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フェリーから聞いた話を皆にもしました



「ふぅむ、フェリーの親世代か……話を聞く限り、その親世代というのは少なくとも後天的に今のようなフェンリルの性質になったと考えられるな」

「はい。それが、初代当主様の事があったからか、それともシルバーフェンリルが何かをしたのかはわかりませんけど」

「初代当主様は、シルバーフェンリルとの関わりはある程度伝わっているが、あまりフェンリルとの関係はわかっていないからな。だが、今のタクミ殿を取り巻く状況を考えると、同じくフェンリルとも親しく過ごしていた可能性は高いか」

「そうですね。フェンリルの森には多くのフェンリルがいるようですし……関わりを持たない方が難しいかもしれません」


 まぁシルバーフェンリルの気配で、フェンリルが近寄って来なかったり、そもそもフェンリルの数が増えたのは初代当主様のあれこれより後って可能性もあるが。

 何せ五百年近く昔の事だ、その間に数が増えても不思議はない。

 ただ、初代当主様とシルバーフェンリルが出会う前にフェンリルに囲まれていた、という言い伝えもあるので関わっていない、というのはまぁないだろうな。

 それが、俺とフェリー達のように親しくかどうかはわからないが。


 いや、そういえばユートさんがジョセフィーヌさんと出会った時、シルバーフェンリルだけでなくフェンリルとも一緒にいたって言っていたっけか。

 それを知っている、ユートさんから直接話を聞いているのは俺以外に、エッケンハルトさんとエルケリッヒさん、それからルグレッタさんくらいなのでこの場では話せないけど。


「シルバーフェンリルが家族を大事にするという言い伝え……まぁこれは、初代当主様から伝わっている話ではあるが、それならば単体ではないという事なのだろうな」

「はい。人でもシルバーフェンリルでも、家族と言うのなら一人や一体ではあり得ません。つまりそれは家族を持っている、子供がいてもおかしくないって事になるはずです」


 ギフトがあったおかげではあるだろうけど、仲の良かったジョセフィーヌさんの事を家族と思っていた、という事はあるかもしれないが……。

 ただそれだと、友などを大事にするとなっていてもおかしくない。

 あえて家族、としている事には意味があるんだと思う。


「そしてそれは、複数のシルバーフェンリルがいる事も示唆しているわけか」


 シルバーフェンリルとはいえ、単細胞生物じゃないんだから分裂して数が増える、家族を増やすなんて事はないだろうからな。

 フェンリル達もそうだし、レオを見ていても多分生態としては、というか子供を作る方法としては雄と雌が必要だ。

 子供がいると仮定するなら、少なくともその子供と雌雄の一組で三体はいる計算になる。

 もちろん最低限であり、多産だった場合はもっといるとも考えられるけど。


 というか、フェンリル達は多産なのかな? いや、何度もという方ではなく一度でという意味でだが。

 その辺りはフェリーに聞いていなかったか……フェンとリルルの子供がシェリーのみっぽいから、多分一度のお産で一体だけの可能性は高いか。

 双子とか三つ子がないわけではない、とかそのくらいで考えておいた方が良さそうだ。

 シルバーフェンリルもとりあえずは、フェンリルと同等と考えておこう。


「どれだけのシルバーフェンリルがいるかはわかりません。ただ、数は少ないかと。フェンリルの森はそもそも奥に入る人が少ないと聞いていますが……」

「まぁ、実際はどうあれ獰猛なフェンリルがいるとされている森だからな。全くいないとは断言しないが、奥まで行く者は迷ってしまった以外ではそうそういないだろう。それでも、数年に一度はフェンリルに襲われた、という話を聞くものだがな」

「フェンリルに襲われた人がいるんですね」

「真偽は定かではない、というより確かめようがない。が、ほとんどが嘘か勘違いだと考えている。フェリー達の能力を見て、本当に襲われた数人程度の人間が、森から逃げ延びられると思うか?」

「いえ……人には無理でしょう」


 フェンリル達、レオもそうだけど木々が鬱蒼と生い茂る森の中でも、平気で走り回れるからな。

 もちろん、何もない平原で走るよりは速度が落ちるんだろうけど、それでも人間の全速力よりよっぽど早い。

 嗅覚や聴覚なども鋭く、逃げる人間も簡単に追跡できるだろうし……森の中でフェンリルが例え一体であろうと、人間が逃げられる方法が思い浮かばない。

 逆に立ち向かって、勝つような想像もできないが。


「つまり、フェンリルに襲われたと言いつつ、生きて森から出ているという事その物が不自然なのだ。フェンリルが命までは取らないよう襲った、という事がないとは言わんが……フェリー達を見ていると、そのような事もほぼないだろうからな」

「まぁ、襲われる時点でフェンリル達に何かを仕掛けているでしょうからね」


 一応フェンリル達には、人がいてもむやみに襲わないよう頼んであるけど、反撃は仕方ないとしている。

 それを改めてこちらから頼んでいなくても、森に棲むフェンリル達が元々そうしていたなら、反撃、つまり襲われた人はフェンリルに何かしら攻撃を仕掛けたわけで。

 ニグレオスオークなどを狩るフェンリル達の様子を見ていると、フェンリルは基本的に相手を打ち倒す場合には容赦がない。

 野生としてはそれが正しいんだろう、つまりその容赦なさが人に向けられる時点で、生きて帰る事は考えられないってわけだな。


「フェンリルを見かけた、という発見情報だけならなくはないが……まぁこちらも、これまで真偽を確かめる事が難しかったため、本当に目撃したのかわからないんだがな」

「フェンリルがいないだろう場所での目撃情報などもあったな。魔物の生息情報はこちらでも調べているが、売れる事もある。高く売ろうと考えた者が、ありもしない話をするものだ」


 お金儲けを考えて、捏造して売りつけようなんて考える輩もいるのか……。

 特にフェンリルの情報なんて高く売れるかもしれないから、そのために嘘を考える人もいるんだろう。

 魔物の生息情報は、つまり縄張りというか軽々しくそこに近付いてはいけない、という危険地帯としての知識になるので、必要とする人もいる。

 もしくは、領地を治める貴族などが危険を排除するための情報として使うとかかな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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