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セバスチャンさんが来た理由を聞きました



「昨夜、レオ様がフィリップを連れて屋敷に戻ってきました」


 ハンネスさんの家で、セバスチャンさんがここに来た理由を話し始める。


「最初私達は、クレアお嬢様も含めてタクミ様がいない事に驚きましたが、フィリップが詳しく説明してくれました」

「ガラス球の事は?」

「それも確かに受け取りました。……ここへ来る途中、イザベルに預けて来ましたが……」

「イザベルさんに?」


 イザベルと言うのは、ラクトスの街にいる魔法具商店の店主をしているお婆さんだ。

 俺の魔力やギフトを調べてくれたのもイザベルさんだ。


「ガラス球からは、魔力を感じましたからな。タクミ様の推測した内容をフィリップから聞き、詳しく調べる必要があると考えました。……屋敷では詳しく魔法具を調べる事はできませんからね」

「成る程……」


 イザベルさんは、魔法具商店を営んでるだけあって、魔法具について詳しんだろう。

 道具の関係か、知識の関係かはわからないが、専門家に調べてもらうというのなら安心だ。


「イザベルさんは大丈夫でしょうか? もし病に罹ってしまったら……」

「その辺りは対策を取ってあります。魔法具が効果を発揮しないように封をした箱に入れましたからな」

「そんな物があるんですね」

「ええ。その箱に入れておけば魔法具は効果を出す事はできず、誰かが病に罹る事は無いでしょう。それに、イザベルならもし箱から出しても何かしらの対処はしてくれるものと思います」


 セバスチャンさんはイザベルさんを随分信頼しているようだな。

 以前訪れた時は、親しそうに話していたから、昔から知っている仲なのかもしれない。

 魔法具の専門家という事なら、ガラス球が病を振りまく事無く調べる方法も熟知しているんだろうと思う。


「話が逸れましたが……フィリップから話を聞き、ガラス球を受け取ってタクミ様の推測を聞きました」

「はい」

「私も概ねタクミ様と同様の考えですが……その事は今は置いておきましょう。それから、走り通しだったレオ様。レオ様に乗って疲労していたフィリップを休ませたのです」


 レオは頑張ってこの村から屋敷に走ってもらったし、フィリップさんはそんなレオに乗って疲れてしまったんだろう。

 もしかすると、速度を出したレオに振り落とされないようにしていたから、疲れてしまったのかもしれないが。


「その翌日の事ですかな。またレオ様とフィリップをこの村に向かわせようとしたのですが……」

「その時に何か?」


 少しだけセバスチャンさんが言い淀む。

 レオやフィリップさんが出発する時に何かあったのだろうか?


「レオ様が急にいつもの様子とは違い、ソワソワした様子になりましてな」

「レオが?」

「はい。いつもタクミ様の横に付いて、おとなしい様子を見せるレオ様ではない様子でした」

「……レオがそんな様子に……」


 俺が知ってるレオも、この世界に来てからはいつも落ち着いた雰囲気で、慌てたりソワソワしたりはしない。

 ……食事に関して以外は……だけどな。


「その様子に我々はどう対処したものかと考えていました。いつもタクミ様がレオ様に言う事を聞かせていましたが……私共の言う事をレオ様が聞いてくれるか保証が無かったので……」

「レオはセバスチャンさんや、クレアさんの言う事なら聞くと思いますよ?」


 レオなりに、この世界に来て色々み見ているはずだ。

 俺と親しい人、クレアさんやセバスチャンさんを始め、あの屋敷にいる人達の言う事なら素直に聞くと思う。

 ……ティルラちゃんといつも遊んでるから、ティルラちゃんからの言葉を一番聞きそうだけどな。


「実際はその通りだったのですが、さすがに我々も落ち着かない様子のシルバーフェンリルを前に、どうしたら良いのかわからなかったのです」


 レオは本来、誰にも従わないと言われてるシルバーフェンリルだから、そうなってしまうのも仕方ないのかもしれない。

 特に、シルバーフェンリルの事をよく知っている公爵家の人達ならなおさら。


「ですがその時、ティルラお嬢様が来ましてな」

「ティルラちゃんが?」

「はい。ティルラお嬢様は戸惑っている我々と違って、レオ様を撫で、落ち着かせてくれました」

「そうなんですか……」


 さっきも考えた事だが、やっぱりあの屋敷で一番レオに慣れてるのはティルラちゃんだろうな。

 クレアさんやライラさん、ゲルダさんとミリナちゃんもレオに乗った事はあるが、いつも一緒に遊んだり抱き着いたりしてるからなぁ。


「落ち着いたレオ様から、どうして急に落ち着かない様子になったのかを聞いたのも、ティルラお嬢様です。私達では、レオ様が伝えようとする事を何となくくらいしかわかりませんでした」

「ティルラちゃんは、レオといつも一緒にいたがりますから、それで何となくでもレオの言う事がわかるのかもしれませんね」


 レオが言う事は俺ならほとんどはっきりとわかる。

 だが、屋敷の人達全員がわかるわけじゃないだろう。

 だから、フィリップさんに説明してもらうために、一緒に戻ってもらったんだ。

 ティルラちゃんがいてくれるなら、レオだけでも良かったのかもしれない……と考えるのは結果論か。


「ティルラお嬢様のおかげで、レオ様が何を伝えたいのかわかりました。そこで、この村に何か危険が迫っているのだと知る事ができました」

「レオがこの村の危機を察知したんですか?」

「そう言う事になりますね。何故か……はわかりませんが……。シルバーフェンリルとしてのものなのか……それとも、タクミ様との強い繋がりでなのか……」


 セバスチャンさんが言うには、レオがこの村に迫る危機を察知していたらしい。

 屋敷を出る前だから、昼前後の事だろう……その時はまだ商人達が村に到着していない頃だから、俺やハンネスさんも村に危険が迫っている事なんてわからなかった。

 セバスチャンさんにもわからない事なんだから、俺にわかるわけも無いが、それがレオと俺の絆のようなものから来る虫の報せとかだというのなら、嬉しいな。

 シルバーフェンリルだからこそというのもあるのかもしれないが……。


 遠くにはいるが、多くの魔物が近づいて来る気配を察知した……というのが一番ありそうだけどな。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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