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宝石の力について話し合いました



「そ、それで、クレアの話と俺の感覚などをまとめると……」

「は、はい、そうですね……。つまりこれは……」


 何はともあれ、まだお互いに顔が赤いながらも宝石の力がどう作用したのかなどを、二人で話してまとめる。

 結局のところ、残っていた宝石の力は俺もクレアも内心で考えていた事であり、本心からの行動だからこそ、ちょっとした誘導のような作用で止まらなくなった、という結論だ。

 クレアの小さな願いを叶える力、というレオの話が本当なら、クレアが求めたからそうなったわけだけど……俺も求めていないと言えば嘘になるので、二人が願ったからという形で決着した。

 なんというか、そう決着させないとクレアがとんでもない事になりそうだったからなぁ。


 具体的には、顔を真っ赤にしすぎて目を回しそうだったりとかだけど。

 ともかく、今はどれだけ周囲の光を遮ってから見ても、宝石が光を放っている事はないので、その力もなくなっているはずだ。

 ほんの少し残っていた力が、むしろだからこそ俺達が考えていた事を実際に行動させたのだろう、と推測した。

 まぁ小さな願いであって大きな願いではないのなら、花を元気にしたくらいの力が蓄えられても、本心ではない行動まではさせられないだろう、というのは後でレオに話して聞いた事だったりもするけど。


 ……レオやライラさんがリーザを連れて執務室を出て、二人になってからあった事に関してをレオにのみ伝えた時に聞いた。

 宝石の力に関してはともかく、俺とクレアの事はさすがにリーザに話すのは憚られたし、大手を振って誰かに話すような事でもないからな。


「使い方と言いますか、身に付けている時に考える事など、気を付けていなければいけませんね……」


 半分くらいは落ち着きを取り戻し、もう半分は平静を装いつつ、クレアが神妙に自分の持っているネックレス、その宝石を見ながら呟く。

 まぁ、平静を装うなどの部分は俺も同じだけど。


「そうだね……でも、多分それは大丈夫なんじゃないかな?」

「もし、身に付けている時に私が変な事を願ってしまったら、危険ではないですか? いえ、もちろん、変な事なんて考えたりは……し、しませんけど」


 段々としりすぼみになっていくクレアが、変な事と言って何を考えたのか、少し知りたい気もする。

 けどそこを深掘りすると、さっきのようにまともに話すのも苦労する状態に戻りそうだったので、クレアだけでなく俺のためにもスルーしておく。


「これまでも、ずっと身に着けてくれていたのに、そんな事はなかったからね。きっと、願いというのはクレアが手に持ってはっきりと考える事で力を発揮するんじゃないかな? それに、また光を放つようになるまでは力が失われた状態みたいだし」

「そう言われてみれば確かに、そうですね」


 何せ、クレアがまたなんて考えていた事だ……多分これまでも同様の事を考えたり思い浮かべたりした事はあったんだろう。

 それこそ、俺との事だけでなくクレアが何かを願う、強く思う事だって他にもあったと思うしな。

 けど今回のような事はなかったわけで。

 それなら、願いを叶えるというのも強く願うだけでなく、発動条件というかただ身に着けていればいい、というわけではないんだと思う。


「もちろん俺も、レオに何かわからないか詳しく聞いておくけど」

「わかりました。これまでそう言った事はなかったので、タクミさんの言う通り大丈夫なのだと考えます。寝る時以外、ずっと身に着けているのに慣れたので……もちろん、タクミさんが下さったから、というのもあって大事なものですから、ないと寂しい気もしますしね」

「うん、俺としてもそうしてくれると嬉しいし、プレゼントした甲斐があるって思うよ。まぁ、こんな事ならもっといい物をとは思うけど……」


 少し恥ずかしくなって、クレアから視線を外しながらそう言う。

 クレアは別に、貴金属やアクセサリーの類を好んで身に着けるタイプではない。

 けど、貴族令嬢という言葉通りに綺麗で、時折……いや度々かな? 可愛らしい女性だ。

 ネックレスと宝石はそれなりの値段で安物という程ではないけど、クレアと見比べた時に少し見劣りするような、もっと高価でいい物をプレゼントしておけばと思ったりもする。


 また別の機会になるとは思うけど、その時は今度こそ見劣りしない物を探してみようかな。

 ……その時は、そういった商品を扱っていて信頼できる人やお店がないか、アルフレットさん達に相談しようと心に決めた。


「私としては、物としての質よりもタクミさんが、私の事を考えて選んでくれた。それだけで他のどんな物よりも価値のある素晴らしい物だと思いますけど……」

「それは嬉しいけど、どうせならね。男としてというか、俺の意地みたいなもの、かな?」


 そう言って笑いかけ、お互いにかなり落ち着けたのを確認し、クレアと一緒に立ち上がる。

 とりあえず、顔が熱いのも引いたし……まだクレアも俺も多少赤くなってはいると思うけど、部屋を出て行ったレオ達とも合流しなきゃいけないしと、とりあえず話を終えた。

 屋号を決める相談だけのつもりだったのに、とんでもない事が起きて判明しちゃったなぁ……なんて思いつつ、部屋を出る前にクレアには一言伝えておく事にする。


 これは、俺が本心とはいえ宝石の力で誘導されたのではなく、俺が俺の考えで伝える言葉だ。

 なんというか、宝石の力のおかげだけで終わるのは、少し悔しかったから――。


「今度は、できるだけクレアを待たせないように……クレアの願いが叶うように頑張るよ」

「え、タ、タクミさん、それって……?」


 キョトンとし、言葉の意味がわかって再び顔を赤くしたクレアには答えず、そのまま執務室を後にした。

 まぁそのクレアもついて来ているので、落ち着くまで一人になるなんて事はできないんだが……。

 もうぐ夕食だし、エッケンハルトさん達に変な勘繰りをされないといいんだけど……。



「ふむぅ? クレア、少々様子がおかしいような気がするが? タクミ殿もだ。二人共どこかよそよそしくないか?」


 なんて俺の淡い期待は裏切られ、夕食が始まる直前にエッケンハルトさんから訝し気に見られ、突っ込まれた。

 なんとなく気恥ずかしくて、いつもと同じく隣に座ってはいてもあまり視線を合わせないようにしていたからかもしれない。

 さすがエッケンハルトさん、娘であるクレアの事はよく見ているなぁ……。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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