しい笑いをして二人共楽しそうだ。

 ……クレアさんとアンネさんが引いている様子だが、俺もちょっと怖い。


「さて、まずはカレスの店へ。そこでタクミ様には詳しく説明致します」

「わかりました」

「カレスの店は久しぶりだな。タクミ殿の薬草はもう販売しているのだろう? 評判はどうだ?」

「考えていた以上に好評でございます。品質が良い事もありますが、例の店が悪質な薬草や薬を売っていたので、特にですな」

「そうか。タイミングが良かったのだな。……まぁ、病に罹ったものはかわいそうに思うが……」

「それも、タクミ様の薬草……ラモギのおかげで、大事には至っておりません。幸い、病が原因で亡くなったという者は、今の所報告されていません。それに、カレスの店では、特別な事をしています」

「特別な事? どんな事だ?」


 衛兵さん達に見送られて、全員でカレスさんの店へと向かう道すがら、俺の作った薬草の販売について話している。

 さすがに人数が多くて、さらに大きなレオまでいるから目立ってるな……。

 子供達から注目されているのは、主にレオだけどな。

 以前カレスさんの所でレオとじゃれていた子供もいるようだ。

 ……こちらに駆け寄ろうとして、親と思われる人がクレアさんに気付き、子供を止めてるが。

 エッケンハルトさんはまだしも、よくこの街に来ているクレアさんは、それなりに顔を知られているようだ。


「ラモギの価格を下げて販売致しました」

「ラモギの? しかしそれはタクミ殿の許可が必要だろう?」

「ええ。もちろんタクミ様にも許可を得ました。タクミ様が受け取る報酬まで下げられて……」

「はい。セバスチャンさんから提案を受けて、許可しました。安くする事で、多くの人に行き渡り、病の広がりを抑えるためですね」

「そうか……我が領民のために、済まないな、タクミ殿」

「いえいえ、良いんですよ。貧しい人にもラモギが買えるように……病に苦しんでる人が少なくなってもらえれば」


 孤児院の子供達が苦しんでる様子を見た、と言うのも大きいと思う。

 あそこでは、なけなしのお金で悪質な薬草を掴まされてたからな。

 余裕があろうとなかろうと、子供たちが苦しんでる姿……というのは、出来れば見たくないものだから。

 頭を下げるエッケンハルトさんに対し、笑いながら答えて、カレスさんの店へと向かった。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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