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1853/1996

カレー夕食会が始まりました



「とりあえずわかりました。本当にフェンリルに乗って移動するかはともかく、レオやフェリーとは後で話しておきます」

「うむ、頼んだ」


 まだ決定じゃないからな。

 まぁここにいるフェンリル達は、全て駅馬で荷物を運んだり馬車を曳いたり、人を乗せるのを承諾しているからいるわけで、断られる事はないとは思うけど。

 貸し出す……というか俺の許可とかは関係なく、直接フェリーとエルケリッヒさんが話してもいいとは思うんだが。

 俺がフェンリルとの橋渡し役というか担当になっているから、一応エルケリッヒさんから話をされたんだろうと思う。


 エルケリッヒさんとの話を終え、しばらくしてエッケンハルトさん達も揃い、ヘレーナさんや使用人さん達がカレーなどを運んで来る。

 クズィーリさんは、まさかエッケンハルトさん達と同じ食卓に着くとは思っていなかったらしく、再び緊張で硬直しているけど、従業員さん達やカレスさんがフォローしてくれているようだ。

 ユートさんはソワソワして落ち着きがない、気持ちはわかるけど、もう少し落ち着いて欲しい……食べたら落ちつくかな?

 ともあれ、運ばれて来た鍋からカレーの香りが庭に広がり、にわかに集まった皆が騒がしくなる。


 初めてとはいっても、やっぱりそこはカレー。

 匂いが食欲を刺激しているんだろう、とりあえず香りを嫌っている様子は、レオやフェンリル達も含めて誰もいなさそうだ。


「カレー、というのか? この匂いは確かに空腹を刺激するな……ユート閣下の様子だけでなく、クレアが先程から腹を鳴らしているのもわかる気がする」

「お父様!」


 エッケンハルトさんの言葉に、顔を赤くしたクレアさん。

 つい先ほどの事だけど、エッケンハルトさんが屋敷から出て来たタイミングで、クレアのお腹が鳴っちゃったんだよな。

 ずっと厨房で料理の様子を見ていて、匂いも嗅いでいたから我慢の限界ってところだったんだろうし、仕方ないけど。


「まぁ、皆待ちきれないようですし、とりあえず食べましょうか。あ、そうだ。辛いのが苦手な人もいると思いますので、甘口も用意してあります。あと、もし辛くて耐えられない時は水か牛乳を飲んで口の中を洗い流すと、少しマシになりますので」


 一応、水だけでなく牛乳も用意されている。

 カレーを食べる時の飲み物と言えば、ラッシーが思い浮かぶけど……さすがにないのでそこは牛乳で代用だ。

 同じ乳製品という事で。

 あと、俺達が厨房を離れてから準備したのか、サラダも用意されているから、そちらで辛さを緩和させるのも悪くないだろう。


 辛口か甘口か、味見をした俺達以外の人達は判断基準がないので、とりあえずお試しに両方を少量ずつという人がほとんどだった。

 そこから、どちらかを選んでガッツリ食べる感じだな。

 意外、なのかはわからないけどユートさんが選んだのは甘口だった。

 実は辛いのが苦手だったのかもしれない……まぁ辛いのが苦手だからって、カレーが好きな人もいるからな。


 その他、初めてだというのもあるんだろう。

 辛口が刺激的なのもあって、全体的には甘口を選ぶ人が多かった。

 甘口だからって全く辛くない、というわけではないけど甘くマイルドな口当たりに、後から感じる辛味が刺激になってちょうどいいらしい。

 ちなみに、ご飯……ライスとパンでは、ライスの方が好評だった。


「う、うぅ……ようやく、ようやくカレーが食べられたよーー!! 辛い、辛いけど美味しい、これがカレーなんだー!」

「うるさいです、ユート閣下。もう少し静かに食べて下さい」


 甘口のカレーライスを食べながら、スプーンを持たない方の手を握り締めて突き上げ、涙を流しながら叫んでいるユートさん。

 隣に座るルグレッタさんが注意しているけど、おそらく聞いていない。


「ははは、気持ちはわかりますけどね……」


 苦笑しつつその様子を眺めているけど、まぁ長年求めていたのだから仕方ないかなと思う。

 俺だって、こちらに来てからご飯とみそ汁を食べた時には、同じようにちょっと泣いてしまったし。

 ……拳を突き出したり、叫んだりはしなかったが。

 そんな俺は、辛口を食べて汗を流しつつも内心で大いに感動していた。


 派手なリアクションはしないけど、俺もあまりユートさんと変わらず感動しているのは間違いない。

 カレーライスはやっぱり、炊いたご飯の正しい食べ方の一つ、つまり大正義だよなぁ、なんてどうでもいい事を考えていたりもする。

 クレアは味見した時の感想通りに甘口で、リーザは辛口を選んでいた。

 デリアさんも辛口みたいだし、やっぱり獣人には辛党が多いのかもしれない。


 エルケリッヒさんは甘口、エッケンハルトさんとマリエッタさんは辛口を選んでいるな。

 けどエッケンハルトさんはやせ我慢をしているのか、顔を赤くしながら汗を流し、牛乳を大量に消費しつつ食べている。

 そんなに、無理して食べる物じゃないんだが……。


「ワッフ、ガフガフガフ……!」

「レオもカレーは気に入ったのか……」


 ユートさんとは別では、レオががっつくように口先をお皿に突っ込んで、カレーを食べている。

 カレーライスを食べる犬……いや狼だけど、中々珍しい光景だ。

 マルチーズだった時は、俺がカレーを食べていても最初に匂いで興味を持っても、すぐに興味を失くしていたのになぁ。

 シルバーフェンリルになって、食べられる物が増えたからなのか、好みも少しだけ変わったのかもしれない……相変わらずソーセージなどは好きなままだが。


 ちなみに、レオが食べているのは甘口だ。

 辛口も試しに食べてはいたし、そちらも嫌いな様子ではなかったんだけど、甘い方が好みみたいだな。

 フェンリル達の方は、一部ライスもパンも断ってカレーのみ……おそらく具材の一つであるビーフを好んでいると思われるが、それを食べているのを除いて、尻尾をブンブン振りながら食べていた。

 さすがに人と違って、パンの場合は少しずつカレーを付けながら食べるという事はできないため、パンもご飯もカレーとしっかり混ぜてもらって食べているけど。


 さらに一部は、パンとご飯の両方をぐちゃぐちゃに混ぜて食べる、という猛者もいたけど……好みらしいから何も言うまい。

 ラーレやコッカーとトリース、ヴォルグラウも問題なくカレーを食べている。

 コッカーとトリースは、カレーよりもパンを食べる割合が多いけど。

 辛口と甘口は、ラーレもコッカー達もヴォルグラウも、意外にも辛口が好みのようで、フェンリル達の方は半々、よりもやや辛口好きが多かった――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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