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1904/1997

クレアがものすごくご機嫌な様子でした

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「ワッフワウワフ」

「あのままでも良かった? いや、さすがに見られ続けたままっていうのはどうかと思うし、ずっとあぁしてはいられないだろ? クレアだって、無理な体勢だっただろうし……」

「いえ、私はなんと言いますか……あのままでも全然……」

「クレア?」

「な、なんでもありません」

「ワウ。ワッフゥ……」


 さらにこれ以上があるのか、という程顔だけでなく首まで赤くして俯くクレア。

 小さな呟きだったけど、はっきり聞こえた……そうか、クレアはそれでも良かったのか……。

 なんて考えている俺の耳に、レオの深い溜め息が聞こえた。

 女性の気持ちがわかっていない、みたいなニュアンスを感じたけど、そうなんだろうか……?


 首を傾げながらもとりあえずその場は取り繕って、クレアの顔の赤みが引くように話を逸らしつつ、先程の話の通り二人で……。

 いや、シェリーやレオも交えてか。

 全員で笑い合うように、笑い合えるように談笑して、ぬるま湯のような毛布のような、何か暖かいものに包まれている雰囲気で過ごした――。



「……ふふふ」

「クレア、急に笑い出すのはちょっと不気味だから、気を付けた方がいいと思うぞ?」

「あら、私ったらつい……ふふふ」


 あれからしばらく、夕食の席で先程の俺と話をしていた時の事を思い出したんだろう、柔和な笑みを浮かべるクレア。

 だけどそのクレアに対して、エッケンハルトさんが若干引き気味だ、珍しい……。

 まぁいつもはエッケンハルトさんの突拍子もない行動や、面白そうだからという思い付きに、クレアが引き気味になるからなぁ。

 ともあれ、クレアには注意してもほぼ効果は見られないようで、エッケンハルトさんは訝し気にしながらも俺へと視線を寄越した……ただ目の奥は何やら面白そうだと、笑っているようにも見えるが。


「……タクミ殿、クレアが何やらご機嫌のようなのだが、何かあったか?」

「どうして、俺に聞くんですか?」


 クレアがご機嫌だからって、その理由を俺が知っているとは限らないと思うんだが。


「いやなに、クレアの事だからタクミ殿が関係しているだろうと思うのだがな。それ以外に、クレアがここまであからさまにご機嫌になる理由がない」

「我が孫ながら、可愛いじゃないの。あ、私もタクミさんが関わっているに賛成よ。最近のクレアを見ていると、タクミさんの事で一喜一憂しているもの」

「マリエッタさんまで……いやまぁ、多分間違ってはいないんでしょうけど」


 クレアの様子を窺っていたマリエッタさんまで、俺が原因と考えているようだったので、誤魔化せそうにない。

 別に誤魔化す必要はないんだけど……いや、好きな人の父親、祖父母から生暖かい視線で見られてしまっているから、恥ずかしくて誤魔化したくはなるけども。

 ちなみに、エッケンハルトさんとマリエッタさんの他に、エルケリッヒさんやユートさん。

 果てには使用人さん達、アルフレットさんやセバスチャンさん、エルミーネさんなども朗らかな様子で頷いていた。


 くっ、皆クレアがご機嫌になる理由はつまり、俺が原因としか考えていないのか……。

 それだけ、クレアと俺がわかりやすいとも言えるし、皆に見られているという事でもありそうだが。


「まぁ、色々と……クレアと二人で」

「ほぉ、二人で!?」

「これハルト。タクミさんの言葉を遮るんじゃありませんよ」


 二人で、と俺が口にした瞬間大きな反応を見せるエッケンハルトさん。

 マリエッタさんに窘められているけど、そのマリエッタさんも目が輝いているのを隠そうとしていない。

 なんというか、この二人が親子だというのを今深く納得した……エルケリッヒさんも、興味深そうだし。

 セバスチャンさんやエルミーネさんに至っては、物理的な距離は離れているけど前のめりだ。


 ……公爵家関係者は一族も含めて、興味津々すぎるだろう。

 そう思っていたら、ライラさんやジェーンさん、それにハイディさんやヴァレットさん達が、首を振ってやれやれ感を出していた。

 さすがに全員というわけではないらしい。


「えっとその……二人でと言っても、レオやシェリーもいましたからね?」

「ワフ?」

「キャウ?」

「あぁごめん、呼んだわけじゃないんだ。レオとシェリーはそのまま、ゆっくり食べていてくれ」


 レオとシェリーの名前を出したら、両方共が食べていた料理から顔を上げてこちらを窺った。

 多分、呼ばれたと思ったんだろう……ゆっくりって言ったが、レオの方はがっついてソーセージを食べているな。

 ハンバーグも好きだけど、レオはやっぱりソーセージが一番の好物だから仕方ないか。


「レオ達はいいとして……クレアとの話はその、シルバーフェンリルに関する話ですね」

「ふむぅ、シルバーフェンリルとなると、レオ様の事か? それならば、公爵家である私も聞かねばならんな。だが、それだけでクレアがあれ程ご機嫌になるものか?」

「あ、いえ、レオ以外のシルバーフェンリルについてですね。クレアはまぁ、なんと言いますか……話の流れで色々ありまして……」


 クレアは相変わらず、俺達の話は聞いてはいるようだけどあまり頭に入っていないのか、時折笑うくらいでこちらには関わって来ない。

 多分だけど、さっきの事が脳内でリプレイされているのかもしれない……予想だけど。


「話の流れか。そちらの方が興味深いのだが?」

「それはちょっと……」


 さすがに、クレアに抱きしめられたとか、その状態で話した内容を皆もいるこの場で話すのは恥ずかしすぎる。

 なんの罰ゲームかと思う程だ。

 けどエッケンハルトさんだけでなく、マリエッタさんやエルケリッヒさん、それにユートさんや使用人さん達の一部……特にセバスチャンさんとエルミーネさんが前のめりで興味津々だ。

 その圧に負けて話す……なんて事はせず、心を強く持って無理矢理誤魔化す事にした。


「んんっ! その、今日フェリーに色々話を聞いたんですけど……」


 強引に、クレアとのあれこれから話を逸らして、レオ以外のシルバーフェンリルがいる可能性についての話を、皆に披露した。

 内容はもちろんクレアに話した以上の事はなく、シェリーの成長に関してからの話から順番に、エッケンハルトさん達へしていった――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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