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カレー作りを始めました



「日々、工夫して美味しさを追求している料理人を否定するような香料ですね……ですが、興味はあります」


 料理人として、なんでも簡単に美味しくできるという香料に興味がある反面、試行錯誤しているヘレーナさんにとっては、あまり歓迎したいと思えないようで、眉根を顰めている。

 クズィーリさんの話は少し大袈裟だとしても、料理人さんの頑張りを否定するようなものじゃないんだけどな。

 それこそ、カレー専門店があるように奥が深く、美味しさを追求する料理人さんとは相性がいいと思う。


「まぁさすがに、料理人さんの工夫を意味ない物にするわけじゃないですから。えーっとですね、これなんですけど……」

「この香りは……」


 とりあえず苦笑しながら、懐に入れておいたカレー粉の入った革袋を取り出す。

 レオ達ほどじゃないけど、さすが料理人のヘレーナさんは嗅覚が鋭いらしく、まだ袋の口を開けていないのに漏れ出ている香りに気付いたようだ。

 ユートさんに見せてから、きつく口を閉じていたのになぁ。


「これがクズィーリさんから買った、魔法の香料です。ほぼ同じ物だと思うんですけど……俺はカレー粉と呼んでいます」

「カレー粉……つまりカレーという物を作る元と言う事ですか?」

「はい。クズィーリさんはこれを料理に使うと言っていましたけど、俺が考えているのは……」


 ヘレーナさんに中身を見せながら、簡単にカレーの事を話す。

 クズィーリさんも興味深そうに、時折そんな使い方が!? と驚きつつ話を聞いていた。


「強い匂いですが、これがそのような料理になるのですね」

「そうです。色々と準備が必要ですけど……」


 日本で市販されているカレールーで作るよりは、手間はかかってしまうけど……その代わりアレンジしやすい。

 そのアレンジの方法はよく知らないんだけどな。


「うどんとかハンバーグとかがありますよね? あれと同じ……いえ、それ以上に色んなアレンジができる料理でもあります。別の香料を加えたりもできますし、隠し味で深みを持たせる事もできますね」


 カレーの隠し味と言えば、すぐ思いつくのはリンゴやチョコだろうか?


「それこそ、うどんにかけたり、ハンバーグと一緒に食べるのも美味しいとも思いますよ」

「うどんやハンバーグに、ですか?」

「はい」


 カレーうどん、ハンバーグカレーなど、考えれば考える程カレーの懐の深さというのだろうか……アレンジやトッピングで色んな食べ方があるのがわかる。

 それ以外にも、ひき肉を使ったキーマカレー、水分をほとんど使わないドライカレーなどもあるな。

 カレーと言っても、そのバリエーションの多さに驚くばかりだ。


「とはいっても、まずは基本となるカレーを作ってからですね。俺も、漠然としか知らない事も多いですし」


 昔作ってもらって、その時に料理を見ていて教えてもらった事があるくらいで、色んなバリエーションを知っていて食べた事があっても、全ての作り方を知っているわけじゃないからな。

 とりあえず、基本的なカレーを作って、アレンジに関しては後々考えればいいだろう。


「そう言うわけなんですけど、まだ間に合うなら今日の夕食はカレーを作ってみませんか?」

「はい、新しい料理を作る機会があるなら、是非もありません。フェンリル達が狩ってきたカウフスティア処理が終わり、これから取り掛かろうとしていたところですので、ちょうど良いかと」


 買ってきた、ではなく狩ってきただからなぁ……まぁ俺も参加した事はあるが。

 ともかく、まだ夕食の準備はこれからだったみたいなので、ユートさんの希望通り用意できそうだな。

 ひとまず、パンとご飯……ライスの準備をお願いしつつ、カレー作りにとりかかった。


「カウフスティアがあるなら、ビーフカレーが良さそうですね」

「ビーフカレー、ですか?」

「はい。大まかにカレーに使うお肉によって呼び名が変わるだけなんですけど……」


 首を傾げるヘレーナさん、それからクズィーリさんや何ができるのかと、引き続き見学しているクレアに大まかに話していく。

 カウフスティアが牛っぽいからビーフで、これがニグレオスオークだったら豚っぽいのでポークカレーになるか。

 ちなみにリーザは、料理人さんの一人に野菜の皮むきを教えてもらっている。

 以前から料理に興味がある様子でよくお手伝いしてくれたけど、どうやら本腰を入れて学びたくなったみたいだ。


 包丁での皮むきは初めてなので、多少不慣れな感じはあるが、それでも本当に初めてとは思えないくらいだと、料理人さんに褒められている。

 さすがリーザだ……刃物の扱いは、一応グルカナイフで慣れているのもあるんだろうけど。


「大きさは好みですけど……今日は食べやすく、少し小さめに切りましょう。それぞれ大きさを合わせて……」


 料理なんて時々しかせず、基本はコンビニ弁当だった俺が、偉そうにヘレーナさん達に指導する。

 日常的に調理をしている料理人さんはさすが、手際が良くて俺が指導するなんて烏滸がましいんじゃないかと思う程だけど。

 今回作るカレーは基本的な物、具材ゴロゴロカレーとかは俺も結構好きだけど、初めて食べる人ばかりだからまずは食べやすいように作るのを意識する。

 ちなみに、特に俺が注意しなくてもヘレーナさんを始めとした料理人さん達は、肉や野菜を手早く均一の大きさに切りそろえてくれていた……さすがだ。


「次に、この野菜を炒め……あ」

「タクミ様、どうされましたか?」

「いえ……レオやフェンリル達も食べるのかなって、思い出しまして……」


 タマネギを炒める段階で、そういえばと思い出した。

 レオ自身は、特にカレーに対して大きな反応はしていなかったけど……もし食べるのなら、タマネギは入れない方がいいか? でも、基本的なカレーであり、タマネギを使ったやり方しか俺は知らないし。

 というかそもそも、タマネギを最初に炒めて使う理由などもよく知らないくらいだ。

 もしかしたら入れなくてもいいのかもしれないけど……うーん。


「それに、今考えるとこれって結構辛そうだしなぁ……クズィーリさん、甘くする香料ってありますか?」

「甘くですか? それでしたら……こちらでしょうか?」


 カレーは辛い物ではあるけど、それが苦手な人だっている。

 リーザは辛党っぽい様子もあるけど、実際はわからないし他にも辛いの苦手という人に、甘口を作っておきたい。

 そう考えて、クズィーリさんに声をかけると、少し考えて香料を取り出してくれた――。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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