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別働の調査隊の事を思い出しました

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「ほぉ?」

「タクミさん?」

「さすが婿殿だな。シルバーフェンリルの可能性の話だけでなく、調査の方も考えがあったか」

「まぁその、結局今回の誰が関わっているかまだ判明していませんが、とにかく調査の方をどうにかしないと多くの事が進めなくなっていますから。必要だとは思って考えていたんです。これで効果が出るか何かわかるかは、さすがに保証できませんけど……」


 そう前置きして、俺の考えを皆に伝える。

 クレアと話し、フェンリルの森に再び行く可能性があると確信してから、調査の方も並行して考えていたからな。

 そこまで俺自身は器用ではないから、むしろフェンリルの森へ行くためにどうしたらいいかのつながりで考えていた、とも言えるけど。

 これまで、調査に関しては諸注意みたいな事はしていたけど、基本的にルグリアさん達やフェンリル達に任せっきりだったから、ここで俺の案を示してもいいだろうというのもある。


 曲がりなりにも、調査隊の司令官みたいな扱いになっているんだから、毎日報告を聞いて難しい表情をするだけなのはな……。

 そうして、あくまで俺の考えであり、成果が必ずしも出るわけではない提案は結果的に皆に受け入れられた。

 今日は既に森に調査隊が入っているから、明日以降は俺の提案を元に調査隊を動かして行く事に決まった。

 もちろん、劇的な効果があるような提案ではないけど――。



「ふぅ、とりあえず提案ができて良かった。なんというか、話すだけ話して後はお任せっていうのは、ちょっと性に合わなかったしなぁ」

「タクミさんは、フェンリルの事も含めて多く協力して下さっていますし、気になされなくても良かったと思いますけど……」

「そうかもしれないけど、なんとなくね」


 話が終わった後、部屋を出て行くユートさん達を見送りながら、クレアにはちょっとだけ誤魔化す。

 決定的な手段というわけでもないので、提案するのを躊躇っていたんだけどエルケリッヒさんから婿殿と言われたのがきっかけになった。

 なんというか、しっかりしないとと感じたってところかな。

 あとは、クレアからクライツ男爵に関しての話とかあったし、俺だけ何もせずただ調査の進捗を見守るだけなのは気が引けたというのもあるけど。


 俺は貴族としての諸々なんてよくわからないし、やろうとしてできる事じゃない。

 だから、ここで調査が進むように全力を尽くすのが適材適所と言えるんだろうとも思ったしな。


「あ、そうだ。フェンリルといえば……すみません、エッケンハルトさん」

「む、どうした?」


 部屋から出ようとしていたエッケンハルトさんを、思い出した事があったので少し慌てて呼び止める。


「カッフェールの街への調査隊の出発はどうなっていますか? そろそろ出発しないと、遅い時間になってしまいそうですが……」


 一分一秒を争う程急いでいるわけじゃないけど、出発するなら遅くならない方がいい。

 走り始めてすぐ日が暮れるとかさすがにな。


「その事なら、もう出発しているぞ? そういえば、アルフレット達には伝えていなかったか」

「そうなんですか? いつの間に……」

「タクミ殿が寝ている間にだな。確か、クレアが見送りに出たんだったか?」

「はい。フェンリル達が早く走りたそうで、夜が明ける前から落ち着かなかったみたいで……」


 クレアの話によると、朝早く……それこそ俺が起きる前だから、時刻で言うと六時とかそれくらいの早朝に出発したらしい。

 シェリーを通じて、フェリーからまだ子供だから落ち着かないフェンリル達の事を相談されて、兵士さん達も準備は済んでいていつでもとの事だったので出発したんだとか。

 クレアが見送ったのはシェリーから起こされたからで、他にもその時起きていた使用人、朝番もしくは夜番で寝る前の人達が対応してくれたらしい。

 せめて朝食を食べてからでも、とクレアは提案したらしいけどフェンリル達の方が食事よりも、遠くまで走る事に興味を強くしていたのもあったとか。


 フェリー曰く、子供だから興味などへの制御が効かないんだろうと、さらにそれ以上に子供のフェンリルであるシェリーを通じて伝えられたみたいだ。

 まぁ、その時のシェリーは微妙な雰囲気を醸し出していて、クレアとしてはちょっとおもしろかったみたいだけど。


「すみません、タクミさんに伝える前にここでの話が始まったので……伝えそびれていました」

「あぁいや、気にしなくていいよ。フェンリルの事に関してでもあるけど、全部が全部俺に伝えないといけないってわけでもないしね」


 移動手段がフェンリルという事以外は、公爵領内を調べるために、その公爵家に連なる兵士さんが調査する、というわけだから必ずしも俺に報告しないといけないってわけではないだろう。

 フェリーが知っているなら問題ないだろうし、そもそもこれは森の調査以上に公爵家やエッケンハルトさんの担当とした方がいいだろうしな。

 って、クレアが見送ったのはまぁいいけど、そういえばエッケンハルトさんは……。


「エッケンハルトさんは、見送りには出なかったんですか? まぁ、絶対見送らないといけないわけではないでしょうけど」


 立場的に、わざわざ出なくてもいいとは思う。

 クレアも同様だけど。


「お父様はその時、まだ寝ていましたから……タクミさんも朝食にお父様がいない事はもう慣れたと思いますが」

「そういえば、今日もいなかったね」


 エッケンハルトさん、起きれなかったのか。

 何もなければ、基本的にエッケンハルトさんが朝食の席にいないのはもういつもの事で、最近ではエルケリッヒさんも時々寝ていていない事もあるけど。

 こういうのは血筋なのか……ティルラちゃんは朝から元気な事が多いけど、クレアも起きてはいるけどどちらかというと朝は苦手な方っぽいし。

 以前、あれこれあって同じ部屋の同じベッドで寝る事があったけど、その時の寝起きとかそんな感じだった。


 普段はあんまり、朝に弱そうなそぶりは見せないけど、時折あくびをかみ殺していたり、半分寝ているのではないかな? と疑えるような状態で、朝の通過儀礼である挨拶のハグをしているからな。

 今考える事じゃないけど、そういう時のクレアはなんというか甘くとろんとした雰囲気で、いつもの凛とした雰囲気とは違って可愛い。

 ってのは、口に出すと明らかなのろけだな、ちょっとだけ自重しよう。

 あくまでちょっとだけ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■6巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■6巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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