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1914/1997

調査に注力するための話をしました



「んんっ! 色々と話しましたが……とにかく、フェンリルの森に関してはこれから少しずつ、決して焦らず調査して行く事にします」

「まぁ、あれだけ二人の決意みたいなものを聞いておいて今更だが、レオ様もいれば協力的なフェンリル達もいるからな。危険というのは予想して考えておかねばならんが、大した危険というのもないだろう」

「そうですね。森という見通しの悪い場所でも、レオやフェンリル達の嗅覚や感覚は信頼できますし、魔物と遭遇しても大きな危険にはならないでしょう」


 もちろん、だからと言って油断しきって森に入るなんて事はしないけど。

 何があるかわからないから、注意しておくに越した事はない。


「ともかく、これからそうするのであれば、エルケリッヒさんには色々とお世話になると思いますが……」

「構わんさ。クレアの事でもあるしな」

「む、そこで父上なのかタクミ殿? ほら、私を頼ってもいいのだぞ?」

「いや……エッケンハルトさんは、いつまでもこの屋敷にいられるわけでもありませんし。ほら、エルケリッヒさんはマリエッタさんやティルラちゃんと一緒に、別邸へ行く予定ですから」

「そう言えばそうだったな……ぐむぅ、ついでだから、初代当主様との関わりという事で、別邸を本邸に戻してしまうか……」

「そんな事、すぐにできるわけがなかろう。諦めるのだな、ハルト。婿殿が頼りにするのはこの私だ」

「ぐぬぬ……」


 いや、そこで俺が誰を頼りにするかを親子で競わないで下さい。

 どちらの方が頼れるとかそんな事ではなく、滞在している場所の問題なんだから……まぁ、さっきのエッケンハルトさんのような事もあるから、エルケリッヒさんの方が頼れると思ったりしているようなしていないような……。


「ま、まぁそんなわけで……何も心配なくフェンリルの森を調査するためにはまず、北の森で起こっている何か。その調査を先に終わらせなければいけません。そうしないと、俺もクレアも……エルケリッヒさん達だってここを離れられませんから。それに薬草畑、クラウフェルトと名付けましたけど、そちらも進めないといけませんしね」


 森の調査があるために、ティルラちゃんが別邸へ戻るのを待っている状態だからな。

 エルケリッヒさんやマリエッタさんも同様だし、エッケンハルトさんも多くの人を集めている関係上、現在ここを離れられなくなっているし。

 クラウフェルトの方も、今は順調にすすんでいるけど、こちらもこちらで薬や薬草をクレアが他の村や街に持っていき、定期的に卸すなどの交渉をしに行く事もできていないからな。

 フェンリルすら体調を悪くさせたカナンビスを使った薬など、問題を解決するか、せめて調査がひと段落しないと、何が起こるかわからないのでこちらも動きにくい。


 俺は基本ここから離れる仕事というのはないはずだけど、それでも何かの用でどこかへ行っている時に、何かが起こってしまうのは嫌だからな……。

 それも、カナンビスに関係している事だと、俺が対処できる可能性もあるわけで、なのにいなくて対処できなかったなんて事になったら悔やんでも悔やみきれないし。


「そうですね。何が起ころうとしているのか、誰がなんの目的でやっているのか……調べて明らかにしなければ安心してタクミさんの薬草や薬を広められません」

「うむ。本腰を入れて、調査をしていかなければならんだろうな。もちろん、これまでも手を抜いていたわけではないが……いや、もっと人の手を集めるべきか」

「……さすがにこれ以上は、村の方が許容できないと思いますけど」

「今も、兵士が村にいる事で、少しだけ村の雰囲気が変わってしまっている気がしますしね……」


 調査のためであって、何か大変な事が起こるとかそういうわけではないにしても、兵士さんが村の中にも当然いるわけで。

 そこから、少しピリッとした空気になったりもしている。

 子供達はそうでもなさそうだけど、その子供を持つ親が少し警戒している感じかな? まぁそれも、フェンリル達が村の人達と交流したり、ヴォルターさんがお芝居を披露したりして、多少は緩和されているようではあるけども。


 とはいえ、さすがにこれ以上調査のためとはいえ、加減をせず兵士が増えてしまえばもっと村の雰囲気は悪いとは言わなくても、緊張感が漂ってしまいかねないからな。

 のんびりとした時間が流れて、穏やかな村の雰囲気が好きな俺としてはできるだけ避けたい。


「というよりです、お父様。人手は十分足りているかと。タクミさんの元に来る報告を聞く限りではありますが、全てではないにしても村に近いほとんどの部分を北に向かって調べる事ができています。それに、いくら兵士の数を増やしても、森に入っている者が巧妙である以上、フェンリル達に頼っているのは否めません」

「フェンリルの数の方が圧倒的に足りないか……」


 クレアの言葉に、難しい表情になるエッケンハルトさん。


「そうですね。フェリーによれば、もっとフェンリルの数を増やす事はできるようではありますけど……あくまで、今この屋敷にいるフェンリル達は、駅馬のために集めてもらったフェンリル達ですし」


 その駅馬も、様子見のために数を抑えている事もあるから、フェンリルを増員する事は可能なはずだ。


「ただその場合、フェリーなりをフェンリルの森に向かわせて連絡する必要がありますし……色々と大変なんじゃないかと……」


 主に数が増えた時のフェンリル達のお世話がだな。

 基本的に自分達の食い扶持は森に行った時などの狩りでなんとかなっているし、細かなお世話とかも……まぁ早い話がトイレとかそういった事も、手間はほとんどかからないんだけど。

 でも、食事をするとなるとヘレーナさん達が大変だからな。

 兵士さん達はある程度は自分達でなんとかしてくれるけど、フェンリルは自分で調理ができるわけじゃないし……。


 お腹を満たす、栄養を取るという意味では生肉とかでもいいらしいし、これまではそうだったみたいだけど……フェリー達がグルメになっちゃったから、それでは不満が出そうだ。

 協力してもらうんだから、そこに差はつけたくないしできる限りはしてやりたい。

 とはいえ、俺や他の人がヘレーナさんを手伝うにしても限界があるわけだからな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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