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1886/1981

フェンリルの成長の仕方は特殊なようでした



「ワッフ、ワフワフ! ガウーワウ!」


 さっき、調査に行くフェンリルを選ぶ時に声掛けとかのために一緒に行ったのに、まだ何か言うのか……多分、色々と注意点なんかを伝えるとかなんだろう

 と思ってレオの様子を見ていたら、人を乗せて走る時に興奮して全力を出すな、みたいな事を言っている鳴き声が聞こえてきた。

 まぁ、あっちは任せておけばちゃんとした注意点なども子フェンリル達にも伝えてくれそうだから、いいか。


「それはそうとフェリー、ちょっとした疑問なんだけどいいかな?」


 五体のフェンリル達に注意をしているレオから視線を外し、フェリーを見て話しかける。

 これまでなんとなく聞きそびれていた事をこの機会にとフェリーに聞くため、こちらはこちらでリーザに通訳を頼みつつ、聞いてみる事にした。

 ちょっとしたフェンリルの生態に関して、とかだな……体は十分大きいけど、それでも他のフェンリルより小さいと言える子供のフェンリルを見て、ふと思ったというのが大きいが。


「フェリーもそうだけど、フェンリルの年齢とかってどうなっているんだ? その、フェリーやフェン、リルルも俺達より随分長生きっていう事は知っているけど。あと、シェリーはどれくらいで大きくなっていくのかとかだけど」


 疑問というのは早い話がフェンリル達の年齢などに関してだ。

 以前、フェリーが数百年くらいだったっけ? そんな長い間生きているなんて事を聞いた覚えがあるけど、その辺りの話はこれまで結局聞いていなかったからな。

 通訳があればだけど、ちゃんと話ができるんだから聞いておきたい……今のところ、他にやる事がなくて暇だとかそんなんじゃない、かもしれない。


 あと、シェリーは少しずつ大きくなって行っているけど、それがどれくらいでフェリー達のようになるのかとかも気になるしな。

 大きくなったら、クレアやリーザ、それにティルラちゃんを背中に乗せられるようになるだろうけど、逆に今のように抱き上げる事はできなくなるだろうから。

 今でも、結構抱き上げるのにちょっと苦労するようになってきている。


「グルゥ。グルル……」

「そうなの、フェリー?」

「グルゥ」


 フェリーの話をリーザに通訳……と思ったんだけど、内容が気になったのか何やら質問を返すリーザに、頷くフェリー。


「どうしたんだい、リーザ?」

「んとね、フェリーがね……」


 改めてリーザに聞いてみると、フェリー曰くまずシェリーはもう少し大きくなったら、しばらく成長が止まるとか。

 フェンリルとして体力や魔力など、人間も含めた他の生き物よりも大きな力を付けるためで、どちらかというと蓄えるための時期に入るらしい。

 とはいえそれでも別に魔法を使ったり、走り回ったりできなくなるとかではなく、単純に体の大きさよりも内側の成長をさせるためなんだとか。


「シェリーがどんどん大きくなって、リーザやティルラお姉ちゃんを乗せてもらうって話してたのに……」

「そうだったんだ。そういえば、ティルラちゃんもいつか背中に乗りたいみたいな事を言っていたっけ」


 リーザが気になっていたのは、シェリーが大きくならない事らしく、少しだけ残念そうにしている。


「でもその代わり、シェリーはまだしばらく抱き上げられそうだ」

「そうみたい。ちょっと残念だけど、しばらく我慢する! それに、シェリーを抱けなくなるのも残念だから……うーん、どっちがいいかわかんない」

「ははは、まぁいずれフェリー達みたいに大きくなるなら、今のうちにいっぱい抱いて可愛がってあげるといいんじゃないかな?」


 いずれ成長するし、それは止められない……もし止められるとしても、それはシェリーのためにはならないだろうしな。

 だから、今の内だけだと思っていっぱいシェリーを抱いたり、一緒に遊んでやればリーザも楽しめるだろう。

 ちなみに、体が大きくなるという意味での成長が止まるのは、生まれてからちょっとしたくらいで、フェリーとしてはすぐに止まるし、大きな体の大人のフェンリルから見たら生まれてから大きくなったのもほとんど実感できないくらいだとか。

 こういう部分はさすがに人とは感覚が違うんだろうな。


 あと、生まれてちょっとというのはどうやら約一年程度の事らしい。

 一日や一か月、一年という暦や時間の数え方はフェンリル達の中にはほぼないらしく、基本的に明るくなって暗くなって、再び明るくなったら一つと数える程度だとか。

 だから細かな年齢みたいなのもほとんどわからず、なんとなく生まれてからの数が多いから年長者みたいな感覚も少しくらいしかないみたいだ。

 それと人間でいう年功序列的な考え方もないようで、年長者だから偉いというのもないと。


「じゃあ、大人も子供もあまり区別はないのか?」

「グルゥ、グルルル……」


 一応、大人と子供は区別されて子供は大人に従わせる、守るという事は当然の事として認識しているらしい。

 それは、直接の子供ではなくとも群れの中にいる子供であれば、他の大人のフェンリルも守るという事で、群れとしてではあるけど子供を育てるための社会的な考えはあるとか。

 んでもって、フェンリルと同種族で形成される群れだけど、多種族を忌避しないから敵対さえしなければ受け入れる懐の深さもあるようだ。

 リーザは獣人だからフェンリルからしても特別らしいが、ティルラちゃんを含めた人の子供も等しく、守るような感じになるらしい。


 確かにフェンリル達は子供達の遊び相手になってくれているけど、見守るような雰囲気も感じるからなぁ。

 ただ以前……どれくらい前かはわからないけど、フェリーが生まれるより前からだから気の遠くなる程の昔は違ったと、フェリーは親の世代から聞かされたとも言っていた。

 フェリーの年齢に関して詳細はわからないけど、数えきれないくらいの日を過ごしたようで、おそらく数百年は生きているし、それでもまだ人間でいう老人という程でもないようなので、かなり長寿ではあるようだ。


 そのフェリーの親世代って事は、もしかするとこの国をユートさんが建国した前後の世代だったりするのかな?

 だとしたら、フェンリルの森にいたフェリーの親世代は、公爵家初代当主様であるジョセフィーヌさんや、そのジョセフィーヌさんと親しくしていたシルバーフェンリルの事を知っているのかもしれないな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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