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1932/1980

クレアの小さい頃の話も聞きました



「成る程、さっき似ていると俺が言った事に、複雑だと言った理由がよくわかりました。話してくれてありがとうございます。ははは、ルグレッタさんのはユートさんがそうして欲しいという、要望に応えた形ですからね。多分、内心というか内側はあまり変わっていないと思います」


 まぁ、どうしてという思いがルグレッタさんの方に多少なりともある可能性はあるけど。

 最近のルグレッタさんは、少し落ち込み気味な感じだからなぁ、一番気付いて欲しいうえに原因でもあるユートさんは気付いていないけど。

 こういうのは、少し離れた位置から見られる人の方が気付きやすい、というのはあるかもしれないが。

 そんな事を考えている俺にスススっとクレアが近付くが、イタズラをするような笑みを浮かべている。


「ちなみにですけど、タクミさん。ヨハンナはこう言っていて、まだあの二人には及ばないと考えていますが、フィリップやお父様が言うには、そうでもないみたいですよ?」

「そうでもない、というのは?」

「私は剣などの戦う事に関しては疎いので、わからない事もありますが……お父様達が言うには、実力の面では十分に姉二人に追い付いているみたいです。そもそも、私が声をかけたのもルグレッタさん達より見込みがありそうだ、と感じたからでしょうし。はっきりとは覚えていませんが……」

「成る程……まぁ末の妹だから、姉二人に憧れもあってまだ自分では認められないのかもしれないね。そういう、子供の頃に刻まれた感覚とかってのは、中々難しいから」

「そうですね。あとは、精神面で成熟すれば騎士団長にも挑めるだろう、とお父様は言っていました。まぁ、ヨハンナにそこまでの事はして欲しくないですけど。お父様みたいなのはちょっと。見てみたい気もしますけど」

「ははは、それは確かに。所構わず……という程かはわからないけど、会うたびに模擬戦を吹っ掛けるのはね……」


 クレアと二人、前を歩くヨハンナさんを見ながらくすくすと笑う。

 レオとリーザはそんな俺達を不思議そうに見ていた。

 ヨハンナさんには聞こえないように小声で話していたのもあって、後ろでそんな話がされているとは知らず、屋敷への道を晴れ晴れとした様子で歩いている。

 多分、複雑だと言っていた部分というのを誰かに、この場合は俺に話したから少しはスッキリしたんだろう……重荷とか抱え込むという程ではなくても、誰かにこういう話ができるというだけでも、気持ちが楽になるものだしな。


「あ、そうそう。タクミ様、クレアお嬢様に誘われて……もちろん、即日で決断したとはいえ色々な準備などで数か月後になりましたが、公爵家に仕えるようになってクレアお嬢様付きになってから、驚きの連続だったんですよ」

「驚きですか? その頃のクレアと言えば、突拍子もない行動をしたとか……ですかね?」


 お転婆と言われていた頃のクレアだし、行動力に関しては今と同等かそれ以上と考えれば、色々とヨハンナさんが驚くような事をやっていても不思議じゃない気がする。


「それもありましたが、先程クレアお嬢様のお言葉の言葉にもあったように、一緒にという部分でですね……くすくす」

「あ、ヨハンナ! 変な事を思い出しているわね!?」


 思い出したのか、急に笑い出すヨハンナさんを見て焦り出すクレア。

 幼少期のクレアかぁ……今とはかなり違うとはよく聞いているけど、興味があるな。


「いえいえ、クレアお嬢様との思い出は私にとって変な事ではありません。――それでタクミ様、私と共にいたクレアお嬢様なのですが……」


 その後、屋敷に戻るまでの間、ヨハンナさんによるクレアの幼少期の話が繰り広げられた。

 クレアが恥ずかしそうにしながら、色々と披露されるあれこれを止めようとしていたけど、ヨハンナさんは止まらない。

 ……これ、多分だけどさっきクレアと俺が話していた事、全部ではないにしても一部が聞こえていたかな?

 姉二人に追い付いてという部分は、かなり声を潜めていたので聞かれていないと思うけど……あぁ、エッケンハルトさんみたいに騎士団長に勝負を挑むのを、見てみたいとかいう部分が聞かれていたかな。


 面白そうな想像だったのか、その時のクレアは少し声が大きくなっていた気がするし。

 ちなみに、クレアに驚かされた事と言うのは、ヨハンナさんと一緒にクレアも訓練というか剣を持ち始めた事に関する内容が多かった。

 元々多少なりともエッケンハルトさんに習ったのか、剣の握りなどはできていたようだけど、それを振ると必ずどこかクリティカルな場所に飛んでいくとの事だ。

 大体は、屋敷……公爵家の本邸だけど、その壁だったり窓だったりで、一振りで必ず一つは何かを壊すか、傷つける奇特な性質を持つらしい。


 それはなんというか、フェヤリネッテが隠れていた頃のゲルダさんを彷彿と、いやそれ以上のドジっ子とも言えるのかな?

 日常生活で、クレアがドジっ子のような部分は一切見えないけど……そういえば、レオ達との遊びで木の枝を投げる時、一つの事に集中すると他がおろそかになりがちな様子があったっけ。

 結局、そんな事があってヨハンナさんは驚きの連続、具体的には不思議なクレアの性質に困ったりもしたようだけど、まぁ何かを壊すばかりで改善できなかったため、エッケンハルトさんから直々に、クレアが武器を持つような事は禁止されたとか。

 実際に怪我をするような人はいなかったらしいけど、顔面スレスレに剣や槍が飛んで来るとかもあったらしいからなぁ。


 そして、一緒にと言っていたクレアの言葉はともかくとして、ヨハンナさんはむしろ何かあっても武器を持って戦えないクレアに代わり、必ず守ると心に誓ったんだとか。

 ……ある意味、最強の武器になりそうではあるけど……狙ってやっている事じゃないから、それを頼るのは危ないか。

 あと、何かしらの武器が飛んで行くのを何度も繰り返しているのに怪我人が出なかったのは、それはそれで不思議だったとヨハンナさんは言っていたから、何らかの理由で人にはあたらないのかもしれない。


 クレアは恥ずかしそうに、「投げようとか一度も考えた事がなかったのに、強く握っていても、どうしても飛んでいくんです……不思議です」なんて呟いていたけども。

 確かに不思議でしかないけど、以前ヨハンナさんも言っていたけど、これからもクレアにはできるだけ武器を持たせないように注意しておこうと思った――。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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