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カードとは別の遊びも伝えました



「成る程……カードを使って遊ぶから、カードゲームか。中々楽しそうだ。少人数でも遊べるのも悪くない」

「家族でとかもできますし、多くの人を集める必要もなく手軽にできますからね」

「うむ。だが……紙を正確に、そして同じ大きさに切るのだったな。そこが少々難しいか……」

「あー……それは確かに」


 裁断機などはあるし、書類に使われる用紙などはほぼ均一に揃えられてはいるけど、やっぱり誤差がある。

 本でも、完全には揃っていない紙を束ねているようだし、ミリ単位で正確に同じ大きさに紙を裁断するのは難しそうか……。


「でもできなくはないよね。ちょーっとだけ値段が上がっちゃうけど」

「そうですが、それを作るための者を育てるか、既にできる者を雇うなりしなければなりませんな」

「えーっと、念のために聞きますが、値段が上がるって言うのはどれくらい……?」

「そうだねぇ……」


 自分の発案だから気になって尋ねてみると、ユートさんが教えてくれる。

 あくまで現状での概算ではあるけど、一セットが銅貨数十枚、場合によっては銀貨一枚くらいになるだろうとの事だった。

 カードのセット一つで銀貨かぁ……日本だと一万円程度のトランプって事になるわけで、一般の人が買えないわけじゃないけど、ちょっと難しいかもなぁ。


「うーん、そうなるとリバーシの方はもっと難しくなりそうかなぁ?」

「リバーシ? まだ他にもあるのか?」

「あぁえっと……」


 比較的安価にできるイメージのあるカードでそれなら、リバーシとなると駒や盤面も用意する必要があるため、もっと費用が掛かって値段が吊り上がってしまうのではないか……と思って呟くと、エルケリッヒさんが反応した。

 とりあえず、思い出したらしいユートさんを交えてエルケリッヒさん達に説明しつつ、ティルラちゃんの方に目をやると、あちらはあちらで楽しそうに遊んでいるようだった。

 差し当って、カードの説明のために適当に手のひらサイズになるよう切ってもらった紙ぺらに、俺の知っているマークと数字を入れた物でマリエッタさんやハイディさんとババ抜き……もといトランプゲームをやってもらっている。

 その紙を裁断したのはハイディさんだけど、重ねて比べないとわからないくらい、ほとんど誤差なく紙を切っていた。


 だからエッケンハルトさんやユートさんに言われるまで、簡単にできるものと思い込んでしまったのもあるんだけど。

 ちなみに、長年貴族のお傍仕えをしている使用人であれば、割と必要とされるスキルなのだとか……使用人さんって凄いなぁ。

 事務仕事が多くなるだろうから、これから俺もというか今もすでにだけど、頼りにさせてもらおう。


「そういえばそんなのもあったねぇ……」

「ふむぅ、リバーシか」

「基本というか、ルールとしては一対一のみの物なので、あまり大勢でワイワイと楽しむのには向きませんけど」


 リバーシをやった事はあるが、セオリーとかもあるらしいけどそこまで詳しくはない程度。

 ハマらなければそういう人の方が多いんじゃないかな?


「タクミ君。タクミ君は難しいって言ったけど、多分そっちの方が簡単に作れると思うよ?」

「え、そうかな……?」

「うん。だって、リバーシの駒は絶対均一じゃなくてもいいでしょ? そりゃ盤面も含めてできる限り均一の方がいいけど」

「あー、言われてみれば確かにそうかも」


 カードなどは、均一でなければ場合によっては手札がばれてしまう可能性もある。

 けどリバーシでは手札がバレるなんて事はないし、単純に白と黒に別れていれば成立するか。

 それこそ極端な話、二種類の色なりに別けておけばいいわけで……。


「どこまでこだわるかにもよるけど、比較的安価で作れると思う。こだわりの高級品と、とりあえずゲームとして使える低価格の物で別けて作るのもできるだろうね」

「成る程……なら、一度作ってみてもいいのかな?」

「そうだな。話を聞いてもよくわからない部分はあるが……一度作らせてみよう。その方が私達にもわかりやすいだろう」

「ですね。実際にやって見せた方が、どういう物なのかはわかりやすいですし、どれくらい安価に作れるかも判断できると思います」


 別に今すぐ作って多くの人に広めなきゃいけないというわけでもないんだから、お試しで作ってどういう物かを判断するのでもいいのか。

 そういうわけで、とりあえずエッケンハルトさんが作れそうな人に試作を頼む事になった。

 もちろん頼むにしても、エッケンハルトさん自身はリバーシを見た事がないので、駒や盤面などの詳細を思い出したユートさんと一緒に伝えたけど。

 盤面は八かける八の正方形、駒は一応予備も合わせて少し多めに作っておくのと、二種類の色分けをする事だな。


 八かける八にしたのは、一般的というか俺がやった事のあるルールだからで、その辺りは実際に作ってやってみてからどうするか考えようと思う。

 ちなみに他にも、囲碁や将棋の案を伝えてみようと思ったけど、あちらは俺が駒の種類や盤面のマス目などをよく知らないために断念。

 ユートさんも名前などは思い出したみたいだけど、詳細まではわからないらしい……日本にいる時にあまり親しんでいなかったのかもしれないし、それは俺も同じか。


 麻雀なら多少は……と思ったけど、あれも均一でなくてはならないし牌の種類が多くて、中々難しいだろうととりあえず温存しておく事にする。

 伯父さんに教えられて、何度かやって将棋や囲碁よりは詳しくはあるけども。


「それにしても、娯楽が広まらない理由とかはまぁなんとなくわかったけど、リバーシとかカードとか、俺じゃなくても思いつきそうな物な気がするけどなぁ」


 なんて、どういった相手に頼むかなどを検討しているエッケンハルトさんやエルケリッヒさん達を見ながら、お茶をすすりつつ呟く。

 この世界の人が発案していてもおかしくない……とかそういう意味ではなく、俺もそうだけどユートさんや他にも地球から来た人がいるんだから、そこからっていう意味だ。

 もちろん状況によって、娯楽の事に意識が向くかどうかと言うのもあるだろうけど……。


 リーベルト家初代当主様であるジョセフィーヌさんとかもそうだし……まぁあの人は、最初フェンリルやシルバーフェンリルと一緒に過ごしていて、人と関わるのは後の方だったらしいが。

 それでも、全く人と関わっていないというわけでもないし、公爵家の始祖になっているわけだしなぁ――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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