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1828/1996

クズィーリさんからカレー粉のような香料を買いました



 焦って走って来た俺に驚いているライラさん達に謝りつつ、簡単に商談というか行商人さんがいてその人から買い物をすると伝え、ライラさんに相談。

 外出時はとりあえず俺だけでなくライラさんも、何かあった時のために俺の使えるお金を持ってもらっているからだが。

 今日は急なレオからのお散歩のおねだりだったため、俺は持ってきていなかったんだが……そこはライラさん、多少のお金をちゃんと持ってきてくれていた、さすがだ。

 日頃からいつでも突発的な外出に備えているのかもしれないが。


「お待たせしました!」


 ライラさんからお金を受け取り、クレアやクズィーリさんのいる所に戻る。

 クレア達は、何やら先程の香料とは別の香料を嗅いで、香りを楽しんでいるようだった。

 ……シナモン系の香りかな? なんとなく甘くも刺激を感じる香りが強くなっている。


「タクミさん、お帰りなさい。今クズィーリさんに、他の香料について話していましたけど、面白いですね」

「そうなんだね。何か、良さそうなものはあった? 俺はさっきの香料にばかり話をしてしまっていたけど……」

「甘い香りがする物もあって、それがいいかなって。でも、ずっと嗅いでいたらお腹が空いてしまいそうです」


 迎えてくれるクレアと話しつつ、先程と同じように椅子に座る。

 シナモンっぽい香りが強く広がっているのは、クレアが気に入ったのもあるのかもしれないな。


「ははは。まぁ香りっていうのは頭の中を刺激して、食欲を引き出したりもするからね」


 クズィーリさんが扱うのは食用の香料だけど、物によっては脳を刺激してのリラックス効果とか、興奮作用をさせるような香りもあるからなぁ。

 どちらかというとそれはアロマの領分だから、食用とは違うけど。

 でも常に美味しそうな匂いを嗅いでいたら、食欲が刺激されてお腹が空きやすくなってしまう可能性は確かにあるかも。

 ついつい食べ過ぎたりもして、ダイエットとは逆の効果もありそうだから気を付けないとな。


「とりあえず、クズィーリさん。先程の香料の代金です」

「は、ありがとうございます! こちらになります……」


 クズィーリさんに金貨を渡し、俺は香料を受け取って売買成立だ。

 これで、ヘレーナさんに頼んでカレーを作ってもらおう……何度も食べられるほどの量じゃないけど、とりあえずは食べられるだけで十分だ。

 ユートさんも喜ぶだろうし。

 喜ばせるために買うわけじゃなく、俺が食べたいからだけどな。


「あと他には……クレアやリーザが気に入った物も買おうかな」

「リーザも?」

「うん。さっき美味しそうな匂いって言っていたからね。それで、何か美味しい物を作れるか考えてみるよ。まぁほとんどはヘレーナさんに任せる事になるとは思うけど。だから、リーザが好きな匂いの物を選んでいいんだよ」

「うん! えっとねー、リーザはねー……」

「私は、やはり先程の香りの物が一番ですけど……他にも見て、というより匂いを確かめたいですね……」


 クズィーリさんに頼んで、現在持っている香料をリーザやクレアに選んでもらえるようにする。

 どう使うかは買ってから考えないといけないが、俺自身が詳しくないからこそこういう買い方も悪くないだろう。

 クズィーリさんも、商品が売れるなら悪い事じゃないし、表面上だけではない笑顔のようだし。


「ワフゥ……」

「あー、レオはあまり匂いが強いのは好みじゃないか。食べられないって事はないんだろう?」

「ワッフ」


 キャイキャイとお互いで話しながら、クズィーリさんの出した商品の匂いを確かめつつ、選ぶクレアとリーザを横目に、レオが溜め息を吐いていた。

 レオにとっては、ほのかに香る程度ならまだしも、香りを強く出すような香料はあまり好みじゃないようだから仕方ないか。

 まぁさっきリーザは美味しそうな匂いだと言っていたのに対し、レオはそうじゃなく不思議な匂いとしか言っていなかったからな。

 食べれない物があったりはしないようで、俺の質問には大丈夫と答えるように頷いた。


 味の濃い物が嫌いというわけではなく、マルチーズの頃ならまだしも、こちらに来てから濃い目のソースがかかったハンバーグも、美味しく食べてはいるからなぁ。

 もしかしてと思ったけど、タマネギなどの本来犬が食べてはいけない物は? とついでに聞いてみると、そちらも問題ないそうだ。

 そもそもの体の作りというか、内臓の働きかな? それらがマルチーズの頃から大分変っているんだろうか……。

 今更ながらに、ワインをジュースにした物も飲んでいるから、完全に別と考えた方が良さそうだ。


「おっとそうだ、これも聞いておかないと。クズィーリさん」

「は、はい! なんでございましょう!」


 クレア達が商品を選ぶのを見ていたクズィーリさんに声をかけると、緊張した様子でこちらを見た。

 香料の話をしている時は問題なかったけど、そうじゃないとどうしても緊張してしまうみたいだな。

 もしかすると、人と面と向かって話す事その物が緊張してしまうとかかもしれないが……いや、行商人だからその可能性は低いかな?


「さっき、俺の買った香料は材料を集めるのが難しいと言っていましたけど……もし、定期的に買いたい場合はどのくらいの期間で作れますか? というか、定期的な購入はできるのでしょうか?」


 カレーを作ったとして、それだけで今後しばらく食べられなくなるのは辛い。

 できれば定期的に欲しいから、クズィーリさんが作って売ってくれればいいんだけど……。

 あと、買える量が増えるともっとありがたいが、それはさすがに望み過ぎかな。


「定期的に、ですか。そうですね……おそらく、二か月に一度くらいなら何とかお売りできるかと……」

「二か月に一度、ですか……」


 うーん、それくらいの頻度でカレーが食べられるなら、マシな方かな?

 できれば一か月に一度……十日に一度くらいは食べたいと思ってしまうけど、材料を集めるのが難しいのだから仕方ないか。

 元々、ここでの出会いがなければ諦めるしかなく、食べられる状況が作れなかったんだし。

 ちなみに、香料になりそうな植物は、一部を除いて『雑草栽培』で作れなかった。


 なんとなくで知らない物も多いため、頭の中で考えられなくて作れないものもあったけど、知っている物でも作れないのは、どこかでそれが人の手が入り、作られているという事なんだろう。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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