レオ達に食べられる物を聞きました
「おーい、レオー!」
「ワフ?」
庭でへそ天していたレオを発見し、呼びかける。
俺の声が聞こえてすぐ、顔だけ上げてこちらを見るが……結構横着をしているな。
まぁ、お散歩でかなりの距離と時間走っていたからだろうけど、疲労とかではなく、満足感でいっぱいなんだと思う。
「ちょっといいか?」
「ワッフ」
「どうしましたか、タクミさん?」
「キィ?」
ひっくり返ってお腹を見せるへそ天状態のままのレオに近付く。
すぐ隣では、ラーレと一緒にティルラちゃんもいた。
こちらは、毛づくろいならぬ羽づくろいをしているラーレを、ティルラちゃんが見ていたようだ。
「ちょっと、これからの夕食について相談というか聞きたい事があるんだけど……」
そう切り出して、レオや近くにいるラーレも含めて食べられる物、食べられない物などを聞いた。
レオはずっとへそ天状態のままで受け答えしてくれたけど……いい加減、起き上がらないのか?
まぁ、レオが気にしないならいいんだけど。
この場にリーザがいないから、取り繕う気がないのかもしれないが。
「……結構、大丈夫な物が多いんだな。これまで結構気を遣っていたんだが……というか、人間よりも食べられる物が多そうだ」
「ワッフー!」
へそ天状態のままで誇らしげに鳴いているレオだけど……恰好のせいで割と情けないぞ?
それはともかく、レオだけでなくラーレは基本的に、人間が食べられる物なら大丈夫だろうとの事だった。
レオやラーレ自身にも目の前にしないとわからない物もあったけど、人間が食べられるなら問題ないとか。
人よりかなり内臓が丈夫なんだろうなぁ……ハンバーグにタマネギを入れないようにしたりとかは、あまり意味がなかったようだ。
なんにせよ、カレーを作るのにタマネギを使っても大丈夫だし、これからはハンバーグに混ぜても問題ない事がわかった。
「キィ、キィキィ!」
「そうなのですか? さすがラーレですねー!」
「ん? ラーレはなんて言ったの、ティルラちゃん?」
「えっとですね、人間が毒だと言っている物も、食べられるそうです!」
何やら翼を広げて主張するラーレの言葉を、ティルラちゃんに通訳してもらう。
従魔契約をしているし、ティルラちゃんにはギフトがあるから、こういった通訳はお手の物だ。
……そういえば図書室から借りた従魔に関する本、読もうとしてそのままだったな……ちゃんと読んでおかないと。
それはともかく。
「毒……毒かぁ……」
人間にとって毒でも、他の生物にとってはそうじゃない、なんて事もあるからそういう事もあるんだろうな。
というか、そもそもシルバーフェンリルのレオやカッパーイーグルのラーレに、毒って効くのだろうか? いや、さすがに効く何かもあるとは思うけど。
「それじゃあ、辛い物とかは大丈夫か? 食べられるかどうかってだけじゃなくて、味として好むかどうかだけど」
「ワフ、ワウゥ……」
「キィ、キィキィ」
食べても大丈夫だとしても、辛い物が好きか嫌いかの好みとかはあるだろうからな。
一応聞いておかないとと思って聞いてみると、レオもラーレも辛いより甘い方が好きみたいだ。
元々レオは甘い物が好きな方だったから納得だけど、ラーレもそうなのか。
とりあえずレオ達はカレーを食べられるとして、甘口カレーを食べてもらう事にしよう。
さらに続いて、フェンリル達はどうなのかと聞いたけど、さすがにそこまではわからなかったらしく、へそ天状態のままで大きく吠えるレオ。
そのレオの声に、フェンリル数体が駆け付ける……さすがと言うべきか、恰好はやっぱり情けないままだけど。
「というか、いい加減起き上がらないのかレオ?」
「ワフ、ワッフワウー」
「そうか、いっぱい走れたから少し休憩か、そうなのか」
へそ天状態をやめないのかと聞いてみると、走って楽しかったから休憩中との事だ。
マルチーズだった頃もそうだったが、満足感から疲れていなくてもこうしてお腹を見せてへそ天しつつ、背中を床に押し付けていたっけな。
今はそんな事もないだろうが、マルチーズの頃は散歩や子供達と遊んでいっぱい動いた後は、そのまま舌をしまい忘れた状態でうたた寝している事もあったっけな。
なんにせよ、レオがそれでいいというのなら問題ないか、特に邪魔になっているわけではないし……屋敷内の廊下で転がっていたら、さすがに起き上がってもらうが、広い庭だしな。
レオはともかくとして、フェンリル達にも食べられる物、食べられない物を聞く。
通訳はへそ天のレオ……ではなくティルラちゃんだ。
ギフトの使い過ぎには注意する必要があるけど、使い慣れておいた方がいいだろうし、ティルラちゃん本人がやりたがったのもある。
そうしてフェンリルに話を聞くと、こちらも基本的にはラーレと同じように人間が食べられる物なら、大丈夫らしい。
ただラーレのように鳥よろしく虫を食べるのは、好まないとの事だ……虫はさすがに出て来ないから、安心して欲しい。
それと、レオ程体内での毒の中和ができないため、強い毒性のある物は食べられないという話も聞けた。
レオって、体内で毒の中和もできるのか……? と思ってへそ天しているレオを見ると、凄く誇らし気な表情をしていた。
いや可愛いけど、情けなさは変わっていないぞ?
ともかく、レオにはどんな毒すらも効かないらしいという、必要かどうかは微妙な情報を得られて、厨房へ戻る。
ちなみに、フェンリル達の好みを聞いてみると、辛いのが好き派と、甘いのが好き派に別れた。
そこは種族的な好みではなく、個体差なんだろうな……とりあえず、甘口と辛口で好みに合う方を食べてもらう事にすればいいだろう。
どちらにせよ、食べられないという程ではないみたいだが。
……好みの話で思い出したけど、ハンバーグ大好きなフェリーように、ハンバーグカレーも用意してみようかな? と考えたけどやめておく事にする。
今日はまずカレーを作るというので精一杯だろうから、アレンジとかトッピングはまた今度だな。
まずは基本的なカレーを作ってからだ。
「あ、デリアさん」
「タクミ様!」
そんな事を考えていると、厨房に戻る途中の廊下でデリアさんを発見。
向こうもこちらに気付き、尻尾を振りながら駆けて来る。
猫っぽい耳と尻尾を持つ獣人のデリアさんだけど、仕草はどちらかというと犬っぽい気がするのは気のせいか……。
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