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1879/1997

客間へ報告に行きました



「パパすごーい」

「ラーレの話でそこまで考えられるのですね」

「ははは、まぁ事前に聞いていた情報もあるし、俺は調査隊の人達が到着するのを見ているからね」


 俺の推理、と呼べるのかはともかく……推論に手放しで感心するリーザとティルラちゃん。

 子供達に尊敬の目で見られるのは嬉しい事だが、調査隊の事を知っていたら多分多くの人は考え付く事だろうから、あまり自慢にならないだろう。


「とりあえず、調査隊が近くまで来ていると考えて……ラーレ、どのくらい離れた場所だった?」

「キィ……キィキィ?」


 ティルラちゃんにラーレの言葉を通訳してもらうけど、調査隊がどれくらいの場所にいて、どのくらいで到着するのかまではよくわからないようだ。

 まぁ、時間とか距離とか、ラーレはあまり気にしていないようだからな。

 とりあえず近くではあるけど、あと一時間や二時間で到着する事はなさそうってところだろうか……。

 ティルラちゃんなど、人を乗せていない時のラーレは結構早く空を飛んでいるようだから、近くと言っても結構距離があると考える。


「何はともあれ、エッケンハルトさん達に報告だな。まだ鍛錬の途中だったけど、ほとんど終わっていたし……」

「私も行きます!」

「鍛錬は最後までやらなくていいの、ティルラちゃん。まぁ途中で切り上げようとしている俺が言うのもなんだけど」

「大丈夫です。また後でやればいいんですから」

「それはそうか。それじゃ、一緒に行こうか。――レオとリーザはどうする?」

「ワフ? ワフー……ワウフ」

「私も、ママと一緒にいるね」


 まだ遊び足りないらしく、レオとリーザは庭に残るようだ。

 以前のリーザは、どんな時も俺に付いて来ようとしていたけど……これが親離れというやつだろうか? ちょっと寂しい。

 いや、ママと呼んでいるレオも一緒だから違うか。

 まぁフェンリル達もいるし、もっと体を動かしたいというのもあるんだろう、レオもそうみたいだしな。


「レオとリーザはここに残るとして、ラーレは……」

「キィキィ~!」

「もうちょっと、空を飛んで来るそうです。途中で戻って来たから、まだ飛び足りないみたいです」

「わかった。調査隊……だと思うけど、その人達を見つけたから散歩を切り上げて報告に戻って来てくれたんだな、ありがとう」

「キィ」


 まぁラーレは屋敷の中に入っても翼を広げられなくて不自由するだけだからな。

 空を自由に飛んでいた方が楽しいんだろう。

 ちなみにそのラーレの背中辺りでは、羽毛に埋まってコッカーとトリースがすやすやと寝息を立てている。

 空の散歩が気持ちよくて、ラーレの背中がゆりかごのようになっていたんだろうけど……近くで俺達が話しているのに起きないのは深い眠りに入っているからか。


 コカトリスは臆病で、魔物なり人なり誰かが近付いたら逃げると聞いたけど、野生の警戒心はもはやどこにもなさそうだなぁ。

 ラーレといる以上、ちょっとした脅威は脅威にすらならないから安心している、と言うのもあるのかもしれないけど。


「それじゃ俺とティルラちゃんでエッケンハルトさんの所に行こうか」

「はい!」

「キィ~」

「ワフ~」


 ラーレとレオ、それからリーザに見送られて俺とティルラちゃんは、鍛錬で出た汗を拭きながら屋敷の中へ。


「エッケンハルトさん」

「む、どうしたのだタクミ殿?」


 屋敷に入り、使用人さんにエッケンハルトさんが客間でのんびりしているというのを聞いて、そちらへ。

 客間では、エッケンハルトさんだけでなくユートさんやエルケリッヒさん、マリエッタさんもいた。

 エルケリッヒさんとマリエッタさんは、庭にいる事が多いんだけど今日はこっちだったようだ。

 何か、大事な話とかしていたのかな? ユートさんもいるし……ルグレッタさんもいるところを見ると、逃げ出してきたわけじゃなさそうだし。


「すみません、話の邪魔をしてしまいましたか?」

「いや、ユート閣下と、娯楽について話していたくらいだ。タクミ殿にも話を聞こうと思っていたから、ちょうど良いくらいだな」


 だから、ユートさんだけでなくエルケリッヒさん達もいるのか。

 演劇が行われて以来、エルケリッヒさん達も娯楽に興味を持っているようだったからな。


「娯楽、ですか?」

「まぁティルラにとっての鍛錬のようなものだ」

「いえ、さすがにあれは娯楽ではないと思いますけど……」


 首を傾げるティルラちゃんになんて事を教え込もうとするんだ、父親なのに。

 確かにティルラちゃんは体を動かすのが好きなのか、鍛錬を楽しそうにやっているし、趣味とか娯楽に近いかもしれないけど……。


「して、タクミ殿の用はなんだ? まだ鍛錬が終わるには早いと思うが……」

「あぁはい。ラーレが空の散歩から戻って来まして……」


 話を戻すエッケンハルトさんに、ラーレが発見した人たちの事を伝える。

 俺の予想と同じように、エッケンハルトさん達も調査隊だろうとの見方だ。


「しかし、調査隊が近くまで来ているのなら、先触れが出されるはずなのだがな……」


 先触れはいついつ到着します、人数はこれくらいです、という連絡を前もって伝える事だ。

 貴族など地位の高い人が街や村に行く前、もしくは別の貴族家を訪ねる時などに準備をしてらうために必要だし、その他でも特に人数が多い時は連絡をするのが常だ。

 まぁ日本で言うなら、先に電話などで連絡しておいてアポを取っておくみたいな事だろうか。


 お店の予約……とは少し違うかな?

 ともかく、少なくとも数百人の規模なのに先触れが来ていない、というのはエッケンハルトさんが訝しむのも仕方ないって事だな。


「何も連絡がないと?」

「うむ。何かあったのか、遅れているだけか……」

「失礼いたします。旦那様、大旦那様方。今しがた先触れが到着し、先日の調査隊とは別方面の調査隊が明日到着するとの事です」

「うむ、ちょうど良かったな」

「そうみたいですね」


 何かあったのか、と思っているとタイミングよくセバスチャンさんが客間に入室、先触れが到着したことを報せてくれた。

 どうやら単純に、先触れが来るよりもラーレが見つけるのが早かっただけらしい。

 先触れの人は馬で駆けてきたんだろうけど、空を飛んでいるラーレの方が移動は早いからな――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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